この章で学ぶこと
この章では、事務所サイトに掲載した記事の効果を数字で測る方法を学びます。アクセス数・検索順位・問い合わせ数の3つの指標を使い、記事がどの状態にあるかを判断し、次に取るべきアクションを特定する手順を身につけましょう。
記事の効果は3つの数字で測る — アクセス数・検索順位・問い合わせ数
記事が集客に貢献しているかどうかは、次の3つの数字で判断できます。
| 指標 | 何が分かるか | 確認ツール |
|---|---|---|
| アクセス数(PV・ユーザー数) | 記事がどれだけ読まれているか | Googleアナリティクス(GA4) |
| 検索順位 | 記事がGoogleで何位に表示されているか | Search Console |
| 問い合わせ数 | 記事を読んだ人が実際に問い合わせたか | GA4のコンバージョン設定 |
この3つは独立した数字ではなく、因果関係で連動しています。
- 検索順位が上がる → アクセス数が増える
- アクセス数が増える → 問い合わせの母数が増える
- 問い合わせ数が増える → 記事が集客に貢献している証拠になる
逆に言えば、検索順位が低ければアクセスは来ず、アクセスが来なければ問い合わせもゼロのままです。3つの数字を上流から順に確認することで、どこに問題があるかが特定できます。
「記事の効果が出ない」と感じているとき、原因は大きく3つに分かれます。
- そもそもGoogleに表示されていない(検索順位の問題)
- 表示されているがクリックされていない(タイトル・説明文の問題)
- 読まれているが問い合わせにつながらない(記事の導線の問題)
3つの数字を見ることで、原因を感覚ではなく事実に基づいて特定できます。以下、それぞれの数字の確認方法を順に説明します。
アクセス数の確認方法
アクセス数はGoogleアナリティクス(GA4)で確認します。GA4はGoogleが無料で提供しているアクセス解析ツールであり、事務所のウェブサイトに設置済みであることが多いです。設置されているかどうかは、制作会社に確認するか、サイトのHTMLソースにGoogleタグ(gtag.js)が含まれているかどうかで判断できます。
GA4で記事ごとのアクセス数を確認する手順
- GA4にログインする(https://analytics.google.com/)
- 左メニューの「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」を開く
- 表の中に、ページパス(URLの末尾部分)ごとのアクセス数が表示される
- 右上の期間指定を「過去28日間」に設定する
- 記事のURLを探し、「表示回数」と「ユーザー数」を確認する
確認すべき数字は次の2つです。
| 指標 | 意味 | 目安 |
|---|---|---|
| 表示回数(ページビュー) | そのページが表示された回数(同一ユーザーの複数回閲覧を含む) | 公開後3か月で月100PV以上あれば最低限の水準 |
| ユーザー数 | そのページを閲覧した実人数 | 表示回数よりも実態に近い |
アクセス数が少ないときに確認すること
公開後3か月が経過しても月間のアクセス数が数十PV以下の場合、次の原因が考えられます。
- 記事がGoogleにインデックスされていない — Search Consoleで確認します(後述)
- 検索順位が低い — 20位以下(検索結果の3ページ目以降)ではほとんどクリックされません
- 狙っているキーワードの検索ボリュームが小さすぎる — 月間検索数が10未満のキーワードでは、上位に表示されてもアクセスは限られます
- タイトルや説明文が検索意図に合っていない — 検索結果に表示されていてもクリックされない状態です
アクセス数の少なさだけを見ても原因は特定できないため、次の検索順位の確認に進みます。
検索順位の確認方法
検索順位はSearch Console(サーチコンソール)で確認します。Search ConsoleもGoogleが無料で提供しているツールであり、自分のサイトがGoogleの検索結果でどのように表示されているかを把握できます。
Search Consoleで記事の検索順位を確認する手順
- Search Consoleにログインする(https://search.google.com/search-console/)
- 左メニューの「検索パフォーマンス」→「検索結果」を開く
- 画面上部の「平均掲載順位」にチェックを入れる(デフォルトではオフになっている)
- 画面下部の表で「ページ」タブを選択する
