この章で学ぶこと
この章では、直帰率が高くなる原因を整理したうえで、直帰率を下げて回遊率を上げるための記事設計を3つの方法に分けて学びます。関連記事リンクの設置、カテゴリページの整理、記事中の内部リンクの入れ方を、弁護士のサイトに特化した具体例とともに理解していきましょう。
直帰率が高いと記事を読んだだけで離脱される
まず、直帰率と回遊率の定義を確認します。
| 指標 | 定義 | GA4での確認方法 |
|---|---|---|
| 直帰率 | サイトに訪問して1ページだけ見て離脱したセッションの割合。GA4では「エンゲージメントのなかったセッション」の割合として計算される | レポート→エンゲージメント→ページとスクリーン。列をカスタマイズして直帰率を追加 |
| 回遊率 | 1回の訪問で閲覧されたページ数の平均。GA4では「セッションあたりのページビュー数」として表示される | レポート→エンゲージメント→概要。「セッションあたりのイベント数」を確認 |
弁護士のサイトにおける直帰率の目安
Contentsquareの調査(2024年)によれば、ウェブサイト全体の平均直帰率は約47%です。業種によって差があり、コンテンツ系サイトでは50〜65%程度が一般的とされています。弁護士のサイトは法律情報を求めて検索流入するケースが多いため、直帰率が60〜80%になることも珍しくありません。
直帰率が高いことの問題点
- 記事を読んだだけで離脱されると、事務所の他のサービスや実績を見てもらえない
- 問い合わせフォームにたどり着く人が少なくなる
- 記事の集客効果が「アクセス数」止まりで、「問い合わせ」につながらない
- SEOの観点でも、ユーザーがサイト内で長く滞在し複数ページを見ることは、サイトの品質を示す間接的なシグナルになるとされている
直帰率を下げるとは、訪問者が「次のページも見たい」と思う導線を記事の中に設計するということです。
直帰率が高くなる典型的な原因
弁護士のサイトで直帰率が高くなる原因は、主に以下の5つです。
| 原因 | 詳細 | 発生しやすい状況 |
|---|---|---|
| 記事末に関連記事リンクがない | 記事を読み終わっても、次に読むべきページが提示されない | 記事を1本ずつ独立して書いている場合 |
| 記事中に内部リンクがない | 本文の中で関連するテーマに触れても、そのテーマの記事へのリンクがない | 記事同士の関連を意識せずに書いている場合 |
| カテゴリページが未整備 | 記事の一覧ページがなく、他の記事を探す手段がない | 記事数が増えてきたがカテゴリ分けをしていない場合 |
| 問い合わせへの導線がない | 記事を読んで「相談したい」と思っても、問い合わせフォームへのリンクが見当たらない | サイドバーやフッターにのみ導線がある場合(スマホでは見えにくい) |
| ページの読み込みが遅い | ページが表示される前に離脱される | 画像が大きい、不要なプラグインが多い場合 |
この中で、弁護士のサイトで最も多い原因は「関連記事リンクがない」と「記事中に内部リンクがない」の2つです。記事を1本ずつ独立して書いている事務所が多く、記事同士を結びつける導線が設計されていません。以下の3つの方法で対策していきましょう。
回遊率を上げる方法1 記事末に関連記事リンクを設置する
最もシンプルで効果が大きいのは、記事の末尾に関連記事へのリンクを設置することです。記事を読み終わった読者に「次にこれを読んでください」と提示するだけで、直帰率は下がります。
設置の方法
記事の本文の末尾(まとめのH2の後)に、関連する記事へのリンクを3〜5本並べます。WordPressを使っている場合、関連記事を自動表示するプラグイン(JEEP Related Posts、Yet Another Related Posts Pluginなど)を使う方法と、手動でリンクを設置する方法があります。
手動で設置する場合のHTML構成の例
