業務紹介ページの作り方──手続き別×争点別の二軸で設計する
結論・要点
離婚(請求者側)の業務紹介ページは、手続き別(協議・調停・裁判)と争点別(財産分与・親権・養育費・慰謝料・DV)の二軸で設計します。請求者側の検索データでは「いくら受け取れるか知りたい」という検索が28.9%、「進め方・手続きを知りたい」という検索が22.8%で、この二つが関心の上位を占め、これがそのまま争点軸と手続き軸に対応するからです。必要な要素(What)→根拠(Why)→実例(How it looks)の3層で解説します。
目次
- 業務紹介ページに必要なコンテンツ(What)
- なぜこの構成が必要か──総論の知識で理解する(Why)
- サンプルサイトで見る実例(How it looks)
- 実践チェックリスト
離婚(請求者側)の業務紹介ページは、手続き別(協議・調停・裁判)と争点別(財産分与・親権・養育費・慰謝料・DV)の二軸で設計します。請求者側の検索データでは「いくら受け取れるか知りたい」という検索が28.9%、「進め方・手続きを知りたい」という検索が22.8%で、この二つが関心の上位を占め、これがそのまま争点軸と手続き軸に対応するからです。必要な要素(What)→根拠(Why)→実例(How it looks)の3層で解説します。
業務紹介ページに必要なコンテンツ(What)
業務紹介ページは、業務を並べる一覧ページ(/service/)と、業務ごとに説明する個別業務ページの二層です。最初に決めるのは、個別ページを何を単位に切るか、つまり分類軸です。
分類軸は「手続き別×争点別」の二軸で決める
離婚を決意して弁護士を探す人の頭には、二種類の問いが同時にあります。「これからどういう手順を踏むのか」という手続きの問いと、「財産・子ども・お金を何をどこまで請求できるのか」という争点の問いです。別々の軸なので、片方だけでページを切ると必ず穴が開きます。
手続き軸は協議・調停・裁判という進行段階でページを切る考え方で、「協議離婚 流れ」「離婚 手続き」に答え、まだ何も始めていない相談者に見通しを与えます。ただし「養育費はいくら取れるのか」には答えられません。争点軸は財産分与・親権・養育費・婚姻費用・慰謝料・DVという決めるべき事項ごとにページを切る考え方で、金額系の検索に答えられる一方、「それをどう決めるのか」の道筋が抜け落ちます。
そこで、手続き軸のページを1本、争点軸のページを5本前後という構成にし、手続きページから各争点ページへ、争点ページから手続きページへと双方向にリンクを張るのが請求者側の標準形です。
個別業務ページの基本構成
個別業務ページは、どちらの軸でも次の6要素で構成します。順序にも意味があります。
- 悩みの提示: 「こんなお悩みはありませんか」の形で扱う状況を4項目前後で列挙し、「自分のことだ」と確認する入口にする
- 業務概要: 制度の説明と弁護士が具体的に何をするか。定義(財産分与とは・親権とは)を省略しない
- 解決までの流れ(STEP形式): 相談から解決までを4〜5段階で可視化する。手続きページに限らず全ページに置く
- 金額の目安: 争点ページでは受け取れる側の金額(算定表の見方・相場の幅・増減の要因)に触れる
- 料金目安とよくある質問: 着手金・報酬金の目安と頻出質問3問前後。経済的利益ベースの報酬金は算定方法まで書く
- CTA: 問い合わせへの導線をページ末尾に必ず配置し、途中にも1〜2箇所置く
4番目の「金額の目安」と5番目の「料金目安」を混同しないでください。前者は依頼者が受け取る金額、後者は事務所に支払う費用です。請求者側の関心はまず前者にあります。
6業務のページ設計早見表
請求者側の専門サイトで標準的に用意する6ページを整理します。
| ページ | 軸 | 必ず載せる内容 | 対応する主なKW(月間検索数) |
|---|---|---|---|
| 離婚協議・調停・裁判 | 手続き軸 | 3段階それぞれの進み方・期間・弁護士の役割・段階が上がる条件 | 離婚 手続き(3,600)/協議離婚 流れ(880)/離婚 調停(24,200) |
| 財産分与 | 争点軸 | 対象財産の範囲・調査方法・算定の考え方・不動産の扱い・請求期限 | 離婚 財産分与(54,200)/財産分与とは(4,540)/財産分与 時効(880) |
| 親権・監護権 | 争点軸 | 親権と監護権の違い・判断基準(監護実績・環境・子の意思)・調停での主張の組み立て方 | 親権とは(2,510)/親権 監護権 違い(720)/親権 何歳まで(2,900) |
