企業法務・顧問契約で集客する記事の書き方と狙うべきキーワードの選び方

この章で学ぶこと

この章では、企業法務・顧問契約分野で集客記事を書く際のキーワード(KW)の選び方と、経営者向け記事・法務担当者向け記事の具体的な構成の違いを学びます。企業法務は個人向け分野とは読者も検索KWも異なり、「リスク回避」と「実務手順」を軸に記事を設計する必要があります。

企業法務分野は個人向けとは読者も検索KWも異なります

企業法務分野の集客記事を書く前に、この分野が個人向け分野(離婚・相続・交通事故など)と異なる3つのポイントを理解しておく必要があります。

違い1:読者が2種類います

企業法務の記事を読むのは、大きく分けて以下の2種類の人です。

読者の種類 役職・立場 検索の動機 記事に求めるもの
経営者(中小企業) 代表取締役、個人事業主 トラブルが発生した、またはリスクを事前に防ぎたい 全体像の把握、費用感、弁護士に頼むべきかの判断基準
法務担当者(中堅〜大企業) 法務部員、総務部の法務担当 実務上の判断に必要な情報を探している 法的な根拠、判例、実務手順、チェックリスト

この2種類の読者に対して同じ記事を書くと、どちらにも刺さりません。記事の設計段階で「この記事は経営者向けか、法務担当者向けか」を決めることが、企業法務の記事設計の最初の一歩です。

違い2:検索KWの構造が異なります

個人向け分野では「離婚 慰謝料 相場」のように、悩みをそのまま検索するKWが中心です。企業法務では、以下のようなKWの構造になります。

  • 経営者向けKW:「顧問弁護士 必要か」「契約書 チェック 費用」「従業員 解雇 手順」のように、経営上の判断に関するKW
  • 法務担当者向けKW:「秘密保持契約 雛形」「独占禁止法 優越的地位の濫用 要件」「下請法 親事業者 義務」のように、実務上の知識に関するKW

違い3:相談までのプロセスが長い

個人向け分野(特に交通事故や刑事事件)は、記事を読んだその日に相談することがあります。企業法務は以下のプロセスをたどることが多いです。

  • 記事を読んで信頼できそうな事務所だと認識する
  • 他のコンテンツ(セミナー情報、実績紹介、他の記事)も確認する
  • 社内で相談のうえ、問い合わせフォームから連絡する
  • 初回相談を経て、顧問契約や個別案件の依頼に至る

このため、企業法務の記事は「1本の記事で相談を獲得する」のではなく、「複数の記事でサイト全体の信頼を構築する」という戦略が求められます。

企業法務分野で狙うべきロングテールKWの具体例

企業法務分野のKWは、「顧問契約」「契約書」「労務管理」「企業間トラブル」の4カテゴリに分けられます。

顧問契約に関するKW

KW 月間検索ボリューム(目安) 検索意図 読者
顧問弁護士 費用 相場 800〜1,200 顧問弁護士にかかる費用を知りたい 経営者
顧問弁護士 必要か 中小企業 300〜500 中小企業で顧問弁護士を置くべきか判断したい 経営者
顧問弁護士 選び方 200〜400 どういう基準で顧問弁護士を選べばよいか 経営者
顧問契約 内容 範囲 200〜400 顧問契約に含まれる業務の範囲を知りたい 経営者・法務担当者

契約書に関するKW

KW 月間検索ボリューム(目安) 検索意図 読者
業務委託契約書 注意点 500〜800 業務委託契約書を作成する際の注意点を知りたい 経営者・法務担当者
秘密保持契約 NDA 雛形 400〜600 NDAのテンプレートがほしい 法務担当者
契約書 リーガルチェック 費用 300〜500 契約書のチェックを弁護士に依頼する費用を知りたい 経営者
取引基本契約書 損害賠償 条項 200〜300 取引基本契約書の損害賠償条項の書き方を知りたい 法務担当者
競業避止 誓約書 有効性 200〜400 退職時の競業避止誓約書が法的に有効か知りたい 経営者・法務担当者

労務管理に関するKW

KW 月間検索ボリューム(目安) 検索意図 読者
問題社員 対応 手順 300〜500 問題のある従業員への対処法を知りたい 経営者
従業員 解雇 手順 合法 400〜600 法的に問題のない解雇の進め方を知りたい 経営者
就業規則 作成 義務 300〜500 就業規則を作成する義務があるか知りたい 経営者
ハラスメント 会社 義務 対策 300〜500 パワハラ防止法に基づく会社の義務を知りたい 経営者・法務担当者
残業代 固定残業 制度設計 200〜400 固定残業代の制度を正しく設計する方法を知りたい 経営者・法務担当者

