問い合わせ導線の設計──情報収集層を相談まで運ぶ
結論・要点
請求者側の離婚専門サイトの導線は、1本のCTAではなく、性格の異なる3系統を並行して用意すると成果が出ます。「相談を考え始めている」段階の検索が72%、情報収集が目的の検索が83%を占め、8割強はまだ相談を決めていません。一方で「今すぐ相談先を探している」段階の18%には、DVなど当日対応が必要な相談も含まれます。多数派には「相場を知る→自分のケースへ→相談する」の段階的CTAを、緊急層には電話の即時導線を、別線で用意するのが請求者側の導線設計です。
目次
- 問い合わせ導線に必要な要素(What)
- なぜ段階的な導線が必要か──データと総論で理解する(Why)
- サンプルサイトで見る実例(How it looks)
- 実践チェックリスト
請求者側の離婚専門サイトの導線は、1本のCTAではなく、性格の異なる3系統を並行して用意すると成果が出ます。「相談を考え始めている」段階の検索が72%、情報収集が目的の検索が83%を占め、8割強はまだ相談を決めていません。一方で「今すぐ相談先を探している」段階の18%には、DVなど当日対応が必要な相談も含まれます。多数派には「相場を知る→自分のケースへ→相談する」の段階的CTAを、緊急層には電話の即時導線を、別線で用意するのが請求者側の導線設計です。
問い合わせ導線に必要な要素(What)
多くの事務所サイトは「お問い合わせはこちら」というボタンを各ページに置いて導線を作ったつもりになっています。しかし請求者側の訪問者は、状況も決意の度合いも大きく異なります。導線を1系統しか持たないサイトは、どれか1つの層にしか届いていません。
導線は1本ではない──情報層・検討層・緊急層の3系統
請求者側の訪問者は、次の3系統に分かれます。それぞれ求めているものが違うため、用意すべき導線も変わります。
- 情報層: 「養育費の相場はいくらか」を調べている段階。相談する気はまだない。必要なのは次に読むべき記事と、金額の目安を確認できるコンテンツ
- 検討・依頼直前層: 自分のケースの見通しを知りたい、依頼先を比べている段階。必要なのは解決事例・料金・弁護士紹介と、ハードルの低い相談導線
- 緊急層: 暴力から逃れたい、保護命令を急ぎたい。必要なのは電話番号と受付時間、当日対応の可否という一目で分かる情報
この3系統を1つのボタンで受けようとすると、どの層にも中途半端になります。情報層に「今すぐご予約を」と迫れば離脱し、緊急層に「まずはコラムをお読みください」と案内すれば他所へ移ります。
| 訪問者の段階 | 検索キーワードの例 | 相談への近さ | 用意する導線 | CTA文言の方向性 |
|---|---|---|---|---|
| 情報層 | 養育 費 相場/財産 分 与 と は | 相談はまだ先〜考え始めている | 記事末のCTA・関連記事・金額の目安 | 「まずは目安をご確認ください」 |
| 検討層 | 養育費 相手が再婚/財産分与 株 | 相談を考え始めている | 業務紹介・解決事例・料金への内部リンク | 「事情に沿った見通しをお伝えします」 |
| 依頼直前層 | 離婚 弁護士/養育 費 に 強い 弁護士 | 考え始めている〜今すぐ相談先を探している | 事務所紹介・費用の目安・フォーム | 「初回相談のご予約はこちら」 |
| 緊急層 | dv の 相談/シェルター/保護命令 とは | 相談窓口を探すこと自体が目的の検索 | 電話番号・受付時間・当日相談の可否 | 「本日中にご連絡ください(受付時間)」 |
段階的CTAの設計──相場を知る→自分のケースに当てはめる→相談する
情報層は1回のクリックで相談まで運ぼうとせず、3つのステップに分けます。
- 第1段階(相場を知る): コラム記事で算定の考え方と目安を示す。CTAは相談ではなく「関連する記事」「金額の目安を確認する」
- 第2段階(自分のケースに当てはめる): 婚姻期間・子の人数・収入などの条件で目安の幅が分かる簡易的な確認コンテンツや条件別の早見表を置く。ここで「自分の場合はどうなるのか」という個別の疑問が生まれる
- 第3段階(相談する): その直後に「個別の事情によって結論は変わります。具体的な見通しは初回相談でお伝えします」と接続する
第2段階を挟むかどうかで、第3段階のCTAの説得力が変わります。目安を見た訪問者は「自分のケースは想定とずれている」と気づき、相談する理由を自分で見つけます。
お問い合わせページに必要な構成要素
お問い合わせページは3系統すべての受け皿です。最低限、次の5点を用意します。
