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トップページの設計──急いでいない検索者を制度への入口で迎える

結論・要点

相続(生前対策)専門サイトのトップページは、「今すぐ相談してください」ではなく「まず知ってください」を入口に据えた構成が求められます。引用可能な検索キーワード1,042件では、相談への近さは「まだ先」が48%と半数近くを占め、「今すぐ相談したい」段階は3%。関心の中心は制度の意味と手続きの進め方です。必要な要素(What)→根拠(Why)→実例(How it looks)の3層で解説します。

目次

  1. 相続(生前対策)トップページに必要な要素(What)
  2. なぜこの構成が必要か──総論の知識で理解する(Why)
  3. サンプルサイトで見る実例(How it looks)
  4. 実践チェックリスト

相続(生前対策)専門サイトのトップページは、「今すぐ相談してください」ではなく「まず知ってください」を入口に据えた構成が求められます。引用可能な検索キーワード1,042件では、相談への近さは「まだ先」が48%と半数近くを占め、「今すぐ相談したい」段階は3%。関心の中心は制度の意味と手続きの進め方です。必要な要素(What)→根拠(Why)→実例(How it looks)の3層で解説します。

相続(生前対策)トップページに必要な要素(What)

この分野が他分野と決定的に違うのは、検索者にまだ何も起きていないことです。離婚も交通事故も、検索者は問題が起きた後に検索していました。生前対策の検索者は元気なうちに備えを考え始めた人で、急かすファーストビューは逆効果になります。

ファーストビューに置くべき4点セット

スクロールなしで見える範囲に次の4点を入れます。他分野と違うのは、4つ目が「相談」ではなく「知る」ための出口だという点です。

  • 分野名+立場の明示: 「相続」だけでは足りません。この語は、家族を亡くして手続きに追われている人も使う言葉です。「ご自身の相続に備える方へ」のように備える側のサイトだと示します
  • キャッチコピー: 訪問者の心理は「家族に争いを残したくない」「認知症になった後が心配」に集約されます。準備すれば選べるものがあると伝えるトーンが合います
  • 制度への入口: 遺言・生前贈与・家族信託・事業承継といった制度名を、ファーストビュー内かその直下に並べます。訪問者は名前だけを知って中身を知らないため、制度名が最短の入口になります
  • ハードルの低い出口: 問い合わせボタンだけでは半数の訪問者が使いません。資料請求など名前を伏せたまま先へ進める出口を隣に並べます

スクロール後のレイアウト順序

続くコンテンツは次の順で積み上げます。右端は、その要素が応える検索ニーズです。

要素(上から順) 目的 応える検索ニーズ
ファーストビュー(分野+備える側の立場+CTA) 3秒で「生前対策の相談窓口」と伝える どこに頼むか選びたい
対策手段別の入口(遺言・生前贈与・家族信託・事業承継・遺留分対策) 名前しか知らない制度から入らせる 制度の意味を知りたい(24.3%)
手続きの進め方への導線(遺言書の書き方・作成の流れ) 自分で動き始めた訪問者を受ける 進め方・手続き(25.4%)
きっかけ別の入口(認知症・不動産・事業承継・孫への贈与) 自分の事情から入らせる 自分のケースについて(14.2%)
税金と弁護士報酬を分けた料金導線 2種類のお金を混同させない 税金や費用がいくらか(17.0%)
弁護士写真+経歴+他士業との連携体制(ページ上半分) 長期の関係を託せる相手だと示す どこに頼むか選びたい
相談から実行、その後の見直しまでの流れ 一度きりで終わらない関係を示す 進め方・手続き
資料請求など低ハードルの出口+最終CTA(最下部) 「まだ先」の訪問者を離脱させず残す 情報収集段階の訪問者全体

なぜこの構成が必要か──総論の知識で理解する(Why)

ファーストビュー3秒で「備える側の相談窓口」と伝える(総論04)

総論04で学んだとおり、訪問者は約3秒でそのサイトを使い続けるかを判断します。この分野では、その3秒に2つの難しさがあります。

1つ目は立場の混在です。「相続税」(月間135,000回)も「遺留分」(月間12,100回)も、これから備える人と、すでに相続が起きて手続きに直面している人が同じ言葉で検索します。備える側は選択肢の設計を、直面している側は期限への対処を求めており、正反対です。相続人側では重点が変わるため、両方を1ページで受けるとどちらにも中途半端になります。

2つ目は時間軸の遠さです。訪問者の多くは今日明日に何かが起きるわけではなく、「無料相談はこちら」だけが並ぶファーストビューは自分向けでないと判断されます。立場を1行で示し、隣に制度名を並べる設計は、今日は読むだけの訪問者に居場所を与えるためのものです。