企業間トラブルに関するKW

KW 月間検索ボリューム(目安) 検索意図 読者
売掛金 回収 方法 500〜800 取引先が代金を支払わない場合の回収方法を知りたい 経営者
取引先 倒産 債権回収 200〜400 取引先が倒産した場合に債権を回収できるか知りたい 経営者
下請法 違反 ペナルティ 200〜400 下請法に違反した場合のリスクを知りたい 法務担当者
株主間契約 ドラッグアロング 100〜200 株主間契約の条項の意味と実務上の注意点を知りたい 法務担当者

KW選定で押さえるポイント

  • 読者を特定してからKWを選びます。「経営者向けの記事を3本、法務担当者向けの記事を2本」のように、読者を先に決めてからKWを選ぶと、記事の方向性がぶれません
  • 経営者向けKWは「費用」「必要か」「手順」を含むものを優先します。経営者は判断材料を求めています。コスト感と手順が分かれば、相談に移行しやすくなります
  • 法務担当者向けKWは「要件」「注意点」「雛形」を含むものを優先します。法務担当者は実務に使える情報を求めています。記事の質が高ければ、その事務所を候補として社内に推薦してもらえます

経営者向け記事で押さえるべき構成

経営者向けの記事は、「全体像」「費用」「判断基準」の3要素を必ず含めます。経営者は法律の細かい条文よりも、「結局いくらかかるのか」「自分の場合はどうすればよいのか」を知りたいと考えています。

基本構成のテンプレート

経営者向けの記事は、以下の5ブロック構成が基本形になります。

  • 結論ファースト(200〜300字):経営者が最も知りたい結論(費用の目安、必要性の有無、手順の要約)を冒頭で示します
  • なぜこのテーマが重要なのか(500〜800字):放置した場合のリスクを具体的な数字で示します。「就業規則を整備していない場合、残業代の未払いで過去3年分の請求を受ける可能性があります」のように、経営リスクとして語ります
  • 費用の相場と比較(500〜800字):弁護士に依頼した場合の費用、自社で対応した場合のリスク、何もしなかった場合のコストを比較表で示します
  • 手順(800〜1,200字):「何を、いつ、誰が、どの順番で」を時系列で示します。経営者は実行手順を求めています
  • 弁護士に依頼する判断基準(300〜500字):「自社で対応できるケース」と「弁護士に依頼すべきケース」の線引きを明確にします

顧問弁護士の記事で使う費用比較表

「顧問弁護士 費用 相場」は、経営者向けKWの中で最も検索ボリュームが大きいです。この記事には、以下のような費用比較表を含めましょう。

企業規模 顧問料の相場(月額) 含まれる業務(一般的な例)
個人事業主・従業員5人以下 3万〜5万円 月1〜2回の法律相談、簡易な契約書チェック
中小企業(従業員10〜50人) 5万〜10万円 法律相談無制限、契約書作成・チェック、労務相談
中堅企業(従業員50〜300人) 10万〜30万円 上記に加え、取締役会対応、M&A支援、訴訟対応の優先受任

この表に加えて、「顧問契約に含まれない業務」(訴訟代理、M&Aのデューデリジェンス、大規模な契約書の起案など)についても触れておくと、読者の期待値のズレを防げます。

経営者向け記事のタイトルの付け方

タイトルの型
費用型 顧問弁護士の費用相場は?企業規模別の月額料金と業務範囲
判断基準型 中小企業に顧問弁護士は必要か?判断基準と依頼すべきタイミング
手順型 従業員を解雇する手順 法的に問題を起こさない進め方
リスク型 就業規則がない会社のリスクとは?未整備が招く3つの問題

経営者向け記事で避けるべき書き方

  • 条文の引用を長々と書かないようにしましょう。経営者は条文を読みたいのではなく、「結局どうすればよいのか」を知りたいです。条文は要約し、必要であれば注釈に原文を記載しましょう
  • 「リスクがある」で終わらないようにしましょう。リスクを提示したら、必ず「そのリスクを回避する手順」とセットで書きましょう
  • 業界用語を使わないようにしましょう。「善管注意義務」「表見代理」のような用語は、初出時に平易な言葉で言い換えましょう

法務担当者向け記事で押さえるべき構成

法務担当者向けの記事は、経営者向けとは設計が異なります。法務担当者は法律の基本知識を持っているため、「入門的な説明」は不要です。代わりに、実務上の判断に直結する情報を求めています。

基本構成のテンプレート

法務担当者向けの記事は、以下の5ブロック構成が基本形になります。

  • 法的な要件の整理(500〜800字):関連する法律の条文、要件、効果を整理します。条文を引用し、要件を分解して示します
  • 実務上の注意点(800〜1,200字):法的な要件を満たすために、実務上どのような対応が必要かを具体的に示します。チェックリスト形式が有効です
  • 判例・裁判例の紹介(500〜800字):関連する裁判例を2〜3件紹介し、裁判所がどのような基準で判断しているかを示します
  • ひな形・条項例(500〜800字):契約書の条項例、通知書のひな形など、実務でそのまま使える素材を提供します
  • 外部弁護士に相談すべきポイント(300〜500字):社内で対応できる範囲と、外部弁護士に相談すべき場面の線引きを示します