- 冒頭の不安解消コピー: 「まだ離婚するかどうか決めていない段階でも構いません」など、決めていない状態からの連絡を歓迎する一文
- 複数の連絡手段: 電話(受付時間つき)・フォーム(24時間受付)・メール。緊急の場合は電話を勧める旨を添える
- 最小限のフォーム項目: 必須は連絡先のみ。相談内容は任意にする
- 返信目安: 「○営業日以内にご返信します」という具体的な日数
- 情報の取り扱い: 誰が内容を確認するのかと、プライバシーポリシーへのリンク
なぜ段階的な導線が必要か──データと総論で理解する(Why)
「ページは揃っているのに問い合わせが来ない」という状態の多くは、コンテンツではなく導線の設計に原因があります。
「相談を考え始めている」段階が72%──訪問者の8割は情報収集中
離婚・請求者側のキーワード2,977件(月間検索数100以上)を分析すると、相談への近さは「相談を考え始めている」が72%、「今すぐ相談先を探している」が18%、「相談はまだ先」が10%でした。検索の目的は、情報を集めたいが83%、比べて選びたいが14%、申し込み・相談の直前が3%です(キジラク調べ・2026年8月時点)。
この分布が意味するのは、サイトに来る人の大半が「弁護士を探しに来た」のではなく「情報を調べに来た」ことです。しかもこの分野の訪問者は、すでに離婚する意思を固めていて、進め方と取れる金額を調べているという特徴があります。「今すぐ相談したい」という動機が支配的なキーワードは84件・全体の2.8%にとどまります。
サイト全体を「今すぐお電話ください」という圧力型のCTAで固めると、8割の訪問者には合いません。決意はしているが依頼は決めていない層に必要なのは、急かす言葉ではなく「相談すると何が分かるのか」という説明です。
「今すぐ相談先を探している」18%の中身──緊急性の高い相談を別線で受ける
ただし、多数派に合わせるだけでは取りこぼしが出ます。「今すぐ相談先を探している」18%には、性格のまったく異なる2種類が含まれています。
1つ目は依頼先を比較している層です。「離婚 弁護士」(月間22,200)、「不倫 に 強い 弁護士」(320)、「養育 費 に 強い 弁護士」(140)、「親権 強い 弁護士」(140)のように、争点別の専門性で探されます(この動機が支配的なキーワードは110件・3.7%)。
2つ目が緊急層です。「dv の 相談」(3,600)、「dv 相談 24 時間 無料」(260)、「シェルター」(33,100・今すぐ相談先を探している層)、「保護命令 とは」(880)で検索する人は、記事を読み比べている場合ではありません。必要なのは、開いた瞬間に見つかる電話番号と受付時間、そして「当日の相談に対応できるか」の一文です。
緊急層向けの導線は、多数派向けの段階的CTAとは別線で用意します。全ページのヘッダーに受付時間つきの電話番号を常時置き、DV・モラハラの業務紹介ページには冒頭に電話導線を配置する形です。ヘッダーの電話番号は本文の読みやすさを損なわずに緊急層だけを拾えます。
| 連絡手段 | 即時性 | 心理的ハードル | 請求者側への適性 | 主に受ける層 |
|---|---|---|---|---|
| 電話 | 高(その場で会話) | 中〜高(受付時間内・会話への緊張) | 緊急層に必須 | DV・保護命令など緊急層 |
| フォーム | 低〜中(返信まで時間) | 低(24時間・書いて送るだけ) | 基本の受け皿 | 検討層・依頼直前層 |
| LINE等のメッセージ | 中(返信は営業時間内) | 低(手元の端末から即座に) | 運用できる場合のみ | 就業中・子育て中で日中に電話できない層 |
運用できない手段を掲げると返信の遅れが不信に直結します。電話とフォームの2つを最低ラインとしましょう。
「いくら受け取れるか知りたい」が28.9%──金額の目安を問い合わせの前段に置く
請求者側で最も大きなニーズは「いくら受け取れるか知りたい」で859件・28.9%を占めます。上位キーワードは「養育 費 相場」(121,500)、「養育 費 算定 表」(66,200)、「不倫 慰謝 料」(36,200)と、受け取る金額の検索が突出しています。第2位は「手続きの流れを知りたい」で679件・22.8%。一方、自分が払う弁護士費用を知りたいという動機は114件・3.8%にとどまります。請求者側は費用より回収額を見ているのです。
これは導線設計に直接使えます。問い合わせの前段に「自分のケースだとどのくらいか」を確認できるコンテンツ(条件別の早見表、算定の考え方の図解、条件を入れると目安の幅が出る簡易的な確認ツールなど)を置けば、最大ニーズを受け止めたうえで相談へ接続できます。
