この章で学ぶこと
SEO対策には、弁護士自身でできる施策と、専門の業者に任せたほうがよい施策があります。この章では、その線引きを「作業に技術的な知識が必要かどうか」という基準で整理し、自分でできる3つの施策については具体的な手順まで学びます。
まずは自分でできることに取り組み、効果を見てから外注を検討するかどうかを判断する――この考え方が、費用を無駄にしない進め方の基本です。
自分でできることと業者に任せるべきことは作業の種類で分かれる
SEO対策を「自分でやるか業者に任せるか」で分けるとき、判断基準になるのは作業に技術的な知識が必要かどうかです。
自分でできる3つの施策
- タイトルとメタディスクリプションの書き直し
- 取扱分野ごとのページの追加
- Googleビジネスプロフィールの整備
いずれも、文章を書くことが中心の作業です。法律の知識がある弁護士本人が書いたほうが、内容の正確さと説得力の両面で有利になります。
業者に任せるべき施策
- サイトの表示速度の改善
- 構造化データ(schema.org)の設定
- 内部リンク構造の設計
- 競合サイトの分析
これらはHTMLやサーバーの知識が前提になります。見よう見まねで触ると、既存のページが表示されなくなるリスクがあります。
以下、自分でできる3つの施策について、具体的な手順を見ていきましょう。
タイトルとメタディスクリプションを自分で書き直す手順
タイトル(titleタグ)とメタディスクリプション(meta description)は、検索結果に表示される文言です。ここが「○○法律事務所」だけになっていると、何を扱っている事務所なのかが検索結果からは分かりません。クリックされない以前に、検索エンジンがページの内容を正しく判断できません。
手順1: 現状を確認する
自分のサイトの各ページを開き、ブラウザのタブに表示されている文言を確認します。「○○法律事務所」としか書かれていないページがあれば、それが修正対象です。
手順2: タイトルを書き直す
タイトルには「地域名」「分野名」「事務所名」の3つを入れます。文字数は30文字前後を目安にしてください。検索結果で途中から切れるためです。
| 修正前 | 修正後の例 |
|---|---|
| ○○法律事務所 | 離婚・慰謝料のご相談|新宿 ○○法律事務所 |
| 業務案内 – ○○法律事務所 | 相続・遺言の取扱分野|横浜 ○○法律事務所 |
手順3: メタディスクリプションを書く
メタディスクリプションは、検索結果でタイトルの下に表示される説明文です。120文字前後で、そのページに何が書いてあるかを具体的に書きます。「お気軽にご相談ください」のような定型文ではなく、対応している手続きや地域を含めると検索者の目に留まりやすくなります。
手順4: WordPressの場合の設定方法
WordPressを使っている場合、Yoast SEOやAll in One SEOなどのプラグインを入れると、各ページの編集画面からタイトルとメタディスクリプションを入力できます。HTMLを直接触る必要はありません。プラグインを使っていない場合は、制作会社に「各ページのtitleタグとmeta descriptionを変更したい」と伝えれば対応してもらえます。
取扱分野ごとのページを自分で追加する手順
取扱分野を1ページにまとめて列挙しているサイトは多いですが、「離婚」と「相続」と「交通事故」を1ページにまとめると、Googleはそのページがどの検索に対応しているのか判断しにくくなります。分野ごとにページを分けることで、各分野のキーワードで検索されたときに該当のページが表示されやすくなります。
手順1: 分野を洗い出す
事務所で受任している分野を書き出します。「離婚」「相続」「債務整理」など、相談者が検索するときの単位で分けてください。「民事」「刑事」のような法律家の分類ではなく、悩みの単位で分けることがポイントです。
手順2: 各ページに載せる内容を決める
分野別ページに載せるべき項目は、おおむね次のとおりです。
- その分野でどのような手続きに対応しているか
- 相談から解決までの流れ
- 費用の目安(着手金・報酬金の料金表がある場合)
- 対応地域
文量は1,500字から3,000字程度で十分です。量を増やすために無関係な情報を足すと、ページの焦点がぼやけます。
手順3: ページを作成する
