この章で学ぶこと
この章では、自分のサイトと他事務所のコンテンツ量の差を数字で確認し、優先的に埋めるべきコンテンツを特定する方法を学びます。site:検索による確認方法、足りないコンテンツの特定手順、優先順位の付け方を順に理解していきましょう。
コンテンツ量の差は検索順位の差に直結する
検索エンジンは、あるキーワードに対してどのサイトを上位に表示するかを判断する際に、そのサイトが当該分野についてどれだけ詳しい情報を持っているかを評価材料の一つにしています。これは「トピカルオーソリティ」と呼ばれる概念であり、特定のテーマについて多くのコンテンツを持つサイトは、そのテーマに関する検索結果で優遇される傾向があります。
具体的に何が起きるかを示します。
| 事務所 | 離婚関連の記事数 | 「弁護士 離婚 地域名」での検索順位(傾向) |
|---|---|---|
| A事務所 | 25本(離婚全般・慰謝料・養育費・財産分与・面会交流など) | 上位に表示されやすい |
| B事務所 | 3本(離婚の概要・費用・相談の流れ) | 上位表示が難しい |
A事務所は離婚に関する記事を25本持っているため、検索エンジンから「離婚について詳しいサイト」と評価されやすくなります。B事務所は3本しかないため、たとえ3本の記事の質がA事務所より高くても、トピカルオーソリティの面で不利になります。
もちろん、コンテンツの量だけで検索順位が決まるわけではありません。記事の質、サイトの信頼性、被リンクの数と質、ページの表示速度など、検索順位に影響する要素は多数あります。しかし、コンテンツ量の差が大きい場合、他の要素で逆転するのは現実的に困難です。
コンテンツ量の差を把握することは、「何をすればよいか分からない」という状態から脱する第一歩です。差を数字で把握すれば、具体的な行動計画を立てられます。
他事務所のコンテンツ量を確認する方法
他事務所のコンテンツ量を確認する方法は三つあります。いずれも無料で、特別なツールは不要です。
方法1 site:検索で総ページ数を確認する
Googleの検索窓に「site:相手のドメイン」と入力して検索します。たとえば、他事務所のドメインが「example-law.com」であれば、次のように入力します。
site:example-law.com
検索結果の上部に「約○件」と表示されます。この数字が、Googleがインデックスしている(検索結果に含めている)そのサイトのページ数の概算です。
注意点として、この数字は正確なページ数ではありません。Googleの表示する「約○件」は概算であり、実際のページ数と異なることがあります。しかし、自分のサイトと他事務所のサイトの差を大まかに把握するには十分です。
自分のサイトについても同様にsite:検索を行い、数字を並べて比較しましょう。
| サイト | site:検索の結果 | 差 |
|---|---|---|
| 自分のサイト | 約15件 | — |
| 他事務所A | 約80件 | 65件多い |
| 他事務所B | 約45件 | 30件多い |
| 他事務所C | 約12件 | 同程度 |
方法2 分野別のページ数を確認する
site:検索にキーワードを追加すると、特定の分野に関するページ数を概算で確認できます。
- site:example-law.com 離婚 — 離婚に関するページ数
- site:example-law.com 相続 — 相続に関するページ数
- site:example-law.com 交通事故 — 交通事故に関するページ数
この方法で、自分のサイトと他事務所のサイトを分野別に比較します。総ページ数では差が小さくても、特定の分野で大きな差がある場合があります。
| 分野 | 自分のサイト | 他事務所A | 差 |
|---|---|---|---|
| 離婚 | 2件 | 18件 | 16件 |
| 相続 | 1件 | 12件 | 11件 |
| 交通事故 | 0件 | 8件 | 8件 |
| 債務整理 | 3件 | 5件 | 2件 |
この例では、離婚と相続で大きな差があり、債務整理では差が小さいことが分かります。
方法3 目視でページ構成を確認する
site:検索では把握できない情報もあります。他事務所のサイトを実際に閲覧し、以下の点を確認しましょう。
- サイトマップやカテゴリ一覧があるか — あれば全体の構成を一目で把握できる
- ブログ・コラムのカテゴリ構成 — どの分野に何本の記事があるか
- 記事の更新頻度 — 最新の記事がいつ公開されたか
- 記事の文字数の傾向 — 1本あたりの情報量がどの程度か
この目視確認は全ての他事務所に対して行う必要はありません。site:検索で差が大きかった上位2〜3事務所について行えば十分です。
自分のサイトに足りないコンテンツを特定する手順
コンテンツ量の差を把握したら、次は「何が足りないか」を特定します。単に記事の本数を増やすのではなく、読者のニーズに対応するページが欠けている箇所を見つけることが目的です。
手順1 自分のサイトの既存コンテンツを棚卸しする
まず、自分のサイトに現在あるページを全てリストアップします。スプレッドシートに以下の項目で整理しましょう。
| ページタイトル | URL | 分野 | 種類 | 文字数(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 離婚問題 | /rikon/ | 離婚 | 分野トップ | 1,500字 |
| 離婚の弁護士費用 | /rikon/fee/ | 離婚 | 料金 | 800字 |
| 事務所概要 | /about/ | 共通 | 事務所情報 | 500字 |
ページの「種類」は以下のように分類します。
- 分野トップ — 「離婚問題」「相続問題」のように分野の概要を説明するページ