記事末に「関連する記事」という見出しを置き、その下にリンク付きのリスト(記事タイトル+1行の説明文)を並べます。
関連記事の選び方
| 関連性の種類 | 例(記事が「離婚時の財産分与」の場合) |
|---|---|
| 同じ分野の別テーマ | 「離婚時の養育費の算定方法」「離婚の慰謝料の相場」 |
| 手続きの前後関係 | 「離婚を決意したらまず確認すべきこと」(前の手順)、「離婚調停の流れ」(次の手順) |
| 読者の状況が近いテーマ | 「別居中の生活費の請求方法」「離婚後の住居の確保方法」 |
関連性が高い記事を選ぶほど、クリック率が上がります。「離婚時の財産分与」の記事の末尾に「交通事故の慰謝料」へのリンクを貼っても、クリックされることはほぼありません。同じ分野、同じ状況にある読者が「次に知りたいこと」を想像して選びましょう。
関連記事リンクの数
- 3〜5本が適切です
- 1〜2本では選択肢が少なく、クリックされにくくなります
- 10本以上は多すぎて読者が選べません。かえってクリック率が下がります
- リンクにはタイトルだけでなく、1行の説明文を添えると、どの記事が自分に関係あるか判断しやすくなります
回遊率を上げる方法2 カテゴリページを整理して一覧から選べるようにする
記事数が10本を超えたら、カテゴリページの整理が必要になります。カテゴリページとは、特定の分野の記事を一覧で表示するページです。「離婚に関する記事の一覧」「相続に関する記事の一覧」のように、分野ごとに記事をまとめたページを作ります。
カテゴリの分け方
弁護士のサイトでは、以下のようなカテゴリ構成が一般的です。
| 大カテゴリ | 中カテゴリの例 | 該当する記事のテーマの例 |
|---|---|---|
| 離婚 | 財産分与 / 養育費 / 慰謝料 / 親権 / 調停・裁判 | 財産分与の対象、養育費の算定方法、不倫の慰謝料の相場 |
| 相続 | 遺産分割 / 相続税 / 遺言書 / 相続放棄 / 生前対策 | 遺産分割協議の流れ、相続登記の義務化、遺言書の書き方 |
| 交通事故 | 慰謝料 / 後遺障害 / 示談交渉 / 保険 | 慰謝料の3つの基準、後遺障害等級の認定方法 |
| 労働問題 | 不当解雇 / 残業代 / ハラスメント | 退職勧奨への対応方法、残業代の計算方法 |
カテゴリページの構成
カテゴリページには、以下の要素を含めましょう。
- カテゴリの説明文(2〜3文): このカテゴリにどのような記事があるかを説明する
- 記事の一覧: 記事タイトル+1行の概要+公開日。新しい順に並べる
- 中カテゴリがある場合は、中カテゴリごとにグループ分けして表示する
カテゴリページへの導線
カテゴリページを作っても、読者がたどり着けなければ意味がありません。以下の場所にカテゴリページへのリンクを設置します。
- ヘッダーメニュー: 「離婚」「相続」「交通事故」などのカテゴリ名を並べる
- 記事末の関連リンク: 関連記事とともに「離婚に関する記事の一覧はこちら」のようなリンクを置く
- サイドバー(PCの場合): カテゴリの一覧をサイドバーに表示する
- パンくずリスト: 記事ページの上部に「ホーム > 離婚 > 財産分与の対象」のような階層を表示する。読者は上位のカテゴリをクリックして、同じ分野の他の記事を探せる
パンくずリストの効果
パンくずリストは直帰率の改善に有効です。読者が「この記事は参考になったが、他にも同じ分野の記事がないか」と思ったとき、パンくずリストの上位カテゴリをクリックして記事一覧に遷移できます。SEOの観点でも、パンくずリストはGoogleがサイト構造を理解する手がかりになるため、設置を推奨します。
回遊率を上げる方法3 記事中に内部リンクを自然に入れる
記事の本文の中で、関連するテーマに言及したときに、そのテーマの記事へのリンクを挿入する方法です。記事末の関連記事リンクとは異なり、本文の文脈の中でリンクを提示するため、クリック率が高くなります。
内部リンクを入れるべき場面
