この章で学ぶこと
「まずSEOをやりましょう」と言う業者もいれば、「MEOのほうが早く効果が出ます」と言う業者もいます。この章では、MEOとSEOの違いを整理したうえで、事務所の状況に応じてどちらから始めるかを判断する方法を学びます。結論から言えば、両方やる前提で、先に手をつけるほうを事務所の集客モデルで決めるのが合理的な考え方です。
MEOとSEOの違い — 届くユーザーと効果の出方
MEOとSEOは、どちらも検索結果に表示されるための施策ですが、表示される場所と届くユーザーが異なります。
| MEO(Map Engine Optimization) | SEO(Search Engine Optimization) | |
|---|---|---|
| 表示される場所 | Googleマップ・検索結果のマップ枠(ローカルパック) | 検索結果の通常枠(オーガニック検索) |
| 届くユーザー | 「地域名+弁護士」「近くの弁護士」など、場所を含む検索をしている人 | 「離婚 財産分与 手続き」など、情報を探している人(地域を問わない) |
| 必要なもの | Googleビジネスプロフィールの登録と運用 | ホームページの内容の充実と技術的な設定 |
| 効果が出るまでの期間 | 比較的早い(登録後すぐに表示される可能性がある) | 時間がかかる(記事を公開してから検索結果に反映されるまで数ヶ月が一般的) |
| 費用 | Googleビジネスプロフィール自体は無料。写真撮影や口コミ対応の手間がかかる | 記事の作成に時間または費用がかかる。外注する場合は月額数万円〜 |
| 向いている事務所 | 来所での相談が中心で、商圏が狭い事務所 | オンライン相談にも対応しており、広い地域から集客したい事務所 |
重要なのは、MEOとSEOは同じ検索でも別の枠に表示されるという点です。「渋谷 弁護士 離婚」と検索すると、マップ枠(MEOの領域)と通常の検索結果(SEOの領域)が両方表示されます。両方に表示されるのが理想ですが、同時に着手するリソースがない場合に、どちらを先にやるかという判断が必要になります。
MEOを先にやるべき場合 — 来所型で商圏が狭い事務所
以下の条件に当てはまる事務所は、MEOを先に始めるほうが効果を実感しやすくなります。
- 相談者に事務所まで来てもらう形が中心である
- 集客したい範囲が事務所の所在地とその周辺に限られる
- ホームページがまだないか、あっても情報が少ない
MEOを先にやる理由
Googleビジネスプロフィールは無料で登録でき、登録が完了すれば「地域名 弁護士」の検索でマップ枠に表示される可能性があります。SEOのように記事を何本も書く必要がなく、事務所の基本情報(所在地・電話番号・営業時間・取扱分野)を正確に登録することが最初のステップになります。
Googleの公式ヘルプによると、ローカル検索結果の掲載順位は「関連性」「距離」「視認性の高さ」の3つの要素で決まります。このうち「距離」は事務所の所在地で決まるため、操作の余地はありません。「関連性」はビジネスプロフィールに登録した情報の正確さと充実度で決まり、「視認性の高さ」はウェブ上の情報量(口コミの数、ホームページの存在など)で決まります。
MEOで最初にやること
- Googleビジネスプロフィールに登録し、オーナー確認を完了する
- 事務所名・住所・電話番号・営業時間を正確に入力する
- 取扱分野をカテゴリとして設定する(メインカテゴリ+追加カテゴリ)
- 事務所の外観・内観・スタッフの写真を掲載する
- 投稿機能を使って、お知らせや法律コラムを定期的に発信する
口コミの数と評価も表示順位に影響しますが、口コミを自作したり対価を提供して依頼したりすることはGoogleのポリシーに違反します。依頼者に「口コミを書いてください」と伝えること自体は問題ありませんが、強制や誘導にならないよう注意が必要です。
SEOを先にやるべき場合 — オンライン対応で商圏が広い事務所
