弁護士のコラムのネタを相談者の質問と検索キーワードから見つける方法

この章で学ぶこと

ブログやコラムのネタが思いつかないときに、相談者の質問・検索サジェスト・弁護士ドットコムの相談一覧という3つの外部ソースからネタを見つける方法を学びます。ネタ切れを防ぐストックの仕組みの作り方も合わせて理解します。

ネタが思いつかないのは「書くべきこと」の探し方が違うから

ブログやコラムを書くべきだと分かっている。しかし、パソコンの前に座ってもネタが出てこない。法改正の解説は一通り書いた。判例紹介もそう何本も書けるものではない。結局、今月も何も書かないまま時間だけが過ぎる。この状態に陥っている方は少なくありません。

ネタが思いつかない原因は、「書くべきこと」の探し方にあります。自分の頭の中から題材をひねり出そうとするから行き詰まるのです。実は、相談者が日常的に投げかけている質問や、Googleで検索されている悩みの中に、記事のネタは大量にあります。

ブログのネタが出てこないとき、多くの弁護士は次のような探し方をしています。

  • 最近の法改正で何か書けるものはないか
  • 担当した事件で記事にできるものはないか
  • 他の弁護士のブログを見て、似たテーマで書けないか

これらは「弁護士が書きたいこと」を起点にした探し方です。この方法では、すぐにネタが尽きます。法改正は毎月あるわけではありませんし、守秘義務のある事件は書けません。他の弁護士と同じ内容を書いても差別化にはなりません。

発想を逆転させる必要があります。起点を「弁護士が書きたいこと」から「相談者が知りたいこと」に変えれば、ネタは尽きません。相談者の悩みは無限にあるからです。

「相談者が知りたいこと」を探す方法は、大きく3つあります。

方法 ソース メリット
方法1 事務所に来る相談でよく聞かれる質問 自分の取扱分野に直結する。実際の相談者の言葉がそのまま使える
方法2 検索サジェスト(Googleサジェスト・ラッコキーワード) 実際に検索されているキーワードが分かる。検索需要のあるネタを選べる
方法3 弁護士ドットコムの相談一覧 相談者が実際に困っている状況が具体的に分かる。記事の切り口が見つかる

以下、それぞれの方法を具体的に説明します。

方法1 事務所に来る相談でよく聞かれる質問を書き出す

最も手軽で、かつ最も価値のあるネタの探し方は、事務所に来る相談者からよく聞かれる質問を記事にすることです。

なぜ相談者の質問がネタになるのか

事務所に来て同じ質問をする人が3人いれば、同じ疑問をGoogleで検索している人は何十倍もいます。事務所に来る相談者は、検索して情報を探したうえで、それでも分からなかったから相談に来ています。つまり、相談者がよく聞く質問は、ネット上に十分な回答がないテーマである可能性が高いのです。

質問の書き出し方

次の手順で質問を洗い出します。

  • 手順1 — 取扱分野ごとに、初回相談でよく聞かれる質問を5つ書き出す
  • 手順2 — 相談の途中で「それはどういう意味ですか」と聞かれた法律用語を書き出す
  • 手順3 — 相談後に電話やメールで追加で聞かれた質問を書き出す

離婚分野の例

離婚を取扱分野にしている場合、よく聞かれる質問は次のようなものが多いです。

  • 離婚の慰謝料はいくらもらえるのか
  • 相手が離婚に同意しない場合はどうすればよいか
  • 養育費はいつまで払ってもらえるのか
  • 弁護士に依頼するとどのくらい費用がかかるのか
  • 調停と裁判の違いは何か

これらの質問の一つ一つが、そのまま1本の記事になります。5つの取扱分野で各5問書き出せば、それだけで25本分のネタが生まれます。

質問をタイトルに変換する

書き出した質問は、そのまま記事のタイトルに近い形になります。

相談者の質問 記事タイトルの案
離婚の慰謝料はいくらもらえるのか 離婚の慰謝料の相場と金額を左右する要素
相手が離婚に同意しない場合はどうすればよいか 相手が離婚に応じないときに取れる手段と進め方
弁護士に依頼するとどのくらい費用がかかるのか 離婚で弁護士に依頼したときの費用の目安と内訳