| 養育費・婚姻費用 | 争点軸 | 算定表の読み方・適正額の考え方・別居中の婚姻費用・公正証書化・未払い時の強制執行 | 養育費 相場(121,500)/養育費 算定表(66,200)/婚姻費用 算定表(36,300) |
| DV・保護命令 | 争点軸(緊急) | 保護命令の種類と効力・申立ての要件・証拠の残し方・住所を秘匿したまま進める方法 | DV 相談(3,600)/保護命令とは(880)/シェルター(33,100) |
| 不貞慰謝料 | 争点軸 | 相場の幅と増減要因・必要な証拠・配偶者と不貞相手それぞれへの請求・時効 | 不倫 慰謝料(36,200)/不倫 慰謝料 相場(5,400) |
数値は離婚(請求者側)のキーワードデータ(月間検索数100以上・2,977KW/キジラク調べ・2026-08-12抽出)によります。争点軸が押さえる検索数は手続き軸より一桁大きい一方、手続き軸のキーワードは「協議離婚 流れ」のように「進め方・手続きを知りたい」という意図がほぼ単独で突出しており、意図の純度が高いという違いがあります。二軸を両方持つ意味はここにあります。
なぜこの構成が必要か──総論の知識で理解する(Why)
二軸設計は感覚ではなく、検索データと総論の原則から導かれます。ここを言語化できると、ページを削る・足すときの判断が安定します。
争点軸の根拠──最大の関心は「いくら受け取れるか」(総論06)
総論06「キーワードの調べ方と検索意図」のとおり、ページの切り方は検索意図の分布に合わせます。請求者側の2,977キーワードで最も多い意図は「いくら受け取れるか知りたい」で859KW・28.9%、そのニーズが主要な関心になっているキーワードまで広げると914KW・30.7%です。
上位には「養育費 相場」(121,500)、「養育費 算定表」(66,200)、「不倫 慰謝料」(36,200)、「婚姻費用 算定表」(36,300)が並び、いずれも受け取る側の金額を調べる検索です。逆に自分が払う弁護士費用を調べる「費用がいくらか知りたい」という検索は114KW・3.8%にとどまります。請求者は費用より回収額を見ている、というのがデータの結論です。
受取額の検索は「養育費」「慰謝料」「財産分与」という争点の名前で行われます。だから争点ごとにページを立て、その中で金額の目安に必ず触れます。対比として、被請求者側(離婚(被請求者側)の業務紹介ページ設計)では最大の関心が「自分がいくら払うか」に反転し、争点の一覧は同じでも金額の向きが鏡像になります。
手続き軸の根拠──決意済みの検索者が「進め方」を探している(総論06)
第二の意図は「進め方・手続きを知りたい」で679KW・22.8%です。「離婚 手続き」(3,600)、「離婚 届 書き方」(29,600)、「離婚までの流れ」(1,600)、「協議離婚 流れ」(880)が該当します。この分布は、請求者側の検索者の多くがすでに離婚を決めており、迷っているのは進め方だけだと示しています。だから争点の解説とは別に、協議から裁判までの道筋を一本の線で見せるページが要ります。
さらに「やり方や選択肢を比べたい」という検索の上位には「協議離婚 調停離婚 違い」(720)、「親権 監護権 違い」(720)が並びます。検索者は隣り合う概念の区別に迷っているので、手続きページには協議・調停・裁判の違いを、争点ページには紛らわしい概念の違いを明示的に書きます。
| 比較項目 | 手続き軸のページ | 争点軸のページ |
|---|---|---|
| 答える検索意図 | 進め方・手続きを知りたい(22.8%)/やり方や選択肢を比べたい(違いの比較) | いくら受け取れるか知りたい(28.9%)/制度の意味を知りたい/できるかどうかの条件を知りたい(期限) |
| 代表KW | 離婚 手続き(3,600)/協議離婚 流れ(880) | 養育費 相場(121,500)/不倫 慰謝料(36,200) |
| 訪問者の状態 | 決意済みだが何から始めるか分からない | 争点は特定できているが金額と条件が分からない |
| ページの役割 | 全体の見通しを与え、各争点ページへ振り分ける | 個別の疑問に答え、相談の必要性を認識させる |
| 検索規模 | 小さいが意図の純度が高い(「進め方・手続きを知りたい」がほぼ単独で突出) | 大きいが競合も多い |
| 内部リンクの向き | 争点ページ・コラムへ広げる | 手続きページへ戻し、次の行動を示す |
二軸を交差させる──業務ページはトピッククラスタの中間層(総論05)
総論05のトピッククラスタでは、トップページ(ピラー)→業務ページ(クラスタ)→コラム記事という階層を作ります。業務紹介の個別ページはこの中間層で、二軸設計はこの層を格子状にすることを意味します。手続き段階と争点を掛け合わせると、訪問者が今どこにいて次に何を読むべきかが決まります。