契約書レビュー記事の具体例

「業務委託契約書 注意点」というKWを狙う記事を例に、法務担当者向けの構成を具体化します。

確認すべき条項のチェックリスト

条項 確認ポイント リスク
業務内容の定義 業務の範囲が明確に定義されているか 範囲が曖昧だと追加業務の請求でトラブルになる
報酬・支払条件 金額、支払時期、支払方法が明記されているか 支払遅延、減額の根拠になりうる
契約期間・更新条件 自動更新の有無、解約の予告期間が明記されているか 解約できない、または解約金が発生するリスク
知的財産権の帰属 成果物の著作権、特許権の帰属が明記されているか 成果物の利用権をめぐるトラブル
秘密保持 秘密情報の定義、保持期間が明記されているか 情報漏洩時の責任の所在が不明確になる
損害賠償 上限額の有無、間接損害の免責の有無 想定外の損害賠償を請求されるリスク
解除条件 契約解除の要件が具体的に定められているか 相手方の債務不履行時に解除できない
再委託の可否 再委託を許可するか、許可する場合の条件 意図しない第三者に業務が再委託される

このチェックリストを記事に含めると、法務担当者が自社の契約書をレビューする際のツールとして使えます。「この記事を書いた事務所は実務を理解している」という印象を与え、将来的な相談のきっかけになります。

法務担当者向け記事のタイトルの付け方

タイトルの型
チェックリスト型 業務委託契約書のリーガルチェック 確認すべき8つの条項
要件整理型 下請法の親事業者の義務と違反時のペナルティ 要件を整理
実務手順型 NDA(秘密保持契約)の作成手順と条項ごとの注意点
判例解説型 競業避止義務の有効性 裁判例から読む3つの判断基準

法務担当者向け記事で避けるべき書き方

  • 入門的な説明に紙幅を割かないようにしましょう。「契約書とは何か」のような説明は不要です。法務担当者が読む記事では、前提知識があることを前提に書きましょう
  • ひな形をそのまま使えると断言しないようにしましょう。「以下のひな形を参考にしてください。ただし、個別の取引内容に応じた修正が必要です」と注記しましょう
  • 法改正情報を古いまま放置しないようにしましょう。法務担当者は情報の正確性に敏感です。最終更新日を明示し、法改正があった場合は速やかに記事を更新しましょう

企業法務サイト全体の記事設計

企業法務分野では、1本の記事で相談を獲得するのではなく、サイト全体で信頼を構築する戦略が有効です。記事の設計は以下の優先順位で進めましょう。

  • 第1優先:顧問契約の記事(3〜5本)。「費用相場」「必要か」「選び方」「含まれる業務」など、顧問契約を検討する経営者向けの記事を揃えます。これがサイトの入口になります
  • 第2優先:契約書の記事(5〜10本)。「業務委託契約書」「秘密保持契約」「取引基本契約書」など、契約書の種類ごとに記事を書きます。法務担当者がブックマークする記事を目指しましょう
  • 第3優先:労務管理の記事(3〜5本)。「問題社員の対応」「解雇の手順」「就業規則」など、経営者が直面しやすいテーマを扱います
  • 第4優先:企業間トラブルの記事(3〜5本)。「売掛金の回収」「取引先の倒産」など、トラブル発生時に検索されるKWを狙います

合計15〜25本の記事で、企業法務分野のロングテールKWを幅広くカバーできます。

まとめ

企業法務・顧問契約の集客記事は、以下の手順で作成します。

  • 読者を「経営者」と「法務担当者」に分けて設計します:記事ごとにどちらの読者に向けて書くかを決め、構成とKWを選定します
  • 経営者向けは「費用」「リスク」「手順」を軸にします:全体像と判断基準を示し、弁護士に依頼すべきかどうかを読者が自分で判断できるようにします
  • 法務担当者向けは「要件」「チェックリスト」「ひな形」を軸にします:実務でそのまま使える情報を提供し、事務所の実力を示します
  • サイト全体で信頼を構築します:企業法務は1本の記事で相談を獲得する分野ではありません。顧問契約→契約書→労務管理→企業間トラブルの順で記事を増やし、15〜25本で分野をカバーしましょう
  • 顧問契約の記事を最優先で作ります:顧問契約に関する3〜5本の記事が、企業法務サイトの入口になります

企業法務分野は、個人向け分野と比べて1件あたりの受任額が大きく、顧問契約になれば継続的な収入源になります。記事の数は少なくてよいですが、1本1本の質が問われる分野です。まずは顧問弁護士の費用と必要性に関する記事から始め、契約書、労務管理と順に広げていくのが現実的な進め方です。

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