この章で学ぶこと
「費用ページを作ったほうがいいのは分かっている。しかし、案件によって金額が変わるから書きようがない。」――この章では、費用ページに何を書けばよいか、金額を出せない場合にどう対応するかを学びます。費用の仕組みが分かるだけでも相談者の離脱は減ります。
費用ページがないと相談者は比較の土俵に乗れない
相談者が弁護士を選ぶとき、費用は避けて通れない要素です。しかし、多くの相談者にとって弁護士費用の相場は分かりません。だからこそ、ホームページで確認しようとします。
費用ページがない場合、相談者の行動は2つに分かれます。
- 費用が分からないまま問い合わせる(少数)
- 費用が明示されている別の事務所のサイトに移動する(多数)
費用ページがないことは、問い合わせが来ないこととほぼ同義だと考えてよいでしょう。相談者は「高いかもしれない」と思って離脱するのではなく、「分からない」から離脱します。金額そのものよりも、費用の仕組みが見えないことが離脱の原因になっています。
費用ページに載せるべき項目
費用ページに最低限載せるべき項目は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相談料 | 初回無料か有料か。有料の場合は30分あたりの金額 |
| 着手金 | 分野ごとの目安(範囲で示してよい) |
| 報酬金 | 成功報酬の考え方(経済的利益の何%等) |
| 実費 | 交通費・印紙代・郵便切手代等、別途かかる費用があること |
| 支払方法 | 一括・分割の有無、クレジットカード対応の有無 |
| 税表記 | 表示金額が税込か税別か |
相談者にとって最も重要なのは、最初にいくら払えば動き出せるのかが分かることです。相談料と着手金の2つが分かるだけで、問い合わせへのハードルは大きく下がります。
分割払いに対応している場合は、必ず明記しましょう。弁護士費用の支払いに不安を感じている相談者にとって、分割対応は大きな判断材料になります。
金額を出せない場合の書き方 — 「要相談」で終わらせない方法
案件の内容によって金額が変わるため、一律の金額を出せない場合は多いです。しかし、「要相談」の一言で終わらせると、相談者にとっては何も書いていないのと同じです。
金額を確定できない場合でも、以下の方法で情報量を増やせます。
方法1: 範囲で示す
「着手金:20万円〜50万円(事案の内容により変動)」のように、下限と上限を示します。相談者は少なくとも最低額の目安が分かります。
方法2: モデルケースで示す
「協議離婚の場合:着手金30万円・報酬金30万円」「調停に移行した場合:追加着手金10万円」のように、典型的なケースの費用を具体的に示します。案件ごとに異なることは注記すればよいです。
方法3: 費用の構成を説明する
金額は出さなくても、「弁護士費用は相談料・着手金・報酬金・実費で構成されます。着手金は案件の着手時に、報酬金は成果が得られた場合にお支払いいただきます」のように、費用の仕組み自体を説明する方法があります。仕組みが分かれば、相談者は「相談のときに具体的な金額を聞けばいい」と判断でき、問い合わせにつながりやすくなります。
いずれの方法でも、「正式な費用は面談時にお見積もりします」という一文を添えておけば、記載金額と実際の請求額が異なることによるトラブルを防げます。
費用ページのレイアウトの工夫 — 分野別の表と補足説明
費用ページは、内容だけでなくレイアウトによっても読みやすさが大きく変わります。
分野別にテーブルで整理する
複数の分野を扱っている場合は、分野ごとに費用をまとめたほうが読みやすくなります。相談者は自分に関係のある分野の費用だけを見たいからです。すべての分野の費用を一つの表に詰め込むと、探しにくくなります。
たとえば、離婚事件の費用テーブルは次のような構成が分かりやすいです。
| 手続き | 着手金 | 報酬金 |
|---|---|---|
| 協議離婚 | 30万円〜 | 30万円〜 |
| 離婚調停 | 40万円〜 | 40万円〜 |
| 離婚訴訟 | 50万円〜 | 50万円〜 |
※上記は書き方の例であり、実際の金額は事務所ごとに設定します。
補足説明を表の下に添える
テーブルだけでは伝わらない事項は、表の下に補足として記載します。たとえば次のような内容です。
- 「上記金額は税別です」
- 「別途、裁判所に納める印紙代・郵便切手代等の実費がかかります」
- 「分割払いに対応しています。詳細は面談時にご相談ください」
- 「正式な費用は面談でのお見積もり後にご案内します」
テーブルに情報を詰め込みすぎると読みにくくなります。テーブルは概要、補足で詳細を説明するという分担が見やすいレイアウトです。
まとめ — 費用の仕組みが分かるだけでも離脱は減る
費用ページに書く内容をまとめると、次のとおりです。
- 相談料・着手金・報酬金・実費・支払方法・税表記を載せる
- 金額を確定できない場合は、範囲・モデルケース・費用の構成説明で補う
- 分野ごとにテーブルで整理し、補足説明を添える
完璧な金額表を作る必要はありません。相談者が離脱するのは「高い」からではなく「分からない」からです。費用の仕組みと大まかな目安が示されていれば、相談者は「とりあえず相談してみよう」と判断できます。「要相談」で終わらせず、書ける範囲の情報を出すことが、問い合わせにつながる費用ページの基本です。