業務紹介ページの作り方──被請求者側の状況別にサービスを設計する
目次
- 業務紹介ページに必要なコンテンツ(What)
- なぜこの構成が必要か──総論の知識で理解する(Why)
- サンプルサイトで見る実例(How it looks)
- 実践チェックリスト
離婚(被請求者側)専門サイトの業務紹介ページは、訪問者が「自分の状況がここにある」と判断できる状況別の設計が不可欠です。「財産分与」「親権」といった手続き名だけでページを並べると、被請求者側の検索者には刺さりません。検索データを分析すると、このカテゴリのキーワードの86%は「自分の状況ではどうなるか」という意図であり、業務ページの命名と構成を状況ベースに変えるだけで、訪問者が「これは自分に関係する」と気づく確率が大きく変わります。この記事では業務紹介ページに必要な要素(What)→なぜその構成が必要か(Why)→サンプルサイトで見る実例(How it looks)の3層で、実践に直結する設計を解説します。
業務紹介ページに必要なコンテンツ(What)
業務紹介ページには2つの層があります。複数の業務を並べる一覧ページ(/service/)と、業務ごとに詳しく説明する個別業務ページ(/service/youikuhi/ 等)です。それぞれで「何を書くか」の役割が異なるため、分けて整理します。
業務一覧ページの設計──手続き名ではなく状況別に並べる
一覧ページは「自分の状況に合った業務ページへの入口」です。ここで最も重要な設計判断は、業務の命名を手続き名から状況説明に変えることです。
手続き名で並べると、法律知識のある人には伝わりますが、被請求者側の多くは「財産分与」「親権」という言葉よりも「離婚したら家はどうなるの」「子どもはどちらが引き取るの」という問いを持って検索しています。カード名や説明文に状況を言語化することで、訪問者が「これは自分に関係する」と判断しやすくなります。
一覧ページのカードには次の3点を含めます。①業務名(短く・覚えやすい)、②状況説明(「〜でお悩みの方へ」「〜を請求された方へ」など)、③個別ページへのリンク。カードを6〜8枚程度に絞り、情報過多を避けることも大切です。
個別業務ページの基本構成
個別業務ページは次の5要素で構成します。
- 問題説明: 「この問題を放置するとどうなるか」から始める。被請求者側は「なぜ弁護士が必要なのか」がまだ分かっていない段階が多いため、リスクを先に示すことで危機感と必要性を認識させる
- 弁護士の関与内容: 「弁護士に依頼するとどう変わるか」を具体的に書く。「代わりに交渉します」より「○○の場合は△△という主張が有効で、弁護士が交渉することで□□という結果が得られる可能性があります」という具体性がE-E-A-Tを高める
- 手続きの流れ(STEP形式): 「相談→委任→交渉/調停申立て→解決」という流れをステップで可視化する。手続きへの不安を解消し、「自分でも乗り越えられる」という見通しを与える
- よくある質問(FAQ): 「費用はいくらかかるか」「何ヶ月かかるか」「有利になる可能性はあるか」などの頻出質問に答える。費用不安(このカテゴリ最多の動機)への回答は必須
- CTA(問い合わせへの誘導): ページ末尾に必ず配置。ページ途中にも中間CTAを1〜2箇所設ける
6業務のページ設計早見表
離婚(被請求者側)専門サイトのサンプルサイトには6つの業務ページが用意されています。各業務について、状況別ページ名の例と必ず載せるべき内容を整理します。
| 業務名 | 状況別ページ名の例 | 必ず載せる内容 | 対応する主なKW例 |
|---|---|---|---|
| 離婚協議・調停・裁判 | 離婚を切り出された方へ──交渉・調停・裁判の流れ | 3段階の手続き概要、各段階での弁護士の役割、有利な条件を引き出すためのポイント | 離婚協議 進め方、離婚調停 流れ |
| 財産分与 | 離婚時の財産をどう分けるか知りたい方へ | 財産分与の対象・計算方法、隠し財産への対応、請求された場合の減額交渉 | 財産分与 離婚(27,100)、財産分与 計算 |
