この章で学ぶこと
この章では、記事にアクセスがあるのに問い合わせが増えない原因と、その解決策としてのCTA(Call to Action=行動喚起)の設計方法を学びます。CTAの配置位置、クリックされるCTAの書き方、記事の種類ごとのCTAの使い分けを理解しましょう。
記事にアクセスがあっても導線がなければ問い合わせにつながらない
弁護士のサイトでよくあるパターンを整理します。
パターン1 記事にCTAが一切ない
記事を読み終わった読者は、次に何をすればよいか分かりません。ブラウザの戻るボタンを押すか、別のサイトに移動してしまいます。この場合、どれだけアクセスが増えても問い合わせにはつながりません。
パターン2 ヘッダーやサイドバーに問い合わせリンクがあるだけ
ヘッダーのメニューに「お問い合わせ」というリンクがあっても、記事を読んでいる最中に読者がヘッダーのメニューをクリックすることはほとんどありません。スマートフォンでの閲覧であれば、サイドバー自体が表示されていないことも多いです。
パターン3 記事末に「お問い合わせはこちら」とだけ書いてある
記事の最後に「お問い合わせはこちら」というテキストリンクがあっても、読者はこの一言では行動に移りません。「何を問い合わせればよいのか」「問い合わせたらどうなるのか」が分からないためです。
これらのパターンに共通するのは、「記事の中で読者の行動を促す仕組みがない」ということです。CTAは、読者が「この内容をもっと詳しく相談したい」と感じたタイミングで目に入る位置に、行動に移りやすい文言で配置する必要があります。
CTAを置くべき位置 — 記事中・記事末・サイドバー
CTAを配置する位置は主に三箇所あります。それぞれの特徴と効果を整理しましょう。
| 配置位置 | 特徴 | 効果が高い場面 |
|---|---|---|
| 記事中(本文の途中) | 読者が「自分もこの問題を抱えている」と感じたタイミングで目に入る | 問題提起や具体例の直後に置くと効果が高い |
| 記事末(まとめの後) | 記事を最後まで読んだ関心の高い読者に訴求できる | すべての記事に必ず設置する基本の位置 |
| サイドバー(PC表示のみ) | 記事を読みながら常に視界に入る | PCからの閲覧が多い場合に補助的に効果がある |
記事中のCTA — 配置する場所の選び方
記事中にCTAを置く場合、どこに置くかが重要です。闇雲に本文の途中に入れると、読者の読書体験を妨げてしまいます。次のタイミングで配置するのが効果的です。
- 問題提起の直後 — 「こういう状況で困っている方は〜」という問題提起をした直後に、「この問題について弁護士に相談する」というCTAを置く
- 具体的な手続きの説明の後 — 手続きの流れを説明した後に、「手続きについて詳しく相談する」というCTAを置く
- 費用や期間の目安を示した後 — 費用や期間の目安を示した後に、「ご自身の場合の費用を確認する」というCTAを置く
記事中のCTAは1本の記事に1〜2箇所が適切です。3箇所以上になると、読者が「この記事は宣伝だ」と感じて離脱する原因になります。
記事末のCTA — すべての記事に必ず設置する
記事末のCTAは、すべての記事に設置しましょう。記事を最後まで読んだ読者は、そのテーマに関心が高い読者です。この読者に次の行動を示さないのは大きな機会損失です。
記事末のCTAには、次の要素を含めます。
- 何について相談できるか(記事のテーマに関連付ける)
- 相談方法(電話・フォーム・オンラインなど)
- 相談のハードルを下げる情報(初回相談無料、相談時間の目安など)
- ボタンまたは目立つリンク
サイドバーのCTA — PCでの補助的な役割
サイドバーにCTAを固定表示(スクロールに追従する表示)にすると、記事を読みながら常に目に入ります。ただし、スマートフォンではサイドバーが記事の下に回り込むか、表示されないことが多いです。スマートフォンからの閲覧が多い弁護士サイトでは、サイドバーだけに頼るのは危険です。サイドバーはあくまで補助と位置づけ、記事中と記事末のCTAを優先しましょう。
クリックされるCTAの書き方 — 「お問い合わせはこちら」では弱い理由
「お問い合わせはこちら」という文言のCTAがクリックされにくい理由は、読者にとって次の三つが不明だからです。
- 何について問い合わせるのか
- 問い合わせたら何が起きるのか
- 問い合わせにどのくらいの負担がかかるのか(時間・費用)
これらの不明点を解消するCTAの書き方を見ていきましょう。
原則1 記事のテーマに合わせた文言にする
| 記事のテーマ | 弱いCTA | 改善したCTA |
|---|---|---|
| 離婚の手続きの流れ | お問い合わせはこちら | 離婚の手続きについて弁護士に相談する |
| 養育費の相場と決め方 | お問い合わせはこちら | 養育費の金額について相談する |
| 交通事故の慰謝料の基準 | お問い合わせはこちら | 保険会社の提示額が妥当か確認する |
| 相続放棄の手続きと期限 | お問い合わせはこちら | 相続放棄の期限と手続きについて相談する |
