同じ地域の他事務所と差別化する方法

この章で学ぶこと

同じ地域で同じ分野を扱う他事務所のホームページと、自分のサイトを見比べてみると、書いてある内容がほとんど同じだった。この章では、差別化のための4つの方法(実績の数字・対応体制・料金の透明性・事例)を学びます。差別化とは他にない強みを新たに作ることではなく、すでにやっていることを相談者が比較できる形で書くことです。

差別化できない原因は「同じことを同じ書き方で書いている」こと

多くの法律事務所のホームページには、以下のような記載があります。

  • 「離婚問題に力を入れています」
  • 「相続に関するお悩みはお任せください」
  • 「交通事故の被害者を全力でサポートします」

これらは間違った記載ではありません。しかし、同じ地域の他事務所のサイトにも同じ文言が並んでいる場合、相談者にとっては何も判断材料がないのと同じです。

差別化できない原因は、独自性がないことではなく、書き方が抽象的すぎることにあります。「力を入れている」と書いてあっても、何をどの程度やっているのかが伝わらなければ、他の事務所との違いは見えません。

相談者は複数の事務所のサイトを比較しています。比較するとき、抽象的な表現は判断材料になりません。具体的な数字や事実が書いてある事務所のほうが、信頼感を持たれやすくなります。

方法1: 実績を数字で見せる — 件数・年数・対応割合

実績を言葉で書くと、どの事務所も同じ表現になります。「豊富な実績」「多数の解決実績」。相談者にとって、この表現からは何も判断できません。

数字で示すことで比較の対象になる

抽象的な表現 具体的な表現の例
豊富な実績があります 離婚事件の相談件数は年間○○件です
長年にわたり対応しています 相続分野は○年にわたり取り扱っています
多くの案件を手がけています 取扱案件の○割が交通事故の被害者側です

数字を出すことに抵抗がある場合は、「○件以上」「○年以上」といった概数でも構いません。重要なのは、相談者が他の事務所と比べられる情報があるかどうかです。

なお、数字を誇張してはいけません。掲載する数字は、実際の数字に基づくものに限ります。誇大な表記は弁護士の広告規制に抵触する可能性もあります。

方法2: 対応体制を具体的に書く — 時間・方法・スピード

対応体制は、事務所ごとに差が出やすい部分です。しかし、多くのサイトでは「迅速に対応します」「丁寧にご説明します」のような表現にとどまっています。

相談者が知りたい具体的な情報

  • 平日の対応時間は何時から何時までか
  • 土日・祝日の相談は可能か
  • 夜間の相談に対応しているか(対応している場合、何時まで可能か)
  • 初回相談はオンライン(Zoom等)でも可能か
  • 問い合わせから初回面談までの通常のスケジュール感
  • 電話での相談に対応しているか、面談のみか

例えば「土日の相談に対応している」ことは、平日に仕事がある相談者にとって大きな判断材料です。他事務所のサイトに土日対応の記載がなければ、この一点だけで選ばれる可能性があります。

ただし、対応できないことを「対応可能」と書いてはいけません。現実に提供できる体制だけを記載し、その範囲で他事務所との違いを出すことが重要です。

方法3: 料金の透明性で選ばれる — 他がぼかす部分を明示する

法律事務所のサイトで最もばらつきがあるのが、料金の記載です。詳細に記載している事務所もあれば、「お問い合わせください」としか書いていない事務所もあります。

料金が分からないことの影響

相談者にとって、費用が分からないことは問い合わせの大きな障壁です。「聞いたら高額な請求をされるのではないか」「相場が分からないから判断できない」という不安が生じます。

同じ地域の他事務所が料金をぼかしている場合、自分の事務所が料金を明示するだけで差別化になります。

料金を記載する際のポイント

  • 初回相談料(無料か有料か。有料の場合、いくらか)
  • 着手金の目安(「○万円〜」のような表記でも、ないよりはよい)
  • 報酬金の計算方法(「経済的利益の○%」など)
  • 追加費用の有無(日当・交通費・実費の扱い)

正確な金額が出せない場合でも、「離婚調停の着手金は○万円〜○万円」のように幅を持たせて記載すれば、相談者は少なくとも概算の見当がつきます。

費用が他事務所より高い場合でも、明示すること自体に価値があります。料金が分かった上で選んでくれた相談者は、費用に関するトラブルが起きにくく、依頼後の関係がスムーズになります。

方法4: 事例で「この分野に強い」を示す

取扱分野のページに「離婚問題を扱っています」と書くだけでは、他事務所と同じ見え方になります。実際にどのような案件を扱ってきたかを事例として示すことで、「この事務所はこの分野の経験がある」という印象が伝わります。

事例を掲載する際の注意点

  • 依頼者の個人情報は特定できないように加工する(守秘義務の遵守)
  • 事件の概要・対応内容・結果を簡潔にまとめる
  • 依頼者の許諾を得てから掲載する

事例の記載構成

項目 内容
相談内容 配偶者からの離婚請求に対する対応
依頼者の状況 離婚には応じるが、財産分与の条件に納得できない
対応内容 相手方との交渉を代理し、調停を申し立て
結果 調停により当初提示額から増額した分与額で合意

事例の数は多いほうが望ましいですが、最初は3〜5件あれば十分です。重要なのは数より、その事務所が実際にどのような案件を扱っているかが伝わることです。

事例を掲載していない事務所が多い地域であれば、数件の事例を載せるだけで明確な差別化になります。

まとめ — 今ある情報の見せ方を変えるだけで差別化できる

差別化のために特別な強みを新たに作る必要はありません。実績を数字で示す、対応体制を具体的に書く、料金を明示する、事例を載せる。この4つは、いずれも今ある情報の見せ方を変えるだけで実行できます。

相談者は複数の事務所のサイトを比較して連絡先を選んでいます。比較されたときに、自分の事務所のサイトに具体的な情報があれば選ばれやすくなります。まず同じ地域の他事務所のサイトを確認して、自分のサイトとの違いがどこにあるかを見てみてください。足りない情報が見つかれば、それが最初に手をつけるべき箇所です。

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