| 親権・監護権 | お子さまの親権で悩んでいる方へ | 親権と監護権の違い、親権が決まる基準、調停・裁判での主張の仕方 | 親権 どうなる、親権 取り方 |
| 養育費・婚姻費用 | 養育費の支払い・受け取りで困っている方へ | 養育費相場(算定表の見方)、婚姻費用の計算、支払い拒否への対処法 | 養育費相場(81,000)、婚姻費用 相場 |
| DV・保護命令 | DVや身の危険を感じている方へ | 保護命令の種類と申立て方法、証拠の集め方、緊急時の相談先 | DV 弁護士 相談、保護命令 申請 |
| 不貞慰謝料 | 不貞慰謝料を請求された方へ | 慰謝料の相場・減額できるケース、証拠が不十分な場合の対処法、示談交渉の進め方 | 不倫慰謝料(36,200)、慰謝料 請求された |
(キジラク調べ・抽出日: 2026-07-16)
また、業務ページ内では「専門」という表記に注意が必要です。「離婚専門弁護士」という表現は弁護士業務広告規程上、使用を控えるべき表現です。「離婚問題に注力しています」「離婚案件の豊富な経験があります」「離婚問題を重点的に取り扱っています」といった代替表現を使います。これはH2-2で詳しく説明します。
なぜこの構成が必要か──総論の知識で理解する(Why)
総論で学んだ原則と、離婚(被請求者側)の検索データを接続することで、「なんとなく状況別に分けた」から「根拠を持って設計した」に変わります。
状況別分類の根拠──検索データが示すパターン(総論06)
総論06(キーワード調査と検索意図の理解)で学んだとおり、サイト設計はキーワードデータが示す検索意図に合わせることが基本です。離婚(被請求者側)の1,255キーワードを分析すると、86%のキーワードで「状況特定性」が高いという傾向が確認されています。(キジラク調べ)
「状況特定性が高い」とは、検索者が「自分は今〜という状況にある。だから〜を知りたい」という具体的な状況から検索していることを指します。「財産分与 計算方法」ではなく「離婚 財産 家 名義 夫」、「養育費」ではなく「養育費 払いたくない 減額」、「不貞 慰謝料」ではなく「不倫 証拠ない 慰謝料 請求された」といった検索パターンです。
これが業務ページの命名に直結します。ページ名が「財産分与」だけでは、「自分の状況との接続」がワンクッション必要です。「離婚時の財産をどう分けるか知りたい方へ──財産分与の基礎と被請求者側の対策」のように、状況説明を加えることで、訪問者が「これは自分に関係する」と即座に判断できます。
| 手続き名ページ名 | 状況別ページ名の例 | |
|---|---|---|
| 訪問者の判断 | 「財産分与のページだな」(何を書いてあるか分かるが、自分に関係するか判断できていない) | 「離婚時の財産をどう分けるか知りたい──これは自分の状況だ」 |
| 法的知識が少ない場合 | 「財産分与ってなんだろう」(まず言葉から調べ直す必要がある) | 「財産のことで悩んでいるなら、ここに書いてある」(即座に入れる) |
| 被請求者側の心理との合致 | 中立的(どちら側の人にも当てはまる表現) | 「請求された側」「悩んでいる方へ」で被請求者側を明示できる |
| SEO上の効果 | 「財産分与」単体のKW(競合が多い) | 「財産分与 離婚 どうなる」等の状況KWに対応しやすい |
E-E-A-TをサービスページでSEOに生かす(総論07)
総論07(E-E-A-T)で学んだとおり、Googleは特にYMYL(健康・法律・金融等、生活に重大な影響を及ぼす分野)のページに対して、高い専門性・権威性・信頼性を求めます。離婚の業務紹介ページはYMYLの典型です。
業務紹介ページでE-E-A-Tを高めるポイントは、手続きの細部まで正確に書くことです。「離婚調停の流れ」を「申立て→期日→成立/不成立」と書くだけでは一般情報サイトと変わりません。「申立てから第1回期日まで通常1〜2ヶ月かかります。期日は月1回のペースで、平均3〜5回の期日を経て成立に至る場合が多いです。調停が不成立になった場合、離婚裁判(離婚訴訟)に移行することになりますが、代理人弁護士の有無で主張の有効性が大きく変わります」という具体性がE-E-A-Tを高めます。