- 確認したい記事のURLをクリックすると、その記事に対して検索されたキーワードと順位が表示される
確認すべき数字の読み方
| 指標 | 意味 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 平均掲載順位 | 検索結果での平均表示位置 | 10位以内(1ページ目)を目指す。20位以下はほぼクリックされない |
| 表示回数 | 検索結果に記事が表示された回数 | 表示されているのにクリックされない場合、タイトル改善の余地がある |
| クリック数 | 検索結果から実際にクリックされた回数 | 表示回数に対するクリック率(CTR)で判断する |
| CTR(クリック率) | 表示回数に対するクリック数の割合 | 1位で20〜30%、3位で5〜10%、10位で1〜3%が一般的な水準 |
検索順位とCTRの関係を押さえておくと、改善の判断がしやすくなります。
- 順位が11位以下 → 記事の内容・構成を改善して検索順位を上げることが先決です
- 順位が10位以内だがCTRが低い → タイトルやメタディスクリプションの改善で改善できる可能性が高いです
- 順位が5位以内でCTRも高い → 記事は検索面では成功しています。問い合わせ数の確認に進みましょう
「どのキーワードで検索されているか」を確認する
Search Consoleの検索パフォーマンスで記事のURLをクリックすると、その記事がどのキーワードで検索されているかの一覧が表示されます。この情報は二つの目的で役に立ちます。
- 狙ったキーワードで検索されているかの確認 — 「離婚 弁護士 費用」を狙って書いた記事が、実際にそのキーワードで表示されているかどうか
- 想定していなかったキーワードの発見 — 意図していなかったキーワードで検索されている場合、そのキーワードに合わせて記事を加筆する余地がある
問い合わせ数の確認方法
問い合わせ数は、GA4のコンバージョン設定(キーイベント設定)で確認します。「どの記事を読んだ人が問い合わせフォームに到達したか」を追跡する仕組みです。
問い合わせ追跡の仕組み
多くの弁護士事務所のウェブサイトでは、問い合わせフォームの送信完了後に「お問い合わせありがとうございました」のページ(サンクスページ)が表示されます。このサンクスページへの到達をGA4でコンバージョン(キーイベント)として設定することで、問い合わせ件数をカウントできます。
GA4でコンバージョンを設定する手順
- GA4の管理画面を開く
- 「管理」→「イベント」を開く
- 「イベントを作成」をクリックする
- イベント名を「contact_complete」などに設定する
- 条件として「page_location」に問い合わせ完了ページのURL(例: /contact/thanks/)を含むように設定する
- 作成したイベントを「キーイベントとしてマーク」する
この設定を行うと、GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「ページとスクリーン」で、問い合わせ完了のイベント数を確認できるようになります。
記事と問い合わせの関係を確認する方法
GA4では「経路データ探索」機能を使うことで、問い合わせに至ったユーザーが直前にどのページを見ていたかを確認できます。手順は次のとおりです。
- GA4の「探索」→「経路データ探索」を開く
- 終点に「contact_complete」イベントを設定する
- その手前のステップにどのページが多いかを確認する
この方法で、「離婚 弁護士 費用」の記事を読んだ人が問い合わせフォームに進んでいるかどうかを確認できます。
問い合わせ率の目安
| 指標 | 計算方法 | 一般的な水準 |
|---|---|---|
| サイト全体の問い合わせ率 | 問い合わせ数 ÷ サイト全体のユーザー数 | 1〜3% |
| 記事単位の問い合わせ率 | 記事経由の問い合わせ数 ÷ その記事のユーザー数 | 0.5〜2% |
※ これらの水準は一次ソース(大規模調査など)ではなく、業界で報告されている数値です。事務所の規模・分野・地域によって変動するため、目安として幅で捉えてください。
問い合わせ率が低い場合、記事から問い合わせフォームへの導線(ボタンの配置・文言・フォームのページ構成)に問題があることが多いです。記事の内容が良くても、「相談はこちら」のボタンが記事の末尾にしかない場合や、フォームの入力項目が多すぎる場合は、途中で離脱されます。
効果が出ていない記事の判断基準と次にやること
