弁護士が他の事務所と同じにならない記事を書くための独自性の出し方

この章で学ぶこと

この章では、同じキーワードで記事を書いても他の事務所と差がつく「独自性の出し方」を4つの方法に分けて学びます。法令の説明を正確に書くだけでは差別化できない理由を理解したうえで、自分の実務経験・データ・地域知識・見解を記事に反映する具体的な方法を身につけましょう。

同じキーワードで書いても独自性がないと検索で埋もれる

弁護士が記事を書くとき、法令や判例の説明は避けて通れません。しかし、法令の説明は誰が書いても同じ内容になります。民法第768条の条文は変わりませんし、財産分与の対象になる財産の範囲も同じです。結果として、検索結果には似たような記事が並ぶことになります。

Googleは、2022年に「E-E-A-T」という評価基準を公表しています。E-E-A-Tとは、Experience(経験)、Expertise(専門知識)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字です。このうち「Experience(経験)」が2022年に追加された新しい基準であり、Googleは「そのトピックに関する実体験があるかどうか」を重視するようになりました。

独自性がない記事が検索で不利になる理由

記事の特徴 Googleの評価 検索順位への影響
法令の条文をそのまま引用して解説しただけ 他の記事と内容が重複していると判断される 上位に入りにくい
他の事務所の記事を参考にして書き直した 新しい情報がないと判断される 上位に入りにくい
実務経験に基づく具体例や見解が含まれている Experience(経験)の要素が評価される 上位に入りやすい
地域特有の情報やデータが含まれている 他のページにない情報として評価される 上位に入りやすい

つまり、法令の説明を正確に書くのは「最低限の前提」にすぎません。その上に「自分にしか書けない情報」を載せることが、検索で上位に入るために必要です。以下の4つの方法で独自性を出す方法を見ていきましょう。

独自性の出し方1 自分の実務経験を具体例として入れる

最も効果的な独自性の出し方は、自分の実務経験を記事に反映することです。法令の解説だけなら誰でも書けますが、「実際に離婚事件を扱った経験から言えること」は、その弁護士にしか書けません。

入れるべき情報の種類

  • 相談の現場でよく聞かれる質問
  • 依頼者が誤解しやすいポイント
  • 手続きの中で予想外に時間がかかった場面
  • 法令の条文だけでは分からない実務上の運用
  • 解決に至るまでのプロセスで苦労した点

書き方の具体例

独自性がない書き方

「財産分与では、婚姻期間中に築いた財産が対象になります。預貯金、不動産、有価証券などが含まれます。」

独自性がある書き方

「財産分与の相談で最も多い誤解は『名義が相手方の預貯金は対象にならない』という思い込みです。実際には、婚姻期間中に築いた財産であれば名義に関係なく対象になります。相談の場で、相手方名義の口座に入っている退職金が分与の対象になると知って驚かれる方は少なくありません。」

後者は、相談の現場で実際に起きている誤解を題材にしています。この種の情報は、法令の解説書には載っていません。だからこそ独自性になります。

守秘義務との両立

実務経験を記事に書くときに注意すべきは、守秘義務です。以下のルールを守りましょう。

  • 特定の案件を具体的に記述しない
  • 「こういう相談が多い」「こういう誤解がよくある」という一般化された形で書く
  • 個別の案件を事例として紹介する場合は、依頼者の同意を得たうえで、個人が特定できない程度に抽象化する
  • 金額や時期などの具体的な数字は変更する

守秘義務を守りながら独自性を出すコツは、「特定の案件を描写する」のではなく、「複数の案件から見えた傾向やパターンを書く」ことです。

独自性の出し方2 相談傾向のデータを記事に反映する

自分の事務所に寄せられた相談の傾向を数字で示すことは、強力な独自性になります。他の事務所が持っていないデータであり、読者にとっても有用な情報です。

使えるデータの例

データの種類 記事での使い方の例
月別・年別の相談件数 「当事務所への離婚相談は、3月〜4月に増える傾向がある」
相談内容の内訳 「離婚相談のうち、財産分与に関する相談が約4割を占めている」
相談者の属性傾向 「離婚相談は40代の方からのご相談が最も多い」
よくある相談パターン 「交通事故の相談で最も多い質問は、保険会社の提示額が適正かどうかという点である」
解決までの期間 「協議離婚の場合、相談から解決まで平均○か月程度である」

データを入れる際の注意点

  • 数字は正確であること。概算であれば「約○割」「おおむね○件」と書きましょう
  • サンプル数が少なすぎる場合は、一般的な傾向であるかのように書かないこと。「当事務所の過去○年間の相談件数をもとにすると」と前置きしましょう
  • 個別の案件が特定されるような詳細は書かない
  • データは定期的に更新する。古い数字のまま放置すると信頼性が下がります

データがない場合の対処法

「相談件数を集計していない」という事務所は多いです。その場合、今から集計を始めれば問題ありません。以下の最低限の項目を記録するだけで、半年後には記事に使えるデータが蓄積されます。

  • 相談日
  • 相談分野(離婚・相続・交通事故など)
  • 主な相談内容(財産分与・慰謝料・親権など)
  • 相談者の属性(年代・性別)