ただし、金額を扱うコンテンツには表現上の制約があります。弁護士の業務広告に関する規程では、誇大な表現や成果を保証する表現は認められません。「必ず取れる」「最低でも○万円」といった記述は避け、一般的な目安であることと、個別の事情によって結論が変わることを明示します。
| 争点 | 前段に置くコンテンツ | 使える表現 | 避ける表現 |
|---|---|---|---|
| 養育費 | 算定表の読み方と収入・子の人数別の目安 | 「算定表上の目安はこの範囲です」 | 「月○万円は必ず取れます」 |
| 慰謝料 | 金額を左右する要素の解説 | 「裁判例では○万円前後の例があります」 | 「当事務所なら増額できます」 |
| 財産分与 | 対象財産の範囲チェックリスト | 「対象になり得る財産の例です」 | 「隠し財産も必ず見つけます」 |
| 親権 | 判断で考慮される事情の一覧 | 「実務で考慮される事情です」 | 「母親なら確実に取得できます」 |
CTAの文言・位置・数の原則(総論04)
総論04(集客できるサイトの条件)のCTA設計の原則を、請求者側に当てはめます。
- 文言: 「申し込む」より「ご相談ください」「見通しを聞く」。決意しているぶん、行動の結果として何が得られるかを書いたほうが動きます
- 位置: ファーストビュー・本文中の区切り・ページ末尾の3か所が基本。長い記事では読了前の離脱に備え、本文中にも1つ置きます
- 数: 複数置いてよいが行き先は絞ります。「相談予約」「資料請求」「電話」が同じ場所に並ぶと選択の負荷が上がり、どれも押されません
地域とGBPを導線に組み込む(総論09)
総論09(地域集客の実践)のとおり、Googleビジネスプロフィールはサイト外の導線として機能します。特に緊急層は地図から直接電話をかけるため、次の3点を確認します。
- 登録した電話番号がサイトのヘッダー・お問い合わせページと一致しているか
- 営業時間が一致しているか。ずれていると時間外の発信で最初の接点を失います
- 口コミへの返信内容が、解決事例や弁護士紹介の記述と矛盾していないか
どのページが問い合わせを生んでいるかを測る(総論13)
総論13(成果計測と改善)のとおり、導線は設置して終わりではありません。最低限、次の3つを確認できる状態にします。
- お問い合わせページに来る直前のページ(どの記事が問い合わせを生んでいるか)
- フォーム送信完了の件数(送信完了ページへの到達数で代用可)
- コラム記事からお問い合わせページへ遷移した割合
請求者側は情報層の比率が高いため、コラム記事からの遷移率が改善の主戦場です。遷移率がゼロに近い記事は、記事の質より先にCTAの有無を疑ってください。
サンプルサイトで見る実例(How it looks)
ここまでの原則が実際のページでどう現れるかを、サンプルサイト(sample-rikon.kijiraku.com/contact/)で確認します。真似すべき点と、真似すべきでない点の両方を見ます。
ヘッダーの電話番号と各ページ末のCTAバンド
サンプルサイトは全ページのヘッダー右に電話番号を常時表示しています。トップページ・料金ページ・事務所紹介ページの末尾には「離婚のお悩み、まずはご相談ください」というCTAバンドがあり、料金ページ末尾では電話番号に「平日 9:00〜18:00」という受付時間が併記されています。
機能となぜ: ヘッダーの電話番号は、本文の流れを妨げずに緊急層だけを拾う別線です。時間表記がないと、時間外にかけた訪問者に「つながらなかった」という体験だけが残ります。
自事務所への適用ポイント: 電話番号には必ず受付時間をセットにします。夜間・休日の相談を受けているなら、その旨も併記すると就業中の層に届きます。
トップページの3STEPフロー──相談後に何が起きるかを先に見せる
トップページには「ご相談から解決までの流れ」として、ご相談→方針のご提案→正式受任・実行の3段階が示されています。第2段階には「想定される手続きの選択肢と費用・期間の見通しをご説明します」と書かれています。あわせて強みの一覧に「初回60分相談無料」「土日夜間相談予約可」「DV・モラハラ対応」「オンライン相談可」が並びます。
機能となぜ: 相談から受任までの間に「方針の提案」という段階があると明示すると、問い合わせが「契約の申し込み」ではなく「見通しを聞く行為」に見えます。「相談を考え始めている」72%の層は「連絡したら依頼させられるのではないか」と身構えており、第2段階の存在がその警戒を外します。「土日夜間」「オンライン」は、日中に動けない層の障壁を直接取り除く要素です。