また総論05(E-E-A-T)の観点から、弁護士の顔写真・経歴・実績はページ上半分に置きます。遺言も生前贈与も税金と不動産の名義がほぼ必ず絡むため、生前対策では他士業との連携体制が信頼の中身になります。

検索データが示す平時の検索者──半数は「相談はまだ先」

集計対象は検索ボリューム100回以上の1,331件のうち、分野の語を含み関連度の基準を満たした1,042件(78%)です。分野語の含有率89.3%は、これまで扱った5分野のなかで最も高い水準でした(先行の4分野は離婚の請求する側・請求された側と、交通事故の被害者側・加害者側)。

  • 進め方・手続きを知りたい: 265件(25.4%) ── 最多
  • 制度の意味を知りたい: 253件(24.3%) ── 僅差の第2位。全分野で最高値
  • 税金や費用がいくらか: 177件(17.0%)/自分のケースについて: 148件(14.2%)/選択肢を比べたい: 67件(6.4%)/条件を知りたい: 57件(5.5%)/リスク・デメリット: 45件(4.3%)/どこに頼むか: 23件(2.2%)
  • 相談窓口を探すこと自体が目的の検索: 7件(0.7%) ── ほぼ存在しない(相談への近さで見た「今すぐ」3%とは別の集計です)

相談への近さは、考え始めている段階が49%、まだ先の段階が48%、今すぐが3%。検索の性格は情報収集が90%です。離婚や交通事故で「まだ先」は1〜2割でしたから、48%は突出しています。

キーワード 月間検索数 検索者が知りたいこと
相続税 135,000 そもそもどういう税金か
贈与税 90,500 贈与にかかる税の仕組み
生前贈与 81,000 生前に渡すとはどういうことか
遺言書 書き方 44,400 自分で書く手順と様式
贈与税 税率 40,500 いくら課税されるか
家族信託 29,600 名前は聞くが中身が分からない

(キジラク調べ・2026-08-13集計)

制度名そのものが最大の入口になる

「制度の意味を知りたい」24.3%は、どの分野より高い数値です(離婚の請求者側10.9%、交通事故の被害者側7.0%)。上位もほとんどが制度そのものの名前で、「家族信託」29,600回に加えて「家族信託とは」24,410回、語順違いの「信託 家族」14,800回が並びます。検索者は制度の名前を聞いたことがあるだけで、それが何なのかを知りません。制度をわかりやすく説明することが、この分野では集客そのものになります。

対策手段 入口として使えるキーワード トップページでの見せ方 併せて置く不安の受け皿
遺言 遺言書 書き方 44,400/公正証書遺言 24,200 自筆と公正証書の違いから入る 遺言書 効力 13,200/自筆証書遺言 要件 1,180
生前贈与 生前贈与 81,000/相続時精算課税制度 33,100 税金の全体像と制度の比較をセットで 110万円贈与 廃止いつから 3,600/暦年贈与 7年 1,600
家族信託 家族信託 29,600/家族信託とは 24,410 認知症への備えという文脈で示す 家族信託 デメリット 3,200/必要ない 2,400
事業承継 事業承継 24,200 経営者向けの独立した入口 事業承継 弁護士 220
遺留分対策 遺留分 12,100 遺言とセットで扱う 遺言書 遺留分 1,000

注目してほしいのは右端の列です。どの制度にも「デメリット」「危険」「必要ない」という不安側のキーワードが対になっています(「家族信託 危険」「家族信託 後悔」各1,300回)。制度を勧めるだけのページは届きません。向かないケースを併記したほうが信頼を得ます。

「認知症 口座凍結」1,300回、「認知症 銀行口座」1,000回には、検索者が生前対策を考え始めるきっかけが現れています。こうした身近な事象からの入口も併設すると、制度名を知らない訪問者を拾えます。

手続きは「遺言書の書き方」から始まる

最多は「進め方・手続きを知りたい」25.4%です。上位は「遺言書 書き方」44,400回、表記違いの「遺言書の書き方」22,200回、「法務局 遺言書」4,400回。贈与では「贈与契約書 ひな形 国税庁」8,700回、「家族信託 手続き」8,700回が並びます。

ここに他分野との大きな違いがあります。生前対策の検索者は、まず自分でやろうとしています。ひな形や様式を探す検索がこれだけ並ぶ分野は他にありません。この層を切り捨てるのは得策ではありません。自分で書こうとした人が要件の厳しさや遺留分をめぐる争いに気づいて相談に至るからです。書き方の解説へ導線を通し、末尾で相談につなげる設計にします。