| 手続き段階 | 訪問者の状態 | この段階で刺さる争点コンテンツ | 代表KW |
|---|---|---|---|
| 協議(話し合い) | 相手と直接交渉中。条件の相場を知りたい | 養育費・婚姻費用の算定表、財産分与の対象範囲、離婚協議書と公正証書の違い | 協議離婚 流れ(880)/養育費 相場(121,500) |
| 調停 | 協議が決裂。申立ての方法と期間を知りたい | 親権・監護権の判断基準、婚姻費用の調停申立て、調停が不成立になった場合 | 離婚 調停(24,200)/調停 不成立(320) |
| 裁判 | 調停も不成立。立証の見通しを知りたい | 不貞慰謝料の証拠、財産分与の資料開示、離婚原因の主張立証 | 離婚 訴訟とは(780)/不倫 慰謝料(36,200) |
| 緊急(DV) | 段階を踏む余裕がない。今すぐ避難したい | 保護命令の申立て、住所秘匿、避難先の確保 | DV 相談(3,600)/シェルター(33,100) |
DVだけは段階が飛びます。「今すぐ相談先を探している」検索の上位に「DV 相談」(3,600)が入るとおり、この訪問者は手続きの見通しより即時の安全確保を求めています。DVページだけは冒頭にすぐ連絡先を置きます。
検索意図の順番どおりに書く(総論07)
総論07「読まれて選ばれる記事の作り方」のとおり、ページ内の並び順は検索意図の強い順に合わせます。請求者側の業務ページでは、制度の説明→受け取れる金額の目安→手続きの流れ→条件・期限→料金とFAQ→CTAが基本です。
制度の説明が先頭に来るのは「財産分与とは」(4,540)「婚姻費用とは」(3,970)「親権とは」(2,510)といった定義系キーワードが各争点にあるためです。定義を飛ばして相場だけ書くとこの層が離脱し、逆に定義が長すぎると金額にたどり着く前に離脱するので、定義は数行にとどめます。「できるかどうかの条件を知りたい」という検索(130KW・4.4%)も落とせません。「養育費 何歳まで」(2,900)、「財産分与 時効」(880)、「離婚慰謝料 時効」(320)のように期限切れを心配する検索が各争点に存在し、期限に触れる記述は相談を先延ばしにしない理由にもなります。
「専門」を使わずに専門性を示す(業務広告規程)
業務紹介ページは事務所の能力を語る場所なので、業務広告に関する規程との距離が最も近いページです。特に注意すべきは「専門」表記で、日本弁護士連合会の業務広告に関する指針では、専門の表示は客観的な判定基準が確立していないため誤導のおそれがあるものとして慎重な対応が求められています。「離婚専門弁護士」「離婚専門事務所」といった表記は避けるのが実務上の標準です。代替表現には次のようなものがあります。
- 「離婚問題に注力しています」
- 「離婚案件を重点的に取り扱っています」
- 「離婚・男女問題の取扱件数が年間○件あります」(数字は事実の範囲で)
- 「離婚分野の取扱実績」(事実に基づく限り表示可能)
同じ理由で、成果を保証する表現も避けます。請求者側のページは金額を扱うため「必ず養育費を回収します」「慰謝料300万円を獲得できます」に流れやすい点に注意してください。「算定表に基づく適正額の取り決めを目指します」のように行為として何をするかで書くのが安全です。
なお、「どこに頼むか選びたい」という検索の上位は「不倫に強い弁護士」(320)、「養育費に強い弁護士」(140)、「親権に強い弁護士」(140)と争点別の強さで探されています。争点ごとにページを分けて内容の厚みで示すこと自体が、この検索への最も確実な答えです。
サンプルサイトで見る実例(How it looks)
ここまでの原則が実際のページでどう形になるかを、サンプルサイト(sample-rikon.kijiraku.com/service/)で確認します。
業務紹介一覧(/service/)── 6つの入口を軸ごとに揃える
一覧ページは「離婚・男女問題に関する業務をご紹介します」というリード文の下に6つの業務カードが並ぶ構成です。カードは業務名と1行の説明文からなり、養育費・婚姻費用は「養育費の適正額の算定・取り決め・未払い回収、および別居中の婚姻費用請求をサポート」と書かれています。
機能: 6枚のうち1枚が手続き軸(離婚協議・調停・裁判)、5枚が争点軸です。この配分がそのまま二軸設計の実装形です。カード下部には「ご相談の流れ」と「初回相談60分無料」のCTAが続きます。
なぜこの説明文か: 説明文が「算定・取り決め・未払い回収」と動詞で何をするかを書いている点に注目してください。「専門」と名乗る代わりに業務範囲の具体性で能力を示す書き方です。