自事務所への適用ポイント: 3段階の説明は実際の運用に合わせて書き換えます。実態と違う流れを書くと、初回相談の場で齟齬が生じます。
お問い合わせページの構成──連絡先3ブロックと「お話を伺います」
お問い合わせページは「ご相談のご予約・各種お問い合わせは、下記の連絡先またはフォームよりご連絡ください」というリードで始まり、メールアドレス・電話番号・所在地の3ブロックが並びます。その下に「お話を伺います」という見出しで「事案の概要と、お差し支えなければご連絡先をフォームにご入力ください」と案内されています。
機能となぜ: フォームより先に連絡手段を3つ提示し、入力が苦手な訪問者に別の選択肢を見せています。請求者側は相手方に動きを察知されることを警戒しているケースがあり、連絡先の記入を「お差し支えなければ」と条件付きで求める表現がその警戒に配慮しています。
自事務所への適用ポイント: この言い回しはそのまま使えます。逆に、必須マークの付いた項目が並ぶだけのページはこの段階で離脱を生みます。
フォームの項目設計──4項目・すべて任意
フォームは姓・名・メールアドレス・メッセージの4項目のみで、いずれも必須指定ではありません。
機能となぜ: 項目数と必須指定が減るほど送信までの摩擦は小さくなります。離婚の事情は複雑で、相談内容を必須にすると「どこから書けばよいか分からない」という理由でページを閉じる訪問者が出ます。任意にしておけば「名前と連絡先だけ入れて送る」という行動が生まれ、事情はその後の返信で聞けます。
自事務所への適用ポイント: 「住所」「生年月日」「相談希望日時」などの項目は、初回の問い合わせ段階で本当に必要かを見直します。必要なのは連絡が取れる情報だけです。ただし、送信ボタンが英語表記のままである点は真似せず、押した後に何が起きるかが分かる日本語にします。
このサンプルサイトに足りない3点
サンプルサイトも、この記事の基準で見ると不足があります。次の3点は自分で補ってください。
- 返信目安がない: 「○営業日以内にご返信します」の一文を送信ボタンの直上に置きます。実際に守れる日数を書くことが前提です
- 情報の取り扱いの記載がない: 「いただいた情報は弁護士と担当者のみが確認します」の一文と、プライバシーポリシーへのリンクを添えます
- コラム記事の末尾にCTAがない: コラム記事はまとめと免責事項で終わり、前後の記事へのリンクしかありません。情報層が最初に触れるのはこのコラム記事です。CTAがなければ、読み終えた訪問者は次の行動を取れずに離脱します
3点目の影響が特に大きくなります。記事のテーマに合わせたCTA(養育費の記事なら「目安を確認する」)を末尾に置くだけで、情報層から検討層への移行が生まれます。どの記事にCTAが無いかは、キジラクの解析機能で一覧すると見つけやすくなります。
なお、相手方から離婚や慰謝料を切り出された側のサイトでは、同じ導線でも重点が変わります。受け身の立場に立ったときの設計は問い合わせ導線の設計(被請求者側)で確認してください。
実践チェックリスト
- □ 情報層・検討層・緊急層の3系統の導線が、それぞれ用意されているか
- □ コラム記事の末尾に、記事のテーマに対応したCTAが置かれているか
- □ 金額の目安を示すコンテンツが問い合わせの前段にあり、成果を保証する表現になっていないか
- □ DV・保護命令など緊急性の高い相談を受ける別線(電話番号・受付時間・当日相談の可否)が明示されているか
- □ フォームの項目が最小限で、必須項目が連絡先のみに絞られているか
- □ 返信目安(「○営業日以内」)と情報の取り扱いが、フォームの近くに書かれているか
- □ Googleビジネスプロフィールの電話番号・営業時間がサイトと一致し、どのページから問い合わせが発生しているかを確認できる状態になっているか(総論09・13参照)
これで離婚・請求者側のサイトを構成する7記事の設計を学びました。トップページの記事で決意した相談者を手続き別に振り分ける設計を作り、業務紹介と解決事例の記事で手続き別・争点別の紹介と獲得実績の示し方を、料金ページの記事で経済的利益をもとにした費用構造の見せ方を、事務所紹介の記事でE-E-A-Tを満たす書き方を、コラム記事の回で金額と手続きのキーワードに基づく作り方を扱い、本記事でそれらを相談へつなぐ導線を仕上げました。次は離婚(請求者側)の総合案内ページで全体を振り返り(→離婚(請求者側)で集客する)、他分野の各論へ進むか、総論13(→成果計測と改善)で今回作った導線を数値で検証する方法へ進みましょう。作ったものを測り、測った結果で直す。ここからが継続的な集客の始まりです。
監修: 花井 直哉(キジラク運営)