- 料金 — 費用に関するページ
- 解説記事 — 特定のテーマについて詳しく解説するページ(「慰謝料の相場」「養育費の計算方法」など)
- 事例紹介 — 過去の対応事例を紹介するページ
- FAQ — よくある質問をまとめたページ
- 事務所情報 — 事務所概要・アクセス・弁護士紹介など
手順2 他事務所のコンテンツ構成と比較する
site:検索で差が大きかった他事務所について、同様にページの種類と分野を整理します。全ページを精査する必要はなく、site:検索の結果やカテゴリ一覧から主要なページをピックアップすれば十分です。
比較の結果、次のような差が見えてきます。
| コンテンツの種類 | 自分のサイト | 他事務所A | ギャップ |
|---|---|---|---|
| 離婚の分野トップ | あり(1本) | あり(1本) | なし |
| 離婚の費用ページ | あり(1本) | あり(1本) | なし |
| 慰謝料の解説記事 | なし | あり(3本) | あり |
| 養育費の解説記事 | なし | あり(2本) | あり |
| 財産分与の解説記事 | なし | あり(2本) | あり |
| 面会交流の解説記事 | なし | あり(1本) | あり |
| 離婚の事例紹介 | なし | あり(5本) | あり |
| 離婚のFAQ | なし | あり(1本) | あり |
この表を作ると、自分のサイトに何が欠けているかが一目で分かります。
手順3 検索ニーズがあるテーマを特定する
ギャップが見つかったら、そのテーマに検索ニーズがあるかどうかを確認します。他事務所にあって自分にない記事でも、誰も検索しないテーマであれば優先度は低くなります。
確認方法は以下のとおりです。
- Googleサジェスト — 検索窓にキーワードを入力したときに表示される候補。表示されれば検索ニーズがある
- 「他の人はこちらも質問」 — 検索結果に表示される関連質問。ここに表示されるテーマは検索ニーズが確認できている
- Googleキーワードプランナー — 月間検索ボリュームを確認できる(Google広告のアカウントが必要だが、広告を出稿しなくても使える)
検索ニーズが確認できたテーマをギャップリストに追記し、次の手順で優先順位を付けましょう。
コンテンツギャップを埋める優先順位の付け方
ギャップを全て一度に埋めることはできません。弁護士1〜2名の事務所であれば、本業の合間に記事を書くことになるため、効果が大きいものから順に着手する必要があります。
優先順位は以下の三つの軸で判断します。
軸1 自分の主力分野かどうか
最も重要な軸です。自分が最も力を入れている分野、最も相談件数を増やしたい分野のギャップを最優先で埋めましょう。離婚を主力にしているなら離婚のギャップを先に埋め、相続のギャップは後回しにします。
複数の分野を扱っている場合は、次の基準で主力分野を決めます。
- 現在最も相談件数が多い分野
- 着手金・報酬金の単価が最も高い分野
- 今後最も伸ばしたい分野
軸2 読者が相談を決めるまでに必要な情報かどうか
記事は大きく二つの役割に分かれます。一つは「読者を集める役割」、もう一つは「読者を相談に導く役割」です。後者の記事が欠けていると、サイトに来た読者が相談に至りません。
読者が相談を決めるまでに必要な情報は、以下の順で重要度が高くなります。
| 優先度 | コンテンツの種類 | 理由 |
|---|---|---|
| 1(最優先) | 費用のページ | 費用が分からないと問い合わせできない |
| 2 | 相談の流れのページ | 何が起きるか分からないと行動できない |
| 3 | 分野のトップページ | 取り扱っている分野が分からないと検討できない |
| 4 | 個別テーマの解説記事 | 読者を集める入口になる |
| 5 | 事例紹介 | 信頼を補強する |
| 6 | FAQ | 細かい不安を解消する |
優先度1〜3が欠けている場合は、解説記事を量産する前にこれらを先に作りましょう。
軸3 競合との差が大きいかどうか
同じ分野で他事務所が10本の記事を持ち、自分が0本の場合と、他事務所が10本で自分が8本の場合では、前者のほうが対処の緊急度が高くなります。差が大きい分野から埋めていきましょう。
三つの軸を組み合わせた判断
| 判断基準 | 高優先 | 低優先 |
|---|---|---|
| 主力分野か | 主力分野のギャップ | 非主力分野のギャップ |
| 相談に導く情報か | 費用・流れ・分野トップ | 事例・FAQ |
| 競合との差 | 差が大きい(0本 vs 10本) | 差が小さい(8本 vs 10本) |
三つの軸の全てで「高優先」に該当するものから着手しましょう。全てに取り組む必要はなく、まずは最優先の3〜5本を書くことを目標にします。月に2本ずつ書けば、2〜3か月で主力分野のギャップはかなり埋まります。
記事を書いたら、3か月後にsite:検索で自分のサイトのページ数を再度確認しましょう。数字の変化を追うことで、進捗を実感でき、継続する動機になります。
まとめ
他事務所とのコンテンツ量の差を確認して埋める方法を整理します。
- コンテンツ量の差は検索エンジンの専門性評価(トピカルオーソリティ)に影響し、記事が少ないサイトは同じキーワードで上位表示されにくくなる
- 他事務所のページ数はsite:検索で概算を把握できる。分野名を追加すれば分野別の比較もできる
- 自分のサイトの既存コンテンツを棚卸しし、他事務所と比較して欠けているテーマ(ギャップ)を特定する
- ギャップの全てを一度に埋めるのではなく、主力分野・相談に導く情報・競合との差の大きさの三つの軸で優先順位を付ける
- まずは最優先の3〜5本から着手し、月2本ずつ書く。3か月後にsite:検索で進捗を確認する