この章で学ぶこと
この章では、離婚・相続・債務整理・交通事故など複数の分野を扱っている事務所が、記事を書く分野の優先順位をどう決めるか、分野ごとに記事テーマをどう変えるか、そして記事群を使ってサイト全体の専門性を高める方法を学びます。全分野を均等に書き進めるのではなく、1つの分野に集中して記事群を作るほうが効率的であることを理解しましょう。
複数の分野を扱う事務所はどの分野から記事を書くかで効果が変わります
弁護士1〜3名の事務所であれば、離婚・相続・債務整理・交通事故のように複数の分野を扱っていることが多いでしょう。しかし、記事を書けるリソースには限りがあります。月に2〜3本が現実的な本数だとすれば、4分野を均等に書くと各分野に月1本も回りません。
検索エンジンは、あるテーマについて複数の記事がまとまっているサイトを「そのテーマに詳しいサイト」として評価する傾向があります。離婚の記事が1本しかないサイトと、離婚の記事が8本あるサイトでは、後者のほうが「離婚 弁護士 地域名」のような検索で上位に表示されやすくなります。
つまり、4分野に1本ずつ書くよりも、1つの分野に5〜10本を集中して書くほうが、その分野での検索流入が早く立ち上がります。問題は、どの分野から集中すべきかです。
分野の選び方を間違えると、検索ボリュームが小さすぎて記事を書いてもアクセスが来ない、競合が強すぎて上位に入れない、問い合わせが来ても着手金が低くて時間に見合わない、という事態が起きます。次の節で、分野の優先順位を付ける具体的な方法を見ていきましょう。
記事を書く分野の優先順位の付け方 — 検索ボリューム×競合の少なさ×着手金
どの分野から記事を書くかを決めるには、三つの軸で評価します。
| 評価軸 | 見るもの | 確認方法 |
|---|---|---|
| 検索ボリューム | その分野の主要キーワードが月に何回検索されているか | Googleキーワードプランナーで「弁護士 離婚 地域名」「弁護士 相続 地域名」等を入力 |
| 競合の少なさ | そのキーワードで検索したとき、上位に表示されている記事の質と量 | 実際にGoogleで検索し、上位10記事の内容を確認する |
| 着手金の水準 | その分野で1件受任したときの着手金 | 自分の事務所の報酬基準を確認する |
検索ボリュームの確認手順
Googleキーワードプランナーに自分の取扱分野のキーワードを入力します。たとえば「弁護士 離婚 横浜」「弁護士 相続 横浜」「弁護士 債務整理 横浜」「弁護士 交通事故 横浜」のように、分野ごとに地域名を付けて検索ボリュームを比較しましょう。月間検索ボリュームが多い分野ほど、記事を書いたときにアクセスが集まりやすくなります。
競合の少なさの確認手順
キーワードプランナーで検索ボリュームが多い分野が見つかったら、そのキーワードで実際にGoogleで検索します。上位10記事を開き、次の点を確認してください。
- 記事の本数 — 上位10件のうち、弁護士事務所の記事が何本あるか。ポータルサイトや法律情報サイトばかりで、個別の事務所の記事が少なければ、参入の余地があります
- 記事の深さ — 上位の記事は何文字程度か。2,000字程度の薄い記事ばかりであれば、5,000字以上の充実した記事を書くことで上位に入れる可能性が高まります
- 記事の新しさ — 上位の記事がいつ更新されたか。2〜3年前の記事が多ければ、最新の法改正を反映した記事を書くことで差を付けられます
着手金の水準で最終判断する
検索ボリュームが多く競合が少ない分野が複数あった場合、最後の判断基準は着手金の水準です。記事を書いて問い合わせが来ても、着手金が低い分野では記事作成に費やした時間の回収に時間がかかります。
たとえば、離婚事件の着手金が30万円、債務整理の着手金が15万円であれば、同じ5本の記事を書くなら離婚の記事から書いたほうが、1件の受任で得られる売上が大きくなります。
優先順位の付け方のまとめ
- 全取扱分野のキーワードの検索ボリュームを調べる
- 検索ボリュームが大きい上位2〜3分野を候補にする
- 候補の分野で実際に検索し、競合の記事の質と量を確認する
- 競合が弱い分野を優先する。同程度であれば着手金が高い分野を優先する
分野ごとの記事テーマの違い — 離婚・相続・債務整理・交通事故
分野の優先順位が決まったら、その分野で何を書くかを決めます。分野ごとに読者が検索するテーマが異なるため、同じ書き方では検索意図に合いません。分野別に読者が求めている情報と記事テーマの例を整理しましょう。
離婚分野
離婚分野の読者は、手続きの流れと費用を知りたい人が多いです。感情面の悩みを抱えていることが多いため、手続きだけでなく「何をすれば有利になるか」という実務的な情報が求められます。
- 離婚の手続きの流れと弁護士に依頼するタイミング
- 離婚の弁護士費用の相場と内訳
- 養育費の相場と決め方
- 財産分与で損をしないためのポイント
- DVやモラハラを理由に離婚する場合の証拠の集め方
- 離婚調停の進め方と期間の目安
- 親権を取るために必要な準備
相続分野