以下の条件に当てはまる事務所は、SEOを先に始めるほうが集客の幅が広がります。
- オンライン相談(電話・ビデオ通話)に対応している
- 集客したい範囲が事務所の所在地に限定されない
- ホームページはあるが、取扱分野のページが薄い、または記事コンテンツがない
SEOを先にやる理由
オンライン対応ができる事務所は、商圏が地理的に限定されません。MEOは「近くの弁護士」を探す人に届く施策であるため、遠方からの相談を受け付けている事務所ではMEOだけでは対象が狭くなります。
SEOは、検索している人の所在地に関係なく表示されます。「離婚 財産分与 計算方法」のような検索に記事が表示されれば、全国どこからでもアクセスが来ます。そのアクセスを問い合わせにつなげるには、記事からの導線(問い合わせフォーム・電話番号の設置)が必要ですが、オンライン対応が前提であれば、地域の制約なく受任につなげられます。
SEOで最初にやること
- 取扱分野ごとに個別のページを作る(対応する問題の範囲・費用の目安・対応の流れを載せる)
- 各分野について、相談者が検索しそうなキーワードで記事を書く
- Google Search Consoleに登録し、サイトマップを送信する
- 記事を公開したら、インデックス登録をリクエストする
SEOの効果が出るまでには時間がかかります。記事を公開してから検索結果に反映されるまでに数週間〜数ヶ月、そこから問い合わせにつながるまでにさらに時間が必要になります。この時間軸を理解したうえで始めないと、「効果が出ない」と判断して途中でやめることになりやすいので注意してください。
開業直後の事務所はMEOから始めるほうが効果を実感しやすい
開業直後でホームページもまだない、または作ったばかりという状況では、MEOから始めるほうが現実的です。理由は3つあります。
1. 初期コストがかからない
Googleビジネスプロフィールの登録は無料です。写真を撮って情報を入力するだけで始められるため、開業直後の資金を温存できます。
2. 表示されるまでが早い
ビジネスプロフィールを登録し、オーナー確認が完了すれば、数日〜数週間でマップ枠に表示される可能性があります。SEOの場合は記事の作成・公開・インデックス・順位上昇までに数ヶ月かかるため、開業直後に「何も表示されない期間」が長くなります。
3. 事務所名の検索に対応できる
開業したことを知人や関係者に伝えると、事務所名で検索されます。このとき、Googleビジネスプロフィールが登録されていれば、事務所の情報(所在地・電話番号・営業時間)がマップとともに表示されます。ホームページがまだなくても、検索した人に基本的な情報が届きます。
ただし、MEOだけでは「地域名+弁護士」以外の検索からの流入は見込めません。事務所の運営が軌道に乗ってきたら、SEOにも着手するという順序が妥当です。
まとめ — 両方やる前提で、先にやるほうを事務所の状況で決める
MEOとSEOは、どちらかを選ぶものではなく、どちらから始めるかの問題です。判断基準をまとめると以下のようになります。
| 事務所の状況 | 先にやるほう | 理由 |
|---|---|---|
| 来所型・商圏が狭い | MEO | 「地域名+弁護士」の検索に対応できる。初期コスト不要。 |
| オンライン対応・商圏が広い | SEO | 地域に限定されない検索からの流入を取れる。 |
| 開業直後 | MEO | 無料で始められ、表示されるまでが早い。 |
| ホームページの内容が薄い | MEO(並行してHP整備) | HPの内容がないとSEOの効果が出ない。MEOで最低限の露出を確保しつつHPを整える。 |
先に始めたほうで最低限の設定が終わったら、もう一方にも着手しましょう。MEOから始めた場合は、ビジネスプロフィールの情報が充実したタイミングでSEOに取りかかります。SEOから始めた場合は、記事を公開し始めたタイミングでビジネスプロフィールも登録します。両方が揃って初めて、検索結果の複数の枠から事務所が見つかる状態になります。