「費用」17.0%の中身は税金であって弁護士報酬ではない

「税金や費用がいくらか知りたい」は17.0%で、離婚の請求者側3.8%、交通事故の被害者側1.7%と比べ突出しています。ここを弁護士費用への関心が高いと読み違えてはいけません。上位は「贈与税 税率」40,500回、「生前贈与 非課税」16,200回、「生前贈与 税金」13,200回で、大半が税金の話です。比較的それに近いのは「公正証書遺言 費用」5,800回と「家族信託 費用」5,700回ですが、この2語で調べられているのも弁護士報酬の単価ではなく、公証人手数料などを含めた総額です。

  • 料金導線は「税金の話」と「当事務所の報酬」を分ける: 混在させると訪問者は税額と報酬を足し算で受け取ります。見出しレベルで分離してください(報酬表示の規程上、算定方法の明示も必要です)
  • 担当範囲と連携体制を示す: 相続税の申告も登記も、法律上は弁護士が行えます(税理士業務は税理士法51条の通知が要ります)。ただし実務では税理士・司法書士に任せる事務所が多く、費用も別建てになります。だからこそ自事務所で実際に対応する範囲を書き、対応しない業務を対応するかのように示さないことが求められます

比較相手は他事務所ではなく他士業と銀行

「どこに頼むか選びたい」は23件(2.2%)と多くありませんが、中身が示唆的です。上位は「遺言書 司法書士」1,300回、「家族信託 銀行」1,170回、「遺言書 行政書士」480回。弁護士は「遺言書 弁護士」320回と下位です

比較対象は隣の法律事務所ではなく、司法書士・行政書士・信託銀行です。トップページには弁護士に頼むと何が違うのかを短く示す一節を置く価値があります。争いを未然に防ぐ設計と、争いになったときそのまま代理人として動ける点が軸です(他資格の業務を貶める表現は避けてください)。なお制度名の汎用キーワードは金融機関・税理士法人・大手ポータルが上位を占めるため、実務判断を要するキーワードと地域名の掛け合わせに余地があります。

サンプルサイトで見る実例(How it looks)

ここまでの原則が実際のページでどう表れるかを、キジラクの制作代行で作ったサンプル(sample-souzoku.kijiraku.com)で確認しましょう。このサイトは相続人側を主に想定した構成のため、「生前対策側に作り替えるとどこが変わるか」の読み替えを併せて示します。数値・住所・電話番号・声はすべて架空です。

ヘッダーとヒーロー──「相続」だけでは足りない

ヘッダーにはグローバルナビ(Home/業務紹介/解決事例/料金のご案内/事務所紹介/相続コラム/お問い合わせ)が並び、右端に「TEL: 03-0000-0000」(架空)が常時表示されています。ファーストビューはH1「相続のことだけを、深く。」、サブテキスト「遺産分割・遺言・相続放棄から相続税対策・家族信託まで。」、CTA「ご相談はこちら」です。

機能・なぜここに置くか: H1で分野が3秒で伝わり(総論04)、サブテキストに遺言・家族信託が入っているため生前対策の訪問者も自分向けだと判断できます。

生前対策側に作り替えるなら: 相続人側の業務と生前対策が同居しており、立場が絞れていません。「ご自身の相続に備える方へ」の一行を足せば、備える側への宣言が最上部で完了します。電話番号の常時表示は緊急層向けの設計ですが、今すぐ相談したい検索者は3%です。優先度を下げ、その位置に「制度をまず知る」導線を置くほうが合います。地域名も同じ位置に入れてください。

事務所紹介・強み・実績──他士業との連携が信頼の中身

ヒーローの下には2010年設立の事務所紹介「相続専門の弁護士チームが、提携税理士・司法書士と連携したワンストップ体制で対応します。」、実績カウンター4項目(架空)、「私たちの強み」6項目(相続専門特化/初回60分相談無料/土日夜間相談予約可/税理士連携/司法書士連携/オンライン相談可)があります。

機能・なぜここに置くか: 強み6項目のうち2つが他士業との連携です。生前対策では税と不動産の名義変更がほぼ必ず絡むため、連携体制がこの分野固有の信頼要素になります(E-E-A-T・総論05)。司法書士や信託銀行が比較対象になる分野では、この明示が回答そのものです。

生前対策側に作り替えるなら: カウンターは自事務所の実績を使います。示す価値があるのは解決件数よりも、遺言執行者への就任件数のように長期の関与を表す指標です。「専門特化」の表記は業務広告規程に配慮した言い換えを検討してください。節税額の平均は税制改正で前提が変わるうえ成果保証と読まれかねないため避けます。

