この章で学ぶこと
この章では、弁護士のホームページで古い記事を更新するか削除するかの判断基準を学びます。古い記事を放置すると、法的に不正確な情報が残るリスクに加え、サイト全体のSEO評価にも悪影響があります。更新・削除・統合のそれぞれの条件と、法改正に伴う記事更新の具体的な手順を身につけましょう。
古い記事を放置するとサイト全体の評価に影響します
古い記事を放置するリスクは、個々の記事の問題にとどまりません。サイト全体に二つの面で影響します。
リスク1: 法的正確性の問題
弁護士の記事は法律に基づく情報を提供しているため、法改正によって記事の内容が古くなった場合、読者が誤った情報をもとに判断してしまうリスクがあります。たとえば、以下のようなケースです。
- 2022年4月施行の成年年齢引下げ(20歳→18歳)に伴い、養育費の支払い終期に関する記述が古くなっている記事
- 2024年4月施行の相続登記義務化に伴い、「相続登記は任意」と書いてある記事
- 離婚後の共同親権に関する法改正に伴い、改正前の親権制度を前提に書かれた記事
弁護士の記事はGoogleのYMYL(Your Money or Your Life)に該当し、読者の人生に影響を与える情報です。不正確な情報が残っていることは、読者への実害に加え、事務所の信頼性を損なうリスクにもつながります。
リスク2: サイト全体のSEO評価への影響
Googleの「ヘルプフルコンテンツシステム」は、サイト全体の品質を評価する仕組みです。サイト内に低品質なページが多数存在する場合、サイト全体の評価が下がる可能性があります。これは、個々のページの順位だけでなく、サイト全体のすべてのページの順位に影響します。
具体的には、以下のような記事がサイト内に蓄積すると、サイト全体の評価にマイナスの影響を与える可能性があります。
- 内容が古くなっていて、現在の法律や実務と合っていない記事
- 検索流入がまったくなく、読者にも見られていない記事
- 他の記事と内容が重複している記事
- 文字数が極端に少なく、読者に価値を提供できていない記事
更新すべき記事の条件
以下の条件のいずれかに該当する記事は、削除ではなく更新を行うべきです。
条件1: 検索流入がある記事
Google Search Consoleで確認して、直近3か月で表示回数やクリック数がある記事は、検索者にとってニーズがある記事です。この記事を削除すると、現在得られている検索流入を失います。内容を最新の情報に更新して、検索流入を維持しましょう。
条件2: 被リンクがある記事
他のサイトからリンクが張られている記事は、削除するとそのリンクの価値を失います。被リンクはSEO上の資産であり、記事を削除すると404エラーになり、被リンクの効果がなくなります。Search Consoleの「リンク」レポートで被リンクの有無を確認できます。
条件3: 内容は正しいが情報が古い記事
記事の基本的な構成や主張は正しいが、一部の情報(統計データ、制度の名称、金額など)が古くなっている記事は、該当箇所だけを更新すれば再び価値のある記事になります。
更新の判断チェックリスト
| チェック項目 | 確認方法 | 該当すれば |
|---|---|---|
| 直近3か月で検索流入がある | Search Consoleの検索パフォーマンス | 更新 |
| 被リンクがある | Search Consoleのリンクレポート | 更新 |
| SNSで引用されたことがある | SNSでURLを検索 | 更新 |
| テーマ自体に検索需要がある | キーワードプランナーで検索ボリュームを確認 | 更新 |
| 法改正で一部の記述が古くなったが全体は正しい | 現行法との照合 | 更新 |
削除すべき記事の条件
以下の条件に該当する記事は、更新ではなく削除(または非公開化)を検討しましょう。
条件1: 検索流入がまったくなく、被リンクもない記事
直近6か月以上にわたって検索流入がゼロで、被リンクもない記事は、現時点でSEO上の価値がありません。この記事をサイトに残しておいても検索流入は増えず、サイト全体の品質を薄める要因になる可能性があります。
条件2: 法改正により記事の前提が根本から変わった記事
記事の一部が古くなったのではなく、記事の前提そのものが変わった場合は、更新するよりも削除して新しい記事を書き直したほうがよいです。たとえば、法改正前の制度を前提に書いた記事は、部分的な修正では対応できないことがあります。
条件3: 内容が薄すぎる記事
数百字程度で内容が薄く、読者に価値を提供できていない記事は、更新して充実させるか、削除するかのいずれかです。充実させるだけの時間がない場合は、削除したほうがサイト全体の品質を保てます。
条件4: 他の記事と内容が重複している記事
同じテーマについて複数の記事がある場合、検索エンジンはどちらを表示すべきか判断に迷い、両方の記事の順位が下がることがあります(カニバリゼーション)。重複している記事は、次の「統合」で対処しましょう。
削除の方法
記事を削除する場合は、以下の手順で行います。
- 記事を「非公開」または「下書き」に変更します(WordPressの場合)
- 削除した記事のURLに別の記事へのリダイレクト(301リダイレクト)を設定します。関連するテーマの記事があればそちらに、なければトップページにリダイレクトします
- サイトマップから削除されたことを確認します