| 場面 | 例 |
|---|---|
| 別の記事で詳しく解説しているテーマに触れたとき | 「養育費の算定方法については、別の記事で詳しく解説しています」→ リンク |
| 前提知識として別の記事を読んでほしいとき | 「財産分与を理解するには、まず離婚の手続きの全体像を把握しておくとよいでしょう」→ リンク |
| 読者の状況に応じて分岐する情報があるとき | 「相手方がDVを行っている場合は対応が異なります。DVを理由に離婚する場合の手続きはこちらを参照」→ リンク |
| 専門用語を初めて使うとき | 「この場合、婚姻費用を請求できます」→ 婚姻費用の解説記事へリンク |
内部リンクを入れる際のルール
- 1つのH2セクションにつき内部リンクは1〜2本まで。多すぎると読みにくくなります
- 記事全体で5〜8本が目安です。10本を超えると過剰になります
- リンクのアンカーテキスト(リンクになっている文字列)は、リンク先の内容が分かる文言にする。「こちら」ではなく「養育費の算定方法の解説」のようにしましょう
- リンクは本文の流れの中で自然に挿入する。唐突にリンクだけを置かないようにしましょう
内部リンクの書き方の例
不自然な書き方
「財産分与にはいくつかの種類がある。こちら。養育費についてはこちら。」
自然な書き方
「財産分与には清算的財産分与・扶養的財産分与・慰謝料的財産分与の3種類があります。あわせて養育費の算定方法も確認しておくと、離婚時に決めるべき金銭面の全体像が把握できます。」
後者は、読者が次に知りたい情報への橋渡しとして内部リンクが機能しています。「養育費の算定方法」の部分をリンクにすれば、読者は自然にクリックします。
内部リンク設計のチェックリスト
記事を公開する前に、以下の項目を確認しましょう。
- 記事末に関連記事リンクが3〜5本設置されているか
- 本文中に内部リンクが5〜8本含まれているか
- 内部リンクのアンカーテキストはリンク先の内容を表しているか
- 問い合わせフォームへのリンクが記事末に設置されているか
- パンくずリストが表示されているか
- カテゴリページへのリンクがヘッダーメニューまたはサイドバーにあるか
このチェックリストを記事の公開フローに組み込めば、導線の抜け漏れを防げます。
改善の効果を測定する方法
導線を改善した後は、Google Analyticsで効果を測定します。確認すべき指標は以下のとおりです。
| 指標 | 確認の方法 | 改善の目安 |
|---|---|---|
| 直帰率 | ページとスクリーンレポートで、個別の記事ごとの直帰率を確認する | 70%以上の記事を60%以下に改善することを目標にする |
| セッションあたりのページビュー数 | エンゲージメント概要で確認する | 1.5以上を目標にする(改善前に1.2前後であれば大きな改善です) |
| 平均エンゲージメント時間 | ページとスクリーンレポートで確認する | 記事ページは2分以上を目標にする |
| 問い合わせフォームの到達率 | イベント設定でフォームの表示回数を計測する | 記事からフォームへの遷移率が改善されているか確認する |
改善は1回で完了するものではありません。月に1回、直帰率が高い記事を3本ピックアップし、関連記事リンクと内部リンクを追加しましょう。この作業を3か月続ければ、サイト全体の回遊率に変化が現れます。
まとめ
弁護士のサイトで直帰率が高い原因の多くは、記事から次のページへの導線がないことにあります。対策は3つです。第一に、記事末に関連記事リンクを3〜5本設置します。第二に、カテゴリページを整理してヘッダーメニューやパンくずリストからアクセスできるようにします。第三に、本文中に内部リンクを5〜8本、文脈に沿って自然に挿入します。記事を公開する前にチェックリストで導線の抜け漏れを確認し、公開後はGoogle Analyticsで直帰率とセッションあたりのページビュー数を測定して改善を繰り返しましょう。