記事のテーマに合わせた文言にすることで、読者は「自分が今読んでいた内容について相談できるのだ」と認識できます。
原則2 問い合わせた後に何が起きるかを明示する
CTAのボタンやリンクの周辺に、問い合わせた後の流れを短く添えます。
- 「フォームからお問い合わせいただくと、翌営業日までにご連絡いたします」
- 「お電話でのご相談は、平日9:00〜18:00に受け付けております」
- 「初回相談(30分)は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください」
「問い合わせたらいきなり料金が発生するのではないか」「しつこく営業されるのではないか」という不安を取り除くことが目的です。
原則3 行動のハードルを下げる
問い合わせのハードルを下げる情報をCTAに含めましょう。
- 初回無料 — 初回相談が無料であれば明記します。「まず話を聞いてもらうだけでも無料」と伝えることで心理的ハードルが下がります
- 時間の目安 — 「30分程度のご相談です」「お電話は5分程度で完了します」など、読者が時間を見積もれる情報を添えます
- 選択肢 — 「電話・メール・オンライン面談からお選びいただけます」のように、複数の方法を示します
原則4 ボタンのデザインで視認性を確保する
テキストリンクだけでなく、ボタン形式のCTAを使いましょう。ボタンにすることで視覚的に目立ち、「これはクリックできるものだ」と認識されやすくなります。
- ボタンの色は、サイト全体の配色の中で目立つ色にする。本文やリンクと同じ色では埋もれてしまいます
- ボタンのサイズは、スマートフォンでタップしやすい大きさにする(横幅は画面の60〜80%程度、高さは44px以上が目安)
- ボタンの文言は短く。「相談する」「問い合わせる」など動詞で終わるようにします
記事の種類ごとのCTAの使い分け — 法律解説・手続き案内・事例紹介
すべての記事に同じCTAを置くのではなく、記事の種類に応じてCTAの切り口を変えることで、クリック率が上がります。
法律解説記事のCTA
「養育費の相場」「慰謝料の計算方法」「相続の法定相続分」など、法律や制度の解説をする記事です。この記事を読む読者は、まだ弁護士への相談を決めていない段階の人が多いです。
- CTAの切り口:「自分の場合はどうなるか」を個別に確認できることを伝える
- 文言の例:「一般的な目安は上記のとおりですが、個別の事情によって異なります。ご自身のケースについて確認したい方はお気軽にご相談ください」
- 配置:記事末に1箇所。押し付けがましくならないよう、本文の延長として自然に配置します
手続き案内記事のCTA
「離婚調停の流れ」「相続放棄の手続き」「自己破産の手順」など、手続きの進め方を解説する記事です。この記事を読む読者は、手続きを進めることをある程度決めており、弁護士に依頼するかどうかを検討している段階の人が多いです。
- CTAの切り口:弁護士に依頼するメリットと、手続きの負担を軽減できることを伝える
- 文言の例:「手続きを進める際、書類の準備や裁判所とのやり取りを弁護士に依頼することで、手続きの負担を大幅に減らせます。手続きの進め方についてご相談ください」
- 配置:手続きの全体像を示した直後(記事中)と、記事末の2箇所
事例紹介記事のCTA
「離婚調停で養育費を増額できた事例」「交通事故で保険会社の提示額から増額した事例」など、解決事例を紹介する記事です。この記事を読む読者は、「自分も同じ結果が得られるか」を知りたい人が多いです。
- CTAの切り口:同じような状況であれば相談できることを伝える
- 文言の例:「同じようなお悩みをお持ちの方は、まずはお気軽にご相談ください。初回相談でお話を伺い、どのような対応が可能かお伝えいたします」
- 配置:事例の結果を示した直後(記事中)と、記事末の2箇所
記事種別ごとのCTA設計のまとめ
| 記事の種類 | 読者の段階 | CTAの切り口 | 配置箇所 |
|---|---|---|---|
| 法律解説 | 情報収集中 | 自分のケースを個別に確認できる | 記事末に1箇所 |
| 手続き案内 | 手続きを検討中 | 弁護士に依頼すると手続きの負担が減る | 記事中1箇所+記事末1箇所 |
| 事例紹介 | 依頼先を検討中 | 同じ状況なら相談できる | 記事中1箇所+記事末1箇所 |
まとめ — 導線とCTAを整えるだけで、同じアクセス数でも問い合わせは増える
記事のアクセスがあるのに問い合わせが来ない原因は、多くの場合、記事から問い合わせへの導線がないことにあります。記事の質を上げる努力をする前に、まず導線を整えることが先決です。
- CTAは記事中と記事末に配置します。ヘッダーやサイドバーだけでは不十分です
- 「お問い合わせはこちら」ではなく、記事のテーマに合わせた具体的な文言にします
- 問い合わせた後に何が起きるか、どの程度の負担がかかるかを明示してハードルを下げます
- 記事の種類(法律解説・手続き案内・事例紹介)に応じてCTAの切り口を変えます
導線とCTAを整えるのは、一度やれば全記事に適用できる作業です。新しい記事を書くよりも、まず既存の記事にCTAを追加することから始めると、すぐに効果が見えるはずです。