WordPressであれば「固定ページ」として新規作成します。URLは「/divorce/」「/souzoku/」のように分野名をローマ字か英語で付けます。「/page-1/」のような意味のないURLは避けましょう。
手順4: メニューとリンクを整理する
作成した分野別ページを、ヘッダーメニューの「業務案内」の下にぶら下げます。トップページからも各分野ページへリンクを張ります。ページが存在しても、サイト内のどこからもリンクされていなければ、検索エンジンはそのページを見つけられません。
Googleビジネスプロフィールを自分で整える手順
Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)は、「地域名 弁護士」で検索したときに地図と一緒に表示される情報です。ここが整備されていないと、地域からの検索で表示される機会を逃します。無料で登録・編集できます。
手順1: オーナー確認を済ませる
Googleビジネスプロフィールのサイト(business.google.com)にアクセスし、自分の事務所が登録されているか確認します。登録されていない場合は新規作成します。すでに登録がある場合は「オーナー確認」を行います。ハガキ、電話、またはメールで確認コードが届くので、それを入力すれば編集権限が得られます。
手順2: 基本情報を正確に入力する
次の項目を正確に入力します。ホームページに記載している表記と一致させることが重要です。
- 事務所名(正式名称)
- 住所(番地・建物名・階数まで)
- 電話番号
- 営業時間(土日対応の有無を含む)
- ウェブサイトのURL
- カテゴリ(「弁護士」「法律事務所」など)
手順3: 説明文と写真を追加する
「ビジネスの説明」の欄に、取扱分野と対応地域を含めた説明文を書きます。750文字以内で書けます。写真は、事務所の外観・内観・最寄り駅からのアクセスが分かるものを数枚登録しておくと、来所のハードルが下がります。
手順4: 口コミに返信する
口コミが付いている場合は、返信しましょう。良い口コミにも悪い口コミにも、事実に基づいて丁寧に返信します。口コミの数と返信の有無は、ローカル検索の表示順位に影響する要素のひとつとされています。
自分では難しい作業 — 技術的な内部施策と競合分析
ここからは、自分でやるよりも業者に任せたほうがよい作業について説明します。
サイトの表示速度の改善
ページの読み込みに3秒以上かかると、検索順位にも離脱率にも影響します。表示速度の問題は、画像の圧縮やサーバーの設定、キャッシュの設定など、技術的な対応が必要になります。Googleが提供しているPageSpeed Insightsで自分のサイトの速度を確認することはできますが、指摘された問題を修正するにはHTMLやサーバーの知識が要ります。
構造化データの設定
構造化データ(schema.org)は、Googleにサイトの情報を機械的に伝えるための記述です。法律事務所であれば、LegalService型やAttorney型の構造化データを設定することで、検索結果にリッチな情報が表示される可能性があります。ただしJSON-LDの記述はプログラミングに近い作業であり、間違えるとGoogleに誤った情報を伝えてしまいます。
競合分析
「地域名 弁護士 離婚」などのキーワードで上位に表示されている他の事務所のサイトを分析し、自分のサイトとの差を特定する作業です。ページ数、被リンク数、ドメインの強さ、コンテンツの構成などを比較します。AhrefsやSEMrushなどの有料ツールが必要になるうえ、数字の読み方にも経験が要ります。
これらの作業は、業者に依頼する場合も「何をやってもらうか」を具体的に指定したほうがよいでしょう。「SEO対策一式」のような曖昧な依頼をすると、成果の判断もできなくなります。
まとめ — 自分でできる3つから始めて、効果を見てから業者を検討する
SEO対策のうち、弁護士が自分でできるのは次の3つです。
- タイトルとメタディスクリプションの書き直し
- 取扱分野ごとのページの追加
- Googleビジネスプロフィールの整備
いずれも文章を書く作業が中心で、技術的な知識は不要です。一方、表示速度の改善、構造化データの設定、競合分析などは技術的な知識が前提になるため、業者に任せるほうが合理的です。
まずは自分でできる3つに取り組み、検索順位や問い合わせの変化を数ヶ月観察してください。その結果を踏まえて、業者への依頼が必要かどうかを判断するのが、費用を無駄にしない進め方です。