取扱業務カード──相続人側の並びを対策手段別に組み替える

「取扱業務」として8カードが並びます。遺産分割/遺言書作成・執行「公正証書遺言の起案、遺言執行者就任に対応します。」/相続放棄・限定承認/遺留分侵害額請求/相続不動産/生前贈与・家族信託/相続税対策「申告は提携税理士と連携し、ワンストップで対応します。」/国際相続・特殊案件です。

機能・なぜここに置くか: 8枠のうち生前対策側は3枠で、残りは相続後の業務です。「相続税対策」カードの一文は線引きの手本で、申告は提携税理士と連携すると明記し、弁護士が行う範囲を誤解させていません。

生前対策側に作り替えるなら: 3枠では検索の広がりを受け止めきれません。「生前贈与・家族信託」を分け、遺言/生前贈与/家族信託/事業承継/遺留分対策の5枠にします。とくに事業承継は月間24,200回ありながらカードがなく大きな欠落です。各カードの一行説明に「認知症になる前に」「事業を継がせたい」といったきっかけの言葉を混ぜてください。

ご相談から解決までの流れ──「まだ先」の訪問者に見通しを与える

業務カードの下に3ステップが置かれています。ご相談(初回60分無料・架空の設定)→ 方針のご提案「想定される手続きの選択肢と費用・期間の見通しをご説明します。」→ 正式受任・実行「協議・書類作成・裁判所手続きなどを実行します。」という流れです。

機能・なぜここに置くか: 手続きを知りたい検索者が最多の分野ですから、流れの提示は需要の大きい要素です。

生前対策側に作り替えるなら: 第3ステップが「裁判所手続き」で終わる紛争解決型の流れです。生前対策では ご相談 → 財産と家族関係の整理 → 対策の設計 → 書面の作成・公証役場での手続き → 保管と定期的な見直し → 相続発生時の遺言執行 と続きます。作って終わりではないと示せば、長期の関係を前提とした事務所だと伝わります。相談がまだ先の訪問者が依頼後の姿を想像できる数少ない場所です。なお期間や税負担の見通しは税制改正の影響を受けるため、断定は避けてください。

相談者の声・CTAバンド──「起きなかったこと」をどう見せるか

ページ後半にはオフィス情報(東京本部・大阪・福岡/架空)と相談者の声3件が並びます。うち生前対策は1件で、「認知症の母の生前対策として家族信託をご提案いただき、安心して資産管理を任せられました。」(架空・千葉県・70代)。残り2件は遺産分割協議の難航と遺言書の検認です。最下部には「相続のお悩み、まずはご相談ください」+CTAボタンのバンドがあります。

機能・なぜここに置くか: 生前対策の声は獲得額や勝敗で語れません。成果が「争いが起きなかったこと」という、起きなかった出来事だからです。掲載の1件は「安心して任せられた」という状態で表現しており、断定せずに価値を伝える手本になります。

生前対策側に作り替えるなら: 声は認知症への備え・事業承継・孫への贈与など、きっかけの違う場面に入れ替えます。掲載には本人の同意と匿名化が必要で、「遺言があれば必ず揉めません」のような断定は使えません。CTAも相談一択にしないでください。検索者の90%が情報収集の段階にあり、半数近くは相談がまだ先です。連絡先を預けずに進める出口(資料請求・チェックリストの配布)を並べれば、今日は読むだけの訪問者を残せます。

実践チェックリスト

  • □ ファーストビューに「相続」+「ご自身の相続に備える方へ」の立場が明示されているか
  • □ 遺言・生前贈与・家族信託・事業承継・遺留分対策という対策手段別の入口があるか
  • □ 制度を勧めるだけでなく、向かないケースやデメリットの受け皿があるか
  • □ 認知症への備え・事業を継がせたいなど、きっかけからの入口があるか
  • □ 税金の話と当事務所の弁護士報酬が、見出しレベルで分かれているか
  • □ 税理士・司法書士との連携体制と業務の線引きが示されているか
  • □ 相談から書面作成、その後の見直しと執行までの流れが示されているか
  • □ 問い合わせ以外に、連絡先を預けずに進める出口(資料請求等)があるか

この3層で理解すると、「なんとなく作る」から「根拠を持って設計する」に変わります。次の記事では、対策手段別の分類をページ構成にどう落とすかを同じ3層構造で解説します(→ 業務紹介ページの作り方)。

監修: 花井 直哉(キジラク運営)

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