方法2 検索サジェストから相談者の悩みを拾う

事務所の相談からネタを見つける方法に加えて、Googleの検索サジェストを使えば、相談者がどのような言葉で悩みを検索しているかを直接確認できます。

Googleサジェストの使い方

Googleの検索窓に「離婚 弁護士」と入力すると、その下に予測候補が表示されます。これがGoogleサジェストです。表示される候補は、実際に多くの人が検索しているキーワードであるため、検索需要があることが保証されています。

たとえば、「離婚 弁護士」と入力すると、次のような候補が表示されます(時期や地域により変動します)。

  • 離婚 弁護士 費用
  • 離婚 弁護士 選び方
  • 離婚 弁護士 メリット
  • 離婚 弁護士 いつ相談
  • 離婚 弁護士 無料相談

これらの候補の一つ一つが記事のネタになります。「離婚 弁護士 費用」であれば、離婚事件を弁護士に依頼したときの費用の記事が書けます。「離婚 弁護士 選び方」であれば、離婚に強い弁護士の選び方の記事が書けます。

ラッコキーワードの使い方

ラッコキーワード(rakkokeyword.com)は、Googleサジェストのキーワードを一括で取得できる無料ツールです。Googleの検索窓に一つずつ入力する手間を省けます。

使い方は次のとおりです。

  • 手順1 — ラッコキーワードにアクセスする
  • 手順2 — 検索窓に自分の取扱分野のキーワードを入力する(例: 「離婚 弁護士」「相続 弁護士」)
  • 手順3 — 表示された関連キーワードの一覧を確認する
  • 手順4 — 一覧の中から、自分が記事を書けるキーワードを選ぶ

ラッコキーワードでは、1つのキーワードに対して数十〜数百の関連キーワードが表示されます。「離婚 弁護士」で検索した場合、「離婚 弁護士 費用」「離婚 弁護士 タイミング」「離婚 弁護士 必要か」など、さまざまな切り口のキーワードが一覧で得られます。

キーワードの選び方

表示されたキーワードのすべてを記事にする必要はありません。次の基準で優先順位をつけます。

優先度 基準
自分の取扱分野に直結し、回答できる内容 「離婚 慰謝料 相場」「相続放棄 期限」
取扱分野に関連し、相談者の意思決定に影響する内容 「離婚 弁護士 選び方」「相続 弁護士 費用」
取扱分野と関係が薄い、または自分に知見がない内容 「離婚 占い」「相続 税金 計算」(税理士の領域)

優先度「高」のキーワードから順に記事にしていけば、検索需要があり、かつ自分の事務所の集客に直結するネタが確保できます。

方法3 弁護士ドットコムの相談一覧から題材を見つける

弁護士ドットコムの「みんなの法律相談」では、一般の人が弁護士に対して質問を投稿しています。この相談一覧は、相談者がどのような状況で、どのような言葉で悩みを表現しているかを知る宝庫です。

相談一覧の見方

弁護士ドットコムの相談一覧は、カテゴリ別に分類されています。自分の取扱分野のカテゴリを開くと、相談者の投稿が一覧で表示されます。注目すべきは次の3点です。

  • 質問のタイトル — 相談者がどのような言葉で悩みを表現しているかが分かります。この言葉がそのまま記事のタイトルや見出しに使えます
  • 質問の内容 — 相談者がどのような状況にあるかが具体的に分かります。記事の中で「こういう状況で悩んでいませんか」と読者に語りかけるときの材料になります
  • 同じテーマの質問の多さ — 同じような質問が繰り返し投稿されているテーマは、需要が高いです。優先的に記事にすべきです