自事務所への適用: カードは6〜8枚に絞り、説明文は50〜80字程度に。手続き軸のカードを先頭に置き「まず全体の流れを知りたい方はこちら」と明示すると、決意済みだが何から始めるか分からない訪問者を取りこぼしません。
離婚協議・調停・裁判ページ── 手続き軸の見本
手続き軸のページ(/service/rikon-kyougi/)は、「こんなお悩みはありませんか」→「業務概要」→「解決までの流れ」→「料金目安」→「よくある質問」→「関連する解決事例」→CTAの順です。
機能: 「解決までの流れ」がSTEP1「ヒアリング・方針決定」→STEP2「協議・交渉」→STEP3「調停申立て」→STEP4「裁判(訴訟)」→STEP5「離婚成立・書類作成」の5段階になっており、協議・調停・裁判が1本の線として繋がって見えることがこのページの価値です。
なぜ5段階か: 「協議離婚 流れ」は「進め方・手続きを知りたい」という意図がほぼ単独で突出したキーワードです。この訪問者が知りたいのは手続きの定義ではなく順番と分岐です。協議が決裂したら調停へ、不成立なら裁判へ、という分岐条件をSTEP間に書くとこの意図に答えられます。
自事務所への適用: STEPには実際の運用(初回相談の所要時間、方針決定までの日数、調停期日の頻度)を入れてください。「調停は月1回程度の期日で平均3〜5回」といった数字が、見通しの不安を最も直接的に減らします。
養育費・婚姻費用ページ── 争点軸で受取額に答える
争点軸の代表として養育費・婚姻費用ページ(/service/youikuhi/)を見ます。悩みの提示では「金額が適正か分からない」「支払われていない」「別居中の生活費」「増減額の相談」の4項目が並び、業務概要で算定表の説明に入ります。「養育費 相場」(121,500)「養育費 算定表」(66,200)というカテゴリ最大級のキーワード群に答える、請求者側サイトの中核ページです。
STEPの設計: STEP1「適正額の算定」→STEP2「相手方との交渉・調停」→STEP3「公正証書の作成」→STEP4「未払い時の強制執行」。取り決めて終わりではなく回収まで含めて4段階にしている点が請求者側らしい設計で、「養育費 未払い 公正証書 あり」のような、自分のケースについて知りたい人の具体的な検索もSTEP3・4が受け止めます。
金額の二層: このページには「受け取る金額」(算定表に基づく養育費)と「支払う費用」(着手金22万円〜、報酬金は得られた養育費2年分の11%〜)の両方が載っています。経済的利益ベースの報酬金は何を経済的利益とみなすかを明示するのが規程上の要請で、「養育費2年分」と算定の基礎を書いているのはそのためです。
自事務所への適用: FAQには「養育費はいつまで受け取れますか」を必ず入れてください。「養育費 何歳まで」は月間2,900で、「できるかどうかの条件を知りたい」という意図が強く出る高純度キーワードです。争点ページのFAQは、その争点の条件・期限に関するキーワードを拾う枠として使います。
なお不貞慰謝料ページ(/service/futei-isharyou/)は請求する側と請求された側の双方に触れています。請求者側の専門サイトとして作るなら請求する側の記述を厚くし、減額交渉の話は分量を抑えるのが筋です。被請求者側の業務紹介ページ設計と読み比べると書き分けの方向がはっきりします。こうした争点別・立場別のページ構成案は、キジラクの集客シミュレーションと記事作成機能でキーワードデータから組み立てることもできます。
実践チェックリスト
- □ 手続き軸のページ(協議・調停・裁判)を1本持っているか
- □ 争点軸のページを財産分与・親権・養育費・慰謝料など5本前後に分けているか
- □ 各争点ページに「受け取れる金額の目安」を書いているか(弁護士費用とは別に)
- □ 手続きの流れをSTEP形式で示し、段階が上がる分岐条件を書いているか
- □ 各争点の期限・時効に触れているか
- □ 「専門」ではなく「注力」「重点的に取り扱う」「取扱実績」等の表現を使っているか
- □ 報酬金を経済的利益ベースで示す場合、算定の基礎を明示しているか
- □ 手続きページと争点ページを双方向に内部リンクしているか
手続き別と争点別の二軸で業務を切り分け、各ページで検索意図の順番どおりに情報を並べれば、決意済みの相談者が自分の疑問に最短でたどり着くサイトになります。次の記事では、「実際にいくら獲得できたか」を守秘義務の範囲内で示す解決事例ページの設計を解説します(→ 解決事例ページの作り方)。
監修: 花井 直哉(キジラク運営)