3つの数字を確認した結果、記事の状態は次の4つのパターンに分類できます。パターンごとに取るべきアクションが異なります。
| パターン | 検索順位 | アクセス数 | 問い合わせ | 原因 | 次にやること |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 圏外(50位以下) | ほぼゼロ | ゼロ | Googleに評価されていない | 記事のリライト(構成・内容の見直し) |
| B | 11〜30位 | 少ない | ゼロ | 1ページ目に入れていない | 記事の加筆・見出し構成の改善 |
| C | 10位以内 | あるがCTR低い | 少ない | タイトルか導線に問題 | タイトル・メタディスクリプション・CTA改善 |
| D | 10位以内 | あり | あり | 記事は成功している | 関連キーワードで記事を追加して面を広げる |
パターンA:圏外の場合
記事が検索結果に表示されていない場合、まずSearch Consoleでインデックス状況を確認します。「URL検査」に記事のURLを入力すると、Googleにインデックスされているかどうかが分かります。
- インデックスされていない場合 — 「インデックス登録をリクエスト」をクリックしてGoogleにクロールを依頼します。ただし、記事の品質が低い場合はリクエストしてもインデックスされないことがあります
- インデックスされているが圏外の場合 — 記事の内容が検索意図に合っていない可能性が高いです。狙っているキーワードで上位に表示されている競合記事を読み、自分の記事に不足している情報を特定しましょう
パターンB:11〜30位の場合
1ページ目(10位以内)に入れていない記事は、あと一歩で成果が出る状態です。次の改善を試みましょう。
- 見出し構成の見直し — 上位記事がカバーしているトピックで自分の記事に含まれていないものがないか確認します
- 情報の加筆 — 読者が次に知りたいであろう内容を追加します。例えば、手続きの流れだけを書いている場合に「費用の目安」「期間の目安」を加えるなどです
- 内部リンクの追加 — サイト内の関連記事からリンクを張ります。Googleはサイト内のリンク構造も評価対象としています
パターンC:10位以内だが問い合わせが少ない場合
検索面では成功しているが、集客に結びついていない場合は導線を見直します。
- 記事中の問い合わせ誘導の確認 — 記事の末尾だけでなく、最初のH2の下や記事の中盤にも問い合わせへの誘導があるかどうか
- 問い合わせフォームの確認 — 入力項目が多すぎないか(氏名・電話番号・相談内容の3項目が最小限)、スマートフォンで入力しやすいか
- CTRが低い場合のタイトル改善 — タイトルに読者の悩みが反映されているか。「離婚に強い弁護士」よりも「離婚を考えたとき弁護士に相談すべきタイミングと費用の目安」のように具体的な方がクリックされやすいです
確認の頻度
効果測定は、次の頻度で行うのが現実的です。
| 確認項目 | 推奨頻度 | 理由 |
|---|---|---|
| アクセス数(GA4) | 月1回 | 週単位では変動が大きく傾向が読みにくい |
| 検索順位(Search Console) | 月1回 | 順位変動はGoogleの更新サイクルに依存する |
| 問い合わせ数 | 月1回 | 件数が少ないため月単位で傾向を見る |
| 新規公開記事のインデックス確認 | 公開後1〜2週間後 | インデックスされていない場合は早期対処する |
月に1回、30分程度の時間を取れば3つの数字は確認できます。最初は慣れないかもしれませんが、2〜3回繰り返すと「いつもの画面を開いて数字を見る」だけになります。
まとめ
記事の効果は感覚ではなく、アクセス数・検索順位・問い合わせ数の3つの数字で測ります。
- アクセス数はGA4の「ページとスクリーン」で、記事ごとの表示回数・ユーザー数を確認します
- 検索順位はSearch Consoleの「検索パフォーマンス」で、記事ごとの掲載順位・CTR・検索キーワードを確認します
- 問い合わせ数はGA4のコンバージョン設定で、問い合わせ完了ページへの到達をカウントします
- 3つの数字を照合すると、記事がA(圏外)・B(惜しい)・C(導線の問題)・D(成功)のどの状態にあるかが分かります
- パターンごとに次のアクションが異なるため、数字を見ないまま「とりあえず記事を増やす」のは非効率です
- 月1回・30分の確認を習慣にすれば、記事は「書いて終わり」から「書いて育てる」資産に変わります