相続分野の読者は、相続が発生した直後に「何から手を付ければよいか」を調べる人と、生前に対策を考えている人の二つに分かれます。時間的な切迫感がある記事とじっくり読む記事の両方が必要になります。
- 相続が発生したらまず何をすべきか — 手続きの全体像
- 遺産分割協議の進め方と揉めたときの対処法
- 遺留分侵害額請求の手続きと期限
- 相続放棄の手続きと期限
- 遺言書の種類と作成方法
- 相続税の基礎控除と弁護士に相談すべき金額の目安
債務整理分野
債務整理分野の読者は、「自分の借金がどうなるか」を具体的に知りたい人です。手続きの種類(任意整理・個人再生・自己破産)ごとの違いと、自分がどれに該当するかの判断基準を求めています。
- 任意整理・個人再生・自己破産の違いと選び方
- 任意整理で毎月の返済額がいくらになるか
- 自己破産しても残せる財産の範囲
- 債務整理の弁護士費用の相場と分割払いの可否
- 債務整理後の生活への影響 — ブラックリストの期間
- 過払い金請求の対象と時効
交通事故分野
交通事故分野の読者は、保険会社から提示された示談金が妥当かどうかを知りたい人が多いです。保険会社とのやり取りに不安を感じて弁護士を探している段階の読者が多いため、「弁護士に依頼するとどう変わるか」を具体的に示す記事が効果的です。
- 交通事故の慰謝料の3つの基準 — 自賠責・任意保険・弁護士基準
- 保険会社の提示額が低い理由と増額の可能性
- 後遺障害等級の認定手続きと弁護士の役割
- 交通事故の示談交渉を弁護士に依頼するメリット
- 弁護士費用特約の使い方と注意点
- 交通事故の損害賠償請求の時効
分野ごとに読者の検索意図が異なるため、同じテンプレートで書くのではなく、それぞれの分野で読者が何を知りたいかを把握してからテーマを決めることが重要です。
分野別の記事群を作ってサイトの専門性を高める方法
記事を1本ずつバラバラに公開しても、検索エンジンからの評価は上がりにくいです。1つの分野について複数の記事をまとめて公開し、記事同士を内部リンクでつなぐことで、サイト全体がその分野に詳しいと評価されやすくなります。
記事群の構成
1つの分野について5〜10本の記事を書く場合、次の構成が効果的です。
| 記事の役割 | 本数の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| まとめ記事(ピラー) | 1本 | その分野の全体像を網羅する記事。「離婚の手続きの流れと弁護士費用の全体像」のような包括的なテーマ |
| 個別テーマ記事(クラスター) | 4〜8本 | 分野内の個別テーマを深掘りする記事。「養育費の相場」「財産分与のポイント」など |
| FAQ記事 | 1〜2本 | その分野でよくある質問をまとめた記事 |
内部リンクのつなぎ方
まとめ記事から各個別テーマ記事へリンクを張り、各個別テーマ記事からまとめ記事へリンクを張ります。この双方向のリンク構造が、検索エンジンに「これらの記事は一つのテーマについて書かれている」と伝える役割を果たします。
- まとめ記事の本文中で各テーマに触れるたびに、「詳しくはこちらの記事で解説しています」と個別テーマ記事へリンクする
- 個別テーマ記事の冒頭または末尾に、「この記事は離婚の手続きの流れの一部です」とまとめ記事へリンクする
- 関連する個別テーマ記事同士もリンクする。「養育費の記事」から「親権の記事」へリンクするなど
カテゴリの分け方
WordPressなどのCMSを使っている場合、分野ごとにカテゴリを分けます。「離婚」「相続」「債務整理」「交通事故」のようにカテゴリを作り、記事を振り分けましょう。カテゴリページ自体も検索対象になるため、カテゴリ名には検索で使われる表現をそのまま使うのが効果的です。
公開の順番
まとめ記事を最初に公開し、その後に個別テーマ記事を1〜2日おきに公開していくと、検索エンジンがサイトの更新を認識しやすくなります。5〜10本を一度に公開するよりも、数日に分けて公開するほうが、クローラーの巡回タイミングに合いやすいです。
次の分野に移るタイミング
1つの分野で5〜10本の記事を公開し、まとめ記事と個別テーマ記事の内部リンクを整えたら、次の分野に移ります。1つの分野で記事群を完成させてから次に進むことで、分野ごとの検索流入を段階的に積み上げることができます。
まとめ — 1つの分野で記事を5〜10本まとめてから、次の分野に移る
複数の分野を扱う事務所が記事で集客するには、全分野に均等に記事を配るのではなく、1つの分野に集中して5〜10本の記事群を作ることが効率的です。
- 記事を書く分野の優先順位は、検索ボリューム×競合の少なさ×着手金の三軸で決めます
- 分野ごとに読者が求める情報が異なるため、記事テーマは分野別に設計します
- まとめ記事+個別テーマ記事+FAQ記事の構成で記事群を作り、内部リンクでつなぎます
- 1つの分野で記事群を完成させてから次の分野に移ることで、分野ごとの検索流入を段階的に積み上げられます
最初に選ぶ分野を間違えなければ、5〜10本の記事で検索からのアクセスが目に見えて増え始めます。まずはキーワードプランナーで自分の取扱分野の検索ボリュームを調べるところから始めましょう。