問い合わせフォームで離脱を減らす項目設計

この章で学ぶこと

問い合わせフォームは、相談者がサイト上で最後に接する部分です。ここで離脱されると、それまでのアクセスも導線も無駄になります。この章では、弁護士の問い合わせフォームにおいて必要な項目と不要な項目の切り分け、選択式と自由記述の使い分け、デザインとボタンの文言について学びます。フォームの項目数を必要最小限にすることで離脱を減らし、相談者が迷わずに送信できる設計を目指しましょう。

フォームの項目が多すぎると離脱率が上がる

フォームの項目が増えるほど、入力に時間がかかります。時間がかかるほど、途中でやめる人が増えます。これはフォーム設計の基本的な原則です。

項目が多くなりがちな理由

法律事務所のフォームで項目が多くなりがちな理由は、事務所側が事前に知りたい情報を全部フォームで取ろうとするからです。相手方の名前、紛争の経緯、証拠の有無、希望する解決方法。事務所側から見れば合理的な項目ですが、相談者から見れば、まだ相談するかどうか決めていない段階で、ここまで書かされるのは負担です。

項目数と通過率の関係

formrunの調査では、項目数7個以下のフォームは通過率21.7%、8個以上では16.6%という結果が出ています。項目が1つ増えるごとに、送信する人が減るという傾向は、業種を問わず共通しています。

法律事務所の場合、相談の性質上ある程度の情報は必要です。しかし、「フォームで全部聞く」のではなく「フォームでは最低限だけ聞き、詳細は初回の連絡時に確認する」という設計にするだけで、送信完了率は変わります。

弁護士の問い合わせフォームに必要な項目と不要な項目

フォームの項目は、「送信前に必ず必要な情報」と「初回連絡時に聞けば済む情報」に分けます。

項目 必要度 理由
名前 必要 折り返し連絡時に呼び名が必要
メールアドレスまたは電話番号 必要 連絡手段がなければ返信できない
相談分野(選択式) 推奨 担当者の割り振りや事前準備に必要。選択式なら負担が小さい
相談内容(自由記述) 推奨 概要を把握できれば折り返しがスムーズになる。ただし任意にする
住所 不要 初回連絡時に確認すれば済む
相手方の情報 不要 利益相反の確認は必要だが、フォームの段階で求めると離脱の原因になる
紛争の経緯の詳細 不要 初回面談で聞く内容であり、フォームで求める必要はない
証拠や資料の有無 不要 面談前に把握しても対応が変わらない
希望する解決方法 不要 相談者が適切な選択肢を知らない場合が多く、回答が難しい

最低限必要なのは、名前・連絡先・相談分野の3つです。相談内容の自由記述を加えても4つ。ここに「任意」の印をつけておけば、書きたくない人は空欄のまま送信できます。

利益相反の確認は法律上の義務ですが、フォームの段階で相手方の氏名を入力させると、まだ依頼するか分からない段階で相手の情報を出すことへの抵抗が生まれます。初回の電話やメールで確認するほうが、相談者の心理的負担は小さくなります。

選択式と自由記述の使い分け

フォームの項目は、選択式(プルダウン・ラジオボタン・チェックボックス)と自由記述(テキストエリア)に分かれます。それぞれに向き不向きがあります。

選択式が向いている項目

  • 相談分野(離婚・相続・交通事故・債務整理・その他 など)
  • 連絡希望時間帯(午前・午後・夕方以降 など)
  • 連絡方法の希望(電話・メール)

選択式の利点は、入力の手間が少ないことと、事務所側で分類しやすいことです。相談分野を選択式にしておけば、送信後すぐに担当者の割り振りができます。

ただし、選択肢が多すぎると逆効果です。相談分野を10以上に分けると、相談者が「自分の相談はどれに当てはまるか」を迷い始めます。5〜7個程度に絞り、最後に「その他」を入れるのが実用的です。

自由記述が向いている項目

自由記述は、相談者が自分の言葉で状況を伝えたい場合に有効です。ただし、必須にしないことが重要です。「何を書けばいいか分からない」という理由で離脱する人がいるためです。

自由記述の欄には、プレースホルダー(入力欄の中にうすく表示されるガイド文)を入れると、何を書けばよいかの見当がつきます。例えば「ご相談の概要をお書きください(任意)」のように表示します。

フォームのデザインとボタンの文言

項目の内容が適切でも、デザインや文言が原因で離脱が起きることがあります。

入力欄のサイズ

スマートフォンで表示したときに、入力欄が小さすぎてタップしにくいフォームは離脱の原因になります。入力欄の高さは指でタップできる大きさ(44px以上が目安)を確保してください。

エラー表示

必須項目を入力せずに送信ボタンを押したとき、何が足りないかが分かるようにします。ページの上部に「入力エラーがあります」とだけ表示されるフォームでは、どこを直せばよいか分かりません。エラーのある項目の近くに赤字でメッセージを表示するのが一般的です。

送信ボタンの文言

送信ボタンの文言は、「送信」よりも具体的な表現のほうが押しやすくなります。

文言 印象
送信 何が送信されるか分からず、やや不安
相談を申し込む 送信後に何が起きるかが明確
無料相談を予約する 費用がかからないことが伝わる(無料相談を実施している場合)
内容を確認する 確認画面がある場合に適切。いきなり送信されない安心感がある

送信後の画面

送信後に「送信しました」とだけ表示されるフォームでは、相談者は次に何が起きるか分かりません。「2営業日以内にメールでご連絡します」のように、次のステップを明示することで、送信後の不安を減らせます。

まとめ — 必要最小限の項目で、相談者が迷わずに送信できる形にする

フォームの項目数は、送信完了率に直接影響します。事務所が知りたい情報をすべてフォームで取ろうとすると、項目が増え、離脱が増えます。フォームでは名前・連絡先・相談分野の最低限を押さえ、詳細は初回連絡時に確認する設計にすれば、送信のハードルは下がります。

選択式と自由記述の使い分け、ボタンの文言、送信後の案内も、送信完了率に影響する要素です。一度設置したフォームを見直したことがなければ、スマートフォンで実際に操作して、自分が相談者の立場で送信できるかを試してみてください。

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