記事を削除してそのまま放置すると、404エラーが発生します。404エラー自体はSEOに直接の悪影響はないとGoogleは述べていますが、読者がブックマークや他のサイトのリンクからアクセスしたときに404エラーが表示されるのは印象が悪くなります。301リダイレクトを設定しておけば、読者を適切なページに案内できます。
統合すべき記事の条件
以下の条件に該当する記事は、複数の記事を一つに統合することを検討しましょう。
条件1: 同じキーワードを狙っている記事が複数ある
Search Consoleで確認して、同じキーワードで複数の記事が表示されている場合、Googleはどちらの記事を表示すべきか判断に迷っている状態です。この場合、両方の記事の順位が中途半端な位置にとどまることが多いです。
確認方法は以下のとおりです。
- Search Consoleの「検索パフォーマンス」を開きます
- 「クエリ」タブで特定のキーワードをクリックします
- 「ページ」タブに切り替えて、そのキーワードで表示されているページが複数ないかを確認します
複数のページが表示されている場合は、内容を一つの記事に統合して、残りの記事から統合先に301リダイレクトを設定しましょう。
条件2: テーマが近い短い記事が複数ある
たとえば、「離婚の慰謝料について」「離婚の慰謝料の相場」「離婚の慰謝料の請求方法」のように、テーマが近い短い記事が複数ある場合は、一つの包括的な記事に統合したほうが、情報量が増えて検索順位が上がりやすくなります。
統合の手順
- 統合先の記事を決めます(検索流入が最も多い記事、または被リンクが最も多い記事を統合先にします)
- 統合元の記事から、統合先に含まれていない情報を抽出します
- 統合先の記事に、抽出した情報を追加して構成を整理します
- 統合元の記事を非公開にし、統合先の記事に301リダイレクトを設定します
- 統合先の記事の公開日を更新日に変更し、内容が最新であることを示します
統合時の注意点
- 統合先の記事のURLは変更しないようにしましょう(URLを変更すると被リンクやブックマークが無効になります)
- 統合によって記事が長くなりすぎる場合(10,000字以上)は、テーマを分割できないか検討しましょう
- 統合後は記事全体を通読して、構成に矛盾がないか確認しましょう
法改正に伴う記事更新の手順
弁護士の記事で最も頻繁に発生する更新の必要は、法改正によるものです。法改正に伴う記事更新を効率的に行うための手順を以下に示します。
手順1: 影響を受ける記事を特定する
法改正があった場合、まず自分のサイトの記事のうち、どの記事が影響を受けるかを特定します。
- サイト内検索で、改正された法律の名称や関連する用語(「成年年齢」「相続登記」など)を検索します
- WordPressの管理画面で記事一覧を表示し、関連するカテゴリーの記事を確認します
- 改正法の施行日から逆算して、施行日以前に公開した記事を洗い出します
手順2: 更新の優先順位をつける
影響を受ける記事が複数ある場合は、以下の基準で優先順位をつけましょう。
| 優先度 | 条件 | 理由 |
|---|---|---|
| 高 | 法改正によって記事の記述が「誤り」になった | 読者が誤った情報をもとに判断するリスクがある |
| 高 | 検索流入が多い記事 | 影響を受ける読者の数が多い |
| 中 | 法改正によって記事の記述が「不十分」になった | 誤りではないが、最新の情報が反映されていない |
| 低 | 検索流入がない記事 | 影響を受ける読者が少ない |
手順3: 記事を更新する
更新する際は、以下の点に注意しましょう。
- 改正前の記述を完全に消さないようにします — 改正前の制度がどうだったかの情報は、読者にとっても有用です。「2024年3月までは〜でしたが、2024年4月以降は〜に変更されました」のように、改正前後を対比する書き方が分かりやすくなります
- 施行日を明記します — いつから新しい制度が適用されるかを明記しましょう
- 経過措置がある場合は記載します — 法改正には経過措置が設けられることがあります。経過措置の内容と適用期間を記載しましょう
- 最終更新日を更新します — 記事の冒頭または末尾に最終更新日を表示し、更新日を現在の日付に変更しましょう
手順4: 更新を記録する
法改正に伴う記事更新は定期的に発生する作業です。更新の記録を残しておくと、次回の法改正時に過去の対応を参照できます。記録すべき項目は以下のとおりです。
- 更新日
- 対象の法改正(法律名・施行日)
- 更新した記事のタイトルとURL
- 更新内容の概要
この記録は、スプレッドシートやメモアプリなど、自分が使いやすい形式で管理すれば問題ありません。
まとめ
古い記事を放置すると、法的正確性の問題とサイト全体のSEO評価への影響の二つのリスクがあります。対処方法は「更新」「削除」「統合」の三つであり、記事の状態に応じて適切な方法を選びましょう。
- 更新すべき記事: 検索流入がある、被リンクがある、内容は正しいが一部の情報が古い
- 削除すべき記事: 検索流入も被リンクもない、前提が根本から変わった、内容が薄すぎる
- 統合すべき記事: 同じキーワードで複数の記事が表示されている、テーマが近い短い記事が複数ある
- 法改正に伴う更新: 影響を受ける記事を特定し、優先順位をつけて、改正前後を対比する形で更新します
まずはSearch Consoleで自分のサイトの記事ごとの検索流入を確認し、流入がある記事の中で内容が古くなっているものから優先的に更新するとよいでしょう。流入がなく被リンクもない記事は削除または統合の候補として整理しましょう。