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ポータルと自社サイトの併用設計──完全撤退ではなく最適な組み合わせを作る

結論・要点

ポータルを完全にやめる必要はありません。自社サイトが育つ移行期間中は、ポータルと自社サイトそれぞれに「得意なこと」を