また、「〇〇弁護士が監修」「担当弁護士の経歴」「解決実績の件数」を業務ページ内またはサイドバーに表示することで、誰がこの情報を提供しているかを明示できます。
各業務ページはトピッククラスターの核(総論05)
総論05(トピッククラスター)では、「トップページ(ピラーページ)→業務ページ(クラスターページ)→コラム記事(サブトピック)」という階層構造を学びました。業務紹介の個別ページはちょうどこの中間層に位置します。
トップページからリンクされ、コラム記事(「養育費の計算方法を徹底解説」「不貞慰謝料の相場と判例まとめ」等)からリンクされることで、テーマの関連性がGoogleに伝わります。逆に言えば、業務紹介の個別ページからも関連コラム記事へのリンクを設けることで、サイト全体の内部リンク構造が完成します。
また、各業務ページが検索データの大ボリュームKWに対応する役割を担います。「養育費相場」(月間81,000検索)は養育費ページの関連コンテンツとして、「不倫慰謝料」(月間36,200検索)は不貞慰謝料ページの核として機能させることで、検索ボリュームを捕捉できます。
「専門」を使わずに専門性を示す書き方(広告規程)
弁護士業務広告規程では、事実と異なる表示や誇大広告が禁じられています。実務上、「専門」という表記は慎重に扱う必要があります。「離婚専門弁護士」「離婚専門事務所」という表現は、特定の分野のみを取り扱う事務所でなければ誇大広告と指摘されるリスクがあります。
代替表現としては次のものが使われています。
- 「離婚問題に注力しています」
- 「離婚案件の豊富な経験があります」
- 「離婚問題を重点的に取り扱っています」
- 「離婚に強い弁護士」(この表現も事務所によっては慎重に)
- 「離婚問題に精通した弁護士」
同様に、「必ず解決します」「必勝」「絶対に有利になります」といった断定表現も避けます。「ご相談の内容に応じて最善の方針を提案します」「多くの案件で依頼者にとって有利な結果を得てきました」のように、事実に基づく範囲で書くことが原則です。
サンプルサイトで見る実例(How it looks)
上記の原則が実際のページでどう表現されているかを、サンプルサイト(sample-rikon.kijiraku.com/service/)で確認しましょう。一覧ページと、特に重要な2つの個別業務ページをウォークスルーします。
業務一覧ページ(/service/)── 6つの入口を状況別に揃える
サンプルサイトの業務一覧ページには、6つの業務カードが並んでいます。各カードはアイコン+業務名+短い状況説明文で構成され、個別ページへのリンクになっています。
機能: 訪問者が「自分の問題はどれか」を一目で見渡せる入口です。業務一覧は事務所の取扱い範囲を示すと同時に、「ここに自分の状況がある」という安心感を与えます。
なぜここに置くか: 検索データの86%が「自分のケースについて知りたい」という状況特定型の意図であることを踏まえると、一覧ページは「状況の索引」として機能する必要があります。手続き名だけのカードでは索引として機能せず、状況説明を加えることで初めて「自分に関係するかどうか」が判断できます。
自事務所への適用ポイント: カード名に「〜でお悩みの方へ」「〜を請求された方へ」のような立場説明を添えましょう。被請求者側に特化するなら「慰謝料を請求された方へ」「離婚を切り出された方へ」のように前面に出す選択肢も有効です。スマートフォンではカードが縦に積まれるため、各カードの説明文は50〜80字程度に絞り、読まなくても状況が伝わるキャッチの短い表現にします。
養育費・婚姻費用ページ── 「リスク・デメリットを知りたい」と「進め方・手続きを知りたい」の両方に応える構成
