弁護士が書いた記事をSNSで拡散してアクセスを増やす方法

この章で学ぶこと

この章では、弁護士が書いた記事をSNSで拡散してアクセスを増やす方法を学びます。記事を書いただけでは検索エンジンにインデックスされるまで時間がかかり、検索流入以外のアクセスは自然には増えません。SNSの選び方、投稿文の書き方、シェアのタイミングと頻度、広告規制のSNSへの適用範囲を身につけましょう。

記事を書いただけでは検索流入以外のアクセスは増えません

記事を公開した後、アクセスが発生する経路は主に四つあります。

アクセス経路 仕組み 効果が出るまでの時間
検索流入 Googleなどの検索結果から記事にたどり着く 数週間〜数か月
SNS X(旧Twitter)やFacebookなどの投稿から記事にたどり着く 即日
直接流入 URLを直接入力する、ブックマークから来る 既存読者がいる場合のみ
参照流入 他のサイトに張られたリンクから来る 他のサイトに紹介された場合のみ

記事を書いたばかりの段階では、検索流入はまだ発生していません。Googleが記事をクロール・インデックスし、検索結果に表示されるまでには数週間〜数か月かかることがあります。つまり、記事を書いた直後に能動的にアクセスを増やせる手段はSNSでのシェアです。

SNSでのシェアがSEOに与える間接的な効果

SNSでのシェアがSEOの直接的なランキング要因になるかどうかについて、Googleは「SNSのシェア数は直接のランキング要因ではない」と述べています。しかし、SNSでシェアすることには以下の間接的な効果があります。

  • クロールの促進 — SNS上にURLが掲載されることで、Googleのクローラーが記事の存在を早く認識する可能性があります
  • 被リンクの獲得 — SNSの投稿を見た人がブログやサイトで記事を紹介し、被リンクが得られる場合があります
  • ブランド検索の増加 — SNSで事務所名や弁護士名を見た人が、後からGoogleで事務所名を検索する場合があります

記事をシェアするSNSの選び方

弁護士が記事をシェアする場としてよく使われるSNSは、X(旧Twitter)、Facebook、LinkedInの三つです。それぞれの特徴と、弁護士の記事シェアにおける向き不向きは以下のとおりです。

SNS 特徴 弁護士の記事シェアとの相性 向いているケース
X(旧Twitter) 拡散力が高い。短文中心。匿名ユーザーが多い 高い 一般の相談者に記事を届けたい場合
Facebook 実名ユーザー中心。長文投稿が可能。30代〜50代の利用者が多い 高い 知人・同業者経由で広めたい場合
LinkedIn ビジネス特化型。経営者・士業の利用者が多い 中〜高い 企業法務の記事を経営者に届けたい場合

選び方の基準

SNSの選び方は、記事を届けたい読者がどのSNSを使っているかで決まります。

  • 離婚・相続・交通事故などの個人向け分野 — X(旧Twitter)が最も拡散力があります。一般の相談者が法律に関する情報を検索・共有する場として使われています
  • 企業法務・顧問契約・M&Aなどの法人向け分野 — LinkedInが適しています。経営者や企業の法務担当者がLinkedInで情報収集していることが多いです
  • 地域密着型の事務所 — Facebookが適しています。地域のコミュニティや知人のネットワークを通じて記事が広まりやすいです

最初からすべてのSNSを始める必要はありません。まずは一つに絞って運用を始め、慣れてから他のSNSに展開するのが現実的です。迷った場合は、X(旧Twitter)から始めるのがおすすめです。拡散力が最も高く、投稿の手間が少ない(短文で済む)からです。

SNSで記事をシェアするときの投稿文の書き方

記事のURLを貼り付けるだけでは、読者はクリックしません。投稿文の書き方次第で、クリック率は大きく変わります。

投稿文に含めるべき三つの要素

  1. 読者の悩み・疑問を提示する — 記事を読むべき人が「自分のことだ」と感じる一文
  2. 記事で分かることを示す — 記事を読むと何が分かるかの要約
  3. 記事へのリンク — URLを貼る

投稿文の書き方例

記事のテーマ 悪い投稿文(URLだけ) 良い投稿文
離婚の手続きの流れ 「記事を更新しました [URL]」 「離婚を考え始めたとき、最初に知りたいのは『何をどの順番でやればよいのか』ではないでしょうか。協議→調停→裁判の流れと、各段階で必要な書類・期間・費用をまとめました。[URL]」
相続登記の義務化 「相続登記について書きました [URL]」 「2024年4月から相続登記が義務化されました。相続登記をしないまま放置すると過料の対象になる可能性があります。いつまでに何をすればよいかを整理しました。[URL]」

X(旧Twitter)の場合の書き方のコツ

  • 最初の一文に読者の悩みを置きます — タイムラインで流れてくるため、最初の一文で目を止めてもらう必要があります
  • 文字数は200〜280字程度にします — Xの1投稿の上限(有料プランを除く)は280字です。要点を絞って書きましょう
  • 箇条書きを活用します — 記事の要点を3〜4個の箇条書きにして、記事を読む前に全体像を把握してもらいましょう
  • 記事のタイトルをそのまま投稿文にしないようにします — タイトルはリンクのOGP(プレビュー画像)に表示されるため、投稿文ではタイトルと異なる角度から記事の価値を伝えましょう

