この章で学ぶこと
この章では、同じ地域・同じ分野の競合事務所がすでに記事を公開している場合に、後発でも検索上位を取るための方法を学びます。競合記事の分析手順と、自分の記事で差をつける3つのポイント(一次情報・独自の切り口・具体性)を理解しましょう。
後発でも勝てる理由 — 競合の記事には弁護士の一次情報が入っていないことが多い
競合事務所の記事を実際に読んでみると、多くの場合、次のような特徴があります。
- 法律の条文や制度の説明が中心で、弁護士自身の実務経験が書かれていない
- どの事務所の記事を読んでも書いてあることがほぼ同じ
- 読者が本当に知りたい「自分の場合はどうなるのか」に答えていない
- 記事の更新日が古く、法改正が反映されていない
これは、記事の執筆を外部のライターやSEO業者に委託しているケースが多いためです。ライターは法律の知識がないため、ネット上の情報をまとめ直すことしかできません。結果として、どの事務所の記事も似たような内容になります。
Googleは2022年12月に検索品質評価ガイドラインを更新し、従来のE-A-T(専門性・権威性・信頼性)に「Experience(経験)」を追加してE-E-A-Tとしました。つまり、実際に経験した人が書いたコンテンツを高く評価する方針を明確にしたのです。弁護士が自分の実務経験を記事に盛り込むことは、この「経験」の要素を直接満たすことになります。
後発であっても、弁護士自身が書いた一次情報を含む記事は、外注の一般的な法律解説よりも検索エンジンと読者の両方から評価されます。ただし、闇雲に書いても差はつきません。まず競合の記事を分析し、何が足りないかを把握してから書く必要があります。
競合記事の分析手順 — 上位10記事の構成・情報量・視点を比較する
自分が書こうとしているキーワードで実際にGoogleで検索し、上位10記事を分析します。分析の手順は次のとおりです。
手順1 上位10記事をすべて開いて一覧を作る
検索結果の上位10記事を開き、次の項目を記録します。スプレッドシートやメモ帳で一覧にすると比較しやすいです。
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 記事のタイトル | どのようなタイトルで検索結果に表示されているか |
| 記事の種類 | 弁護士事務所の記事か、ポータルサイトか、法律情報サイトか |
| 見出しの構成 | H2・H3の見出しを書き出す(記事の骨格が分かる) |
| 文字数の目安 | おおよその文字数(2,000字程度か、5,000字以上か) |
| 一次情報の有無 | 弁護士の経験談・実務上の注意点が書かれているか |
| 更新日 | 記事がいつ公開・更新されたか |
手順2 見出しの構成を比較する
10記事分の見出しを並べると、ほぼ全員が書いているテーマと、一部の記事しか触れていないテーマが見えてきます。
- 全員が書いているテーマ — これは自分の記事にも必ず含めます。抜けていると「情報が足りない」と判断されます
- 一部しか書いていないテーマ — ここに自分の記事を差別化するヒントがあります
- 誰も書いていないテーマ — 自分の実務経験から「読者はここも知りたいはず」と思うテーマがあれば、それが最大の差別化ポイントになります
手順3 一次情報の有無を確認する
各記事を読み、弁護士自身の経験に基づく情報が含まれているかを確認します。具体的には次のような記述があるかを見ましょう。
- 「私が担当した事案では〜」「実務上は〜となることが多い」といった経験の記述
- 「相談者からよく聞かれるのは〜」といった実務上の知見
- 条文の解説を超えた、実際の手続きでの注意点や落とし穴
競合の記事にこれらの一次情報が入っていなければ、自分の記事に入れるだけで大きな差がつきます。逆に、競合の記事に豊富な一次情報が入っている場合は、別の切り口で差をつける必要があります。
手順4 分析結果をもとに自分の記事の構成を決める
分析の結果を踏まえ、自分の記事の構成を決めます。基本方針は次のとおりです。
- 全員が書いているテーマはすべてカバーする(網羅性の確保)
- 一部しか書いていないテーマのうち、自分の経験から書けるものを加える
- 誰も書いていないが読者にとって重要なテーマを加える
- 各テーマに自分の一次情報を入れる
差をつけるポイント1 自分の経験に基づく一次情報を入れる
競合記事との最大の差別化要因は、弁護士自身の実務経験に基づく一次情報です。ライターには書けず、その弁護士にしか書けない情報が、記事の価値を決定的に高めます。
一次情報として使える内容
- 手続きの実態 — 「法律上はこうなっているが、実務ではこういう対応が多い」という情報。たとえば「離婚調停は法律上は1回で成立することもあるが、実務では3〜5回の期日がかかることが多い」など
- よくある誤解の訂正 — 「相談者の多くはこう思っているが、実際は違う」という情報。たとえば「自己破産すると一生クレジットカードが使えないと思っている相談者が多いが、実際は5〜10年で信用情報が回復する」など
- 相談の現場で聞かれること — 「初回相談でほぼ全員が聞いてくる質問」を記事で先に答えておくと、読者は「この弁護士は自分の悩みを分かっている」と感じます
- 手続きにかかる時間の実感 — 「法律上の期限は3か月だが、実際に完了するまでの所要期間は6か月程度が多い」など、経験者でなければ分からない時間感覚
一次情報を書くときの注意点