スプレッドシートに1行ずつ記録するだけで十分です。複雑なシステムは不要です。

独自性の出し方3 地域の事情や裁判所の特徴を加える

弁護士の記事で見落とされがちな独自性の源泉が、地域情報です。法律は全国共通ですが、裁判所の運用や地域の事情は場所によって異なります。この違いを記事に盛り込むことで、地域で検索するユーザーにとって価値のある記事になります。

地域情報として書ける内容

地域情報の種類 記事での使い方の例
管轄裁判所の手続きの特徴 「○○家庭裁判所では、離婚調停の初回期日まで約○週間かかる傾向がある」
地域の相場感 「○○地域の離婚事件では、婚姻費用の算定にあたり○○の事情が考慮されることがある」
地域の法テラス・相談窓口情報 「○○区では、毎月第○水曜日に区役所で無料法律相談を実施している」
地域の制度・条例 「○○市には独自の養育費確保支援制度がある」

地域情報を入れるメリット

  • 「弁護士 離婚 ○○市」のような地域名を含む検索で上位に表示されやすくなる
  • 全国向けの大手メディアの記事には書かれない情報であり、差別化の効果が大きい
  • 読者にとって「自分の地域の情報がある」ことは信頼感につながる
  • GBPのローカル検索との相乗効果がある

注意点

裁判所の運用に関する記述は、あくまで一般的な傾向として書きましょう。「○○裁判所は必ずこう判断する」と断定するのは不正確であり、読者に誤解を与えます。「傾向がある」「場合がある」という表現を使い、個別の案件では異なる可能性があることを明記してください。

独自性の出し方4 弁護士としての見解を明確に書く

法令の解説だけでなく、弁護士としての見解や考え方を書くことも独自性の源泉になります。「この場合はどうすべきか」「何から始めるのがよいか」という読者の疑問に、弁護士の立場から答える部分は、その弁護士にしか書けない内容です。

見解を書く場面の例

  • 複数の選択肢がある場面で、どの選択肢を優先すべきかの考え方
  • 法律上は可能だが、実務上は勧められないケース
  • 一般的に誤解されがちな点に対する弁護士としての指摘
  • 手続きを進めるうえでの優先順位の考え方

書き方の具体例

見解がない書き方

「離婚の方法には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つがあります。協議離婚は双方の合意で成立します。調停離婚は家庭裁判所で行います。裁判離婚は訴訟によって行います。」

見解がある書き方

「離婚の方法は協議・調停・裁判の3つがありますが、まず検討すべきは協議離婚です。理由は2つあります。第一に、費用と時間が最も少なくて済みます。第二に、当事者同士が条件を自由に決められます。ただし、相手方がDVを行っている場合や、財産の開示に応じない場合は、協議を避けて調停から始めるほうがよいでしょう。相手方と直接交渉することで状況が悪化するリスクがあるからです。」

後者は、弁護士としての判断基準を示しています。読者が「自分の場合はどうすればよいか」を考える手がかりになります。

見解を書く際のルール

ルール 理由
断定しすぎない 個別の事案によって結論が変わるため、「一般的には」「多くの場合」と前置きする
理由を必ず書く 「こうすべきだ」だけでは根拠がない。なぜそう考えるのかを説明する
例外を明示する 「ただし、○○の場合は異なる」と例外を示すことで、正確性と信頼性が高まる
結果を保証しない 「必ずこうなる」という書き方は広告規制上も問題があり、読者にも誤解を与える

4つの方法の組み合わせ

ここまで紹介した4つの方法は、1つの記事の中で組み合わせて使うと効果が大きくなります。たとえば、「離婚時の財産分与」をテーマにした記事であれば、以下のように組み合わせます。

  • 法令の解説(基本の情報): 財産分与の対象になる財産の範囲を説明する
  • 方法1(実務経験): 「相談で最も多い誤解は、名義が相手方の財産は対象にならないという思い込みである」
  • 方法2(データ): 「当事務所の財産分与に関する相談のうち、約○割が退職金の扱いについての質問である」
  • 方法3(地域情報): 「○○家庭裁判所では、財産目録の提出を初回期日の○週間前までに求められるのが通例である」
  • 方法4(見解): 「財産分与の交渉では、不動産の評価方法で争いになることが多い。固定資産税評価額ではなく、不動産業者の査定額を使うのが実務上は一般的である」

この構成であれば、法令の解説サイトや他の事務所の記事とは明確に異なる内容になります。

まとめ

弁護士が他の事務所と差がつく記事を書くには、法令の説明の上に「自分にしか書けない情報」を載せることが必要です。独自性の源泉は4つあります。第一に、実務経験に基づく具体例や相談の現場での気づき。第二に、相談傾向のデータを数字で示すこと。第三に、管轄裁判所の運用や地域特有の制度など、地域の事情を加えること。第四に、弁護士としての見解を理由とともに明確に書くこと。これらを組み合わせれば、同じキーワードで記事を書いても他の事務所と同じ内容にはなりません。Googleが重視するE-E-A-TのExperience(経験)の基準も満たすことになり、検索順位でも有利に働きます。

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