Facebookの場合の書き方のコツ

  • 長文が読まれやすいです — Facebookでは投稿文が長くても読まれる傾向があります。記事の背景や執筆の動機を書いてもよいでしょう
  • 個人的なエピソードを含めます — 「先日の相談で○○という質問をいただきました」のように、記事を書いたきっかけを共有すると反応が得られやすくなります(個人情報に注意してください)

シェアのタイミングと頻度の目安

タイミング

SNSの投稿が読まれやすい時間帯は、SNSの種類と読者の属性によって異なりますが、一般的な傾向は以下のとおりです。

SNS 読まれやすい時間帯 理由
X(旧Twitter) 平日の朝7〜9時、昼12〜13時、夜20〜22時 通勤時間帯と昼休みにタイムラインを見る人が多い
Facebook 平日の昼12〜13時、夜19〜21時 昼休みと夕食後にFacebookを開く人が多い
LinkedIn 平日の朝8〜10時、昼12〜13時 出勤直後と昼休みにビジネス情報を確認する人が多い

これらの時間帯は一般的な傾向であり、弁護士の記事の読者(法的トラブルを抱えた人)が必ずしもこの時間帯にSNSを見ているとは限りません。最初は上記の時間帯を目安にして投稿し、反応を見ながら調整しましょう。

頻度

記事をシェアする頻度は、以下の二つの観点で決めます。

一つは、記事を公開するたびにシェアすることです。新しい記事を公開した際は、必ずSNSでシェアしましょう。これは基本ルーティンとして定着させます。

もう一つは、過去の記事を定期的にシェアすることです。過去に書いた記事は、新しい投稿によってタイムラインから流れてしまいます。2〜4週間に一度、過去の記事をシェアし直すことで、新しいフォロワーに記事を届けられます。

過去の記事をシェアする際の注意点は、同じ投稿文を使い回さないことです。記事の別の側面から投稿文を書くか、季節や時事に絡めた導入文を付けると、同じ記事でも新鮮に見えます。

シェアの運用ルーティンの例

  • 新記事の公開日: 公開直後にシェア
  • 週1回: 過去の記事を1本選んでシェア
  • 法改正のニュースがあった日: 関連する過去記事をシェア

広告規制のSNSへの適用範囲

弁護士がSNSで情報を発信する際に気をつけるべきなのが、弁護士の広告規制です。「弁護士等の業務広告に関する規程」は、弁護士の業務広告に一定の制限を設けています。SNSの投稿がこの規制に該当するかどうかは、投稿の内容によって異なります。

広告に該当する投稿と該当しない投稿

投稿の内容 広告に該当するか 理由
法律の解説記事をシェアする 該当しにくい 法律知識の提供であり、特定の事件の受任を勧誘するものではない
手続きの流れを解説する記事をシェアする 該当しにくい 一般的な手続きの情報提供である
「当事務所にご相談ください」と書いてシェアする 該当する可能性がある 受任を勧誘する内容を含んでいる
解決実績を具体的な金額付きでシェアする 該当する可能性がある 成功事例の提示により受任を勧誘する効果がある

SNSでの発信で気をつけるべき点

  • 誇大広告にならないようにします — 「絶対に勝てます」「必ず慰謝料を増額します」のような断定的な表現は、広告規制に抵触する可能性があります。SNSではつい口語的に書いてしまうことがあるため注意しましょう
  • 守秘義務に違反しないようにします — 相談内容や依頼者の情報をSNSに書かないでください。「先日の離婚案件で」のような書き出しは、内容次第で守秘義務に抵触する可能性があります。具体的な事例を挙げる場合は、個人が特定できない形に抽象化しましょう
  • 品位を損なわないようにします — 弁護士等の業務広告に関する規程では、品位を損なう広告を禁じています。SNSでは感情的な投稿や、他の弁護士・事務所を批判する投稿が品位を損なうと判断される可能性があります
  • 所属弁護士会に確認します — 広告規制の解釈は弁護士会によって異なる場合があります。不安がある場合は、所属する弁護士会の広告審査委員会に相談しましょう

法律の解説記事をシェアする行為自体は、多くの場合、広告規制に該当しません。しかし、投稿文の書き方によっては広告に該当する可能性があるため、投稿文には事務所への来所を直接勧誘する表現を含めないのが安全です。

まとめ

記事を書いただけでは検索流入以外のアクセスは増えません。SNSで記事をシェアすることで、検索流入を待たずにアクセスを得られ、間接的にSEOにも寄与します。

  • SNSの選び方: 個人向け分野はX(旧Twitter)、法人向け分野はLinkedIn、地域密着型はFacebookが適しています。迷ったらXから始めましょう
  • 投稿文の書き方: 読者の悩みを提示し、記事で分かることを示し、リンクを貼ります。URLだけの投稿はクリックされません
  • タイミングと頻度: 新記事は公開直後にシェアしましょう。過去記事は週1回程度のペースで定期的にシェアします
  • 広告規制: 法律の解説記事のシェア自体は広告に該当しにくいですが、投稿文に受任勧誘や断定的な表現を含めないように注意しましょう

まずは次に記事を公開する際に、SNSで1回シェアしてみるところから始めるとよいでしょう。投稿文は「読者の悩み→記事で分かること→リンク」の三つの要素を入れるだけで十分です。

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