相談一覧からネタを抽出する手順

  • 手順1 — 自分の取扱分野のカテゴリを開く
  • 手順2 — 最新の相談を30件ほど流し読みする
  • 手順3 — 繰り返し出てくる質問のテーマをメモする
  • 手順4 — メモしたテーマを記事タイトルの形に整える

注意点

弁護士ドットコムの相談内容をそのまま記事に転記してはいけません。投稿された質問は個別の事案であり、相談者のプライバシーに関わります。あくまで「こういうテーマの質問が多い」という傾向を把握するために使い、記事の中では一般的な形に抽象化して書きます。

相談一覧から得られるネタの例

相談一覧で多い質問のテーマ 記事タイトルの案
別居中の生活費は請求できるか 別居中の婚姻費用の請求方法と金額の目安
遺産分割協議が進まない 遺産分割協議がまとまらないときの対処法
示談金の提示額が低すぎる 交通事故の示談金が低いと感じたときの増額交渉の進め方

ネタ切れを防ぐストックの作り方

上記の3つの方法でネタを見つけても、記事を書くたびに毎回ネタを探していると、「今月は何を書こう」と悩む時間が繰り返し発生します。ネタ切れを防ぐには、ストックの仕組みを作っておく必要があります。

ネタ帳を作る

スプレッドシート、メモアプリ、ノートなど、普段使っているツールに「記事ネタ帳」を一つ作ります。形式は何でもよいですが、次の3列があると管理しやすくなります。

内容
ネタ(タイトル案) 記事の題材をタイトルの形で書く 離婚の慰謝料の相場と金額を左右する要素
ソース どこで見つけたか 相談者からの質問 / サジェスト / 弁護士ドットコム
優先度 高・中・低

ネタを追加するタイミング

ネタ帳は、記事を書くときに埋めるのではなく、日常の中で思いついたときに追加していくものです。

  • 相談後 — 相談者から聞かれた質問をすぐにメモする
  • 検索時 — 何かを調べるついでにサジェストを確認してメモする
  • 弁護士ドットコム閲覧時 — 月に1回、30分で相談一覧を流し読みしてメモする

この習慣をつければ、ネタ帳には常に10〜20個の候補がストックされている状態になります。記事を書くときは、ストックの中から優先度「高」のものを選ぶだけです。

月間の執筆計画を立てる

ネタ帳ができたら、月初に「今月はどのネタを書くか」を決めます。月に2本書くと決めたら、ネタ帳から2つ選んでカレンダーに入れます。「書くかどうか」を毎回判断するのではなく、「どれを書くか」だけを決めればよい状態にしておくことで、継続のハードルが下がります。

1つの相談から複数のネタを展開する

1つの相談者の質問から、切り口を変えて複数のネタを作ることもできます。

  • 「離婚の慰謝料はいくらもらえるか」→ 慰謝料の相場の記事
  • 同じ質問から → 慰謝料を増額するためのポイントの記事
  • 同じ質問から → 慰謝料の請求手続きの流れの記事
  • 同じ質問から → 慰謝料が認められないケースの記事

このように、1つの題材を「相場」「増額」「手続き」「例外」の4つの切り口に分ければ、1つの相談から4本の記事が生まれます。

まとめ — 相談者が実際に困っていることを書けば、ネタは尽きない

コラムやブログのネタが思いつかない原因は、「自分の頭の中」から探しているからです。探す場所を変えれば、ネタは尽きません。

  • 方法1 — 事務所に来る相談者からよく聞かれる質問を書き出す。5分野×5問で25本分
  • 方法2 — Googleサジェストとラッコキーワードで検索されている悩みを拾う
  • 方法3 — 弁護士ドットコムの相談一覧で繰り返し出てくるテーマを確認する

見つけたネタは「ネタ帳」にストックし、月初に書くものを決めておけば、ネタ切れに悩むことはなくなります。

ブログのネタに困っているなら、まずは今日の相談で聞かれた質問を1つメモするところから始めてみてください。その質問が、次の記事の題材になります。

Leave a Comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Scroll to Top