サンプルサイトの養育費・婚姻費用ページは、「この問題を放置するとどうなるか」から始まり、弁護士の関与内容→STEP形式の手続き説明→FAQ→CTAという流れで構成されています。
機能: 「養育費相場」(月間81,000検索)という大ボリュームKWに対応しつつ、被請求者側として「いくら払うことになるか」「減額できるか」という疑問に答えます。
なぜこの順序か: 「放置するとどうなるか」というリスク・デメリットの説明を冒頭に置くことで、訪問者が「やはり対処が必要だ」と感じてから、「どう進めるか」という進め方・手続きの説明に入ります。逆順(手続き先・リスク後)では、まだ問題意識が薄い段階の訪問者が離脱しやすくなります。
自事務所への適用ポイント: STEPの内容は自事務所での実際の対応フローを反映させてください。「STEP1: 初回相談(60分・無料)→STEP2: 方針確認・委任契約→STEP3: 相手方との交渉または調停申立て→STEP4: 合意書または審判書の取得」のように、具体的な所要時間や費用感を含めると、訪問者の安心感が高まります。FAQには必ず「費用はいくらかかるか」を含めてください(費用不安がこのカテゴリ最多の動機です)。
不貞慰謝料ページ── 被請求者側に特化した差別化の見本
サンプルサイトの不貞慰謝料ページは、「不貞慰謝料を請求された方へ」という被請求者側の立場を最初のH2で明示し、「慰謝料が請求されたとき、どうすればよいか」という問いに正面から答える構成になっています。
機能: 「不倫慰謝料」(月間36,200検索)というボリュームKWに対して、請求された側(被請求者)視点で書かれたページです。請求する側向けの情報は多い一方、請求された側向けのコンテンツは相対的に少なく、差別化できます。
なぜこれが重要か: E-E-A-T(総論07)の観点から、「慰謝料が請求された場合に減額できるケース(不貞行為の証拠が不十分な場合、既に婚姻関係が破綻していた場合、慰謝料額が相場を大幅に超えている場合等)」を具体的に書くことで、弁護士としての専門知識が示されます。漠然と「ご相談ください」と書くだけでは信頼性が低い。具体的な法的根拠と判例を交えた記述がE-E-A-Tを高めます。
自事務所への適用ポイント: 「不貞行為の証拠がない、または薄い場合でも、弁護士が事実確認のうえ適切な反論を行うことが可能です」のような、弁護士の介入価値を具体的に示す文章を入れましょう。また、「請求された直後は感情的になりがちですが、まずは証拠の内容を確認することが最初のステップです」のように、被請求者の心理状態に寄り添う冒頭文が離脱を防ぎます。
実際にsample-rikon.kijiraku.com/service/から各業務ページに進んでみてください。各ページの構成と、状況別の言い回しの実例をそのまま参考にできます。キジラクの記事作成機能を使えば、こうした状況別の業務説明を効率的に作成できます。KWデータに基づいて各状況に合わせた文章の構成提案を受けながら、業務ページのコンテンツを揃えていくことができます。
実践チェックリスト
- □ サービスを状況別に分類しているか(手続き名だけでなく、状況説明を加えているか)
- □ 各業務ページに「この問題を放置するとどうなるか」(リスク説明)があるか
- □ 手続きの流れをSTEP形式で載せているか
- □ 「専門」ではなく「注力」「豊富な経験」等の表現を使っているか
- □ 各業務ページからお問い合わせへのCTAがあるか
- □ 関連する他の業務ページへの内部リンクがあるか
業務紹介ページの設計原則と実例が確認できました。What(一覧+個別ページの構成要素)→ Why(検索データと総論の根拠)→ How it looks(サンプルサイトの実例)の3層で理解することで、訪問者が「自分の状況がここにある」と感じるページを設計できます。次の記事では、解決事例ページの作り方を学びます。業務紹介ページで「何ができるか」を伝えた後、「実際にどう解決したか」を見せる事例ページの設計と、守秘義務との両立のしかたを解説します(→ 解決事例ページの作り方)。