この章で学ぶこと
この章では、地域名と分野名を掛け合わせた3語以上のキーワードを自分で洗い出し、優先順位を付けるまでの手順を学びます。大きなキーワードを避け、自分の商圏と取扱分野に絞ったキーワードリストを作ることが目的です。
「弁護士 離婚」ではなく3語以上の掛け合わせを狙う理由
「弁護士 離婚」のような2語のキーワードは、月間検索数が多い反面、そのキーワードで上位を取ろうとしている競合も多くなります。弁護士ドットコムなどのポータルサイト、法律情報メディア、大規模事務所のサイトが上位を占めているため、開業したばかりの事務所や、サイトのページ数が少ない事務所がここに割り込むのは現実的に難しいです。
一方、「離婚 弁護士 渋谷」「相続放棄 弁護士 横浜市」のように3語以上になると、状況が変わります。
- 検索数は少ないが、競合も少ない。上位に表示される可能性が高くなります
- 検索者の意図が具体的になる。「渋谷で離婚の弁護士を探している人」というところまで絞られます
- 相談につながりやすい。地域名を含む検索は、実際に依頼先を探している段階であることが多いです
100人に読まれて0件の相談より、10人に読まれて1件の相談のほうが、事務所にとっては価値があります。3語以上の掛け合わせを狙うのは、その10人を見つけるための方法です。
手順1: 取扱分野を書き出して検索者の悩みに変換する
まず、事務所で受任している分野を書き出します。ただし「離婚」「相続」のような分野名だけでは足りません。その分野で相談に来る人が何に困って検索するかを考えて、悩みの言葉に変換します。
| 取扱分野 | 検索者の悩み(変換例) |
|---|---|
| 離婚 | 慰謝料 請求、養育費 払わない、不倫 証拠、離婚調停 流れ |
| 相続 | 遺産分割 揉めている、相続放棄 期限、遺言書 見つかった |
| 交通事故 | 示談金 低い、後遺障害 等級、保険会社 対応 |
| 債務整理 | 借金 返済できない、自己破産 デメリット、任意整理 費用 |
変換のヒントは、過去に受けた相談にあります。初回面談で相談者がどんな言葉を使っていたかを思い出すと、検索者が使う言葉に近づきます。法律用語ではなく、日常の言葉で書くのがポイントです。「財産分与」よりも「離婚 お金 分ける」のほうが、法律に詳しくない人の検索に近くなります。
手順2: 事務所の商圏に合う地域名を選ぶ
次に、悩みの言葉に掛け合わせる地域名を選びます。地域名の選び方は、事務所の商圏によって異なります。
都市部(東京23区・大阪市・名古屋市など)の場合
市区町村名よりも駅名のほうが検索に使われることが多いです。「新宿 弁護士 離婚」「梅田 弁護士 相続」のように、最寄り駅やターミナル駅の名前を使います。
地方の場合
駅名よりも市区町村名が使われやすいです。「○○市 弁護士 離婚」「○○郡 弁護士 相続」のようになります。市区町村名に加えて、県名も候補に含めます。
商圏が広い場合
車で30分圏内、電車で1時間圏内など、実際に相談者が来所する範囲を考えます。隣接する市区町村やターミナル駅も候補に入れます。
ひとつの事務所で、地域名の候補は3つから5つ程度になるのが一般的です。あまり多くしすぎると、それぞれのキーワードに対応するページを作る工数が増えてしまいます。
手順3: ツールで検索ボリュームと競合を確認する
手順1と手順2で出した「悩み × 地域名」の組み合わせについて、実際に検索されているかどうかをツールで確認します。
無料で使えるツール
- Googleキーワードプランナー: Google広告のアカウントがあれば無料で使えます。キーワードの月間検索数の目安と競合の強さが分かります。広告を出稿していない場合、検索数は「10〜100」のような幅で表示されます
- Google検索のサジェスト: 検索窓に「離婚 弁護士 渋谷」と入力したときに表示される候補です。実際に検索されている組み合わせが表示されます
- Googleトレンド: キーワードの検索量の推移が分かります。季節的な変動がないか確認するのに使えます
確認すべきポイント
- そのキーワードで検索されているかどうか(月間検索数が0であれば、そもそも需要がありません)
- 検索結果の上位に何が表示されているか(ポータルサイトだけが並んでいるのか、個別の事務所サイトも入っているのか)
検索数が「10〜100」の範囲であっても、3語以上のキーワードでは十分な数字です。検索数が少ないキーワードを複数持つことで、合計のアクセスを積み上げる考え方になります。
手順4: 狙うキーワードに優先順位を付ける
候補が出揃ったら、優先順位を付けます。すべてのキーワードに同時に対応するのは現実的ではないので、まず取り組む3つから5つを選びましょう。
優先順位を付ける3つの基準
| 基準 | 考え方 |
|---|---|
| 受任につながりやすいか | 「○○市 離婚 弁護士 相談」のように、依頼先を探している意図が明確なキーワードを上位に置きます |
| 競合は少ないか | 検索結果の1ページ目に個別事務所のサイトが入っているキーワードは、自分も入れる可能性があります |
| 自分が書ける内容か | 日常的に取り扱っていて、具体的なことが書ける分野のキーワードを優先します。取扱実績のない分野は後回しにしましょう |
優先順位が決まったら、キーワードごとに1ページずつ記事を作成します。ひとつのページに複数のキーワードを詰め込まないでください。「離婚 弁護士 渋谷」と「相続 弁護士 渋谷」は、別のページで対応します。
まとめ — 3語以上の掛け合わせで、自分の商圏と分野に絞ったKWリストを作る
キーワード選定の手順を整理すると、次のようになります。
- 取扱分野を検索者の悩みの言葉に変換する
- 事務所の商圏に合う地域名を3つから5つ選ぶ
- 「悩み × 地域名」の組み合わせをツールで検証する
- 受任につながりやすさ・競合の少なさ・自分が書ける内容かの3基準で優先順位を付ける
「弁護士 離婚」のような大きなキーワードで上位を取る必要はありません。自分の商圏で、自分の取扱分野について、実際に相談先を探している人が使う3語以上のキーワードを見つけて、ひとつずつページを作っていきましょう。検索数が少なくても、相談につながるキーワードを積み重ねるほうが、事務所の集客としては確実です。