守秘義務に抵触しないよう、具体的な事案の詳細は書かないでください。個別の事案を特定できる情報(当事者の年齢・職業・地域・事案の経緯の詳細)は伏せたうえで、一般化できる知見として書きます。「ある相談者の離婚事件で」ではなく、「離婚事件では一般的に」という書き方にしましょう。
また、弁護士広告規制との関係で、「この事件で勝ちました」「成功率〇%」といった表現は避けてください。あくまで一般的な実務上の知見として書き、特定の結果を保証する表現は使わないようにしましょう。
差をつけるポイント2 競合が書いていない切り口を見つける
競合記事の分析で「誰も書いていないが、読者にとって重要なテーマ」を見つけたら、それを自分の記事に加えましょう。切り口を見つける方法を具体的に紹介します。
方法1 相談者からの質問を記事にする
日々の相談で受ける質問は、そのまま記事のテーマになります。たとえば離婚分野で「別居中の生活費はどうなるのか」「子どもの習い事の費用は養育費に含まれるのか」といった質問を受けることが多ければ、それは他の人も知りたい情報です。競合が書いていなければ、そのテーマで記事を書くだけで差がつきます。
方法2 手続きの前後を書く
競合の記事が手続きの本体だけを解説していることが多いです。しかし読者は手続きの前と後にも不安を抱えています。
- 手続きの前 — 「弁護士に相談する前に何を準備すればよいか」「どの段階で弁護士に相談すべきか」
- 手続きの後 — 「手続きが終わった後に何をすべきか」「手続き後に起こりうるトラブルとその対処法」
たとえば離婚調停の記事であれば、「調停前にやっておくべき準備」と「調停が不成立になった場合の次のステップ」を加えるだけで、手続き本体だけを書いている競合記事と差がつきます。
方法3 関連するが別の論点を加える
メインテーマに関連するが、競合が触れていない論点を加えます。たとえば「離婚の慰謝料」の記事で、競合が慰謝料の計算方法だけを書いていれば、「慰謝料と財産分与の違い」「慰謝料と養育費の関係」など、読者が混同しやすいポイントを加えることで情報の厚みが増します。
方法4 Googleの関連キーワードを確認する
Googleで検索したときに、検索結果の下部に表示される「関連する質問」や「関連キーワード」を確認しましょう。ここに表示される質問やキーワードは、実際に多くの人が検索している内容です。競合の記事がこれらの質問に答えていなければ、自分の記事で答えることで差がつきます。
差をつけるポイント3 相談者の疑問に競合より具体的に答える
同じテーマを書いていても、具体性の差で検索順位は変わります。競合が抽象的に書いている部分を、自分の記事では具体的に書くことで差をつけましょう。
抽象と具体の違い
| 競合の書き方(抽象的) | 差をつける書き方(具体的) |
|---|---|
| 弁護士に依頼するとメリットがあります | 弁護士に依頼すると、保険会社の提示額と弁護士基準の金額の差額分が増額の対象になる。弁護士基準は自賠責基準の2〜3倍になることが多い |
| 手続きにはある程度の期間がかかります | 離婚調停は申立てから第1回期日まで1〜2か月、調停全体では3〜6か月程度が目安。調停不成立で訴訟に移行した場合はさらに6か月〜1年程度かかることが多い |
| 費用は事案によって異なります | 離婚事件の着手金は20〜40万円が一般的な水準。報酬金は得られた経済的利益の10〜20%が多い。調停で解決した場合と訴訟まで進んだ場合で異なることが多い |
| 証拠を集めておくとよいでしょう | 不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、LINEやメールのスクリーンショット、写真、ホテルの領収書などが証拠になる。ただし盗撮や無断録音は違法になる可能性がある |
具体的に書くための手順
- 競合の記事で「〜の場合があります」「ケースバイケースです」と曖昧に書かれている部分を見つける
- その部分について、自分の経験ではどのようなパターンが多いかを考える
- 一般的な水準として書ける範囲で、数字・期間・金額・手続きの具体的な流れを書く
- 「個別の事案によって異なるため、詳しくは弁護士にご相談ください」という注記を添える
注意すべき点
具体的に書くことと、特定の結果を保証することは違います。「慰謝料は300万円取れます」ではなく、「慰謝料の一般的な水準は100〜300万円程度で、不貞行為の期間や態様によって異なる」と書きましょう。具体的な数字を出しつつ、幅を持たせて断定を避けることが重要です。
弁護士広告規制との関係で、「勝訴率」「成功率」「解決実績○件」といった表現は、根拠が曖昧な場合は使用しないでください。あくまで法律や制度の一般的な説明として、自分の経験から得た知見を加える形で具体性を出しましょう。
まとめ — 競合の記事を読んでから自分の記事を書けば、後発でも上位を取れる
競合がすでに記事を出しているからといって、後発が不利とは限りません。差をつけるための手順をまとめます。
- 自分が狙うキーワードで検索し、上位10記事の構成・情報量・一次情報の有無を分析する
- 自分の実務経験に基づく一次情報を記事に盛り込む。ライターには書けない情報が最大の差別化要因になります
- 競合が書いていない切り口(相談者の質問・手続きの前後・関連論点)を加える
- 競合が抽象的に書いている部分を、具体的な数字・期間・手順で書き直す
競合の記事を読まずに書き始めると、結局は競合と同じ内容の記事ができてしまいます。まず競合の記事を10本読んでから、自分の記事の構成を決めましょう。この手順を踏むだけで、後発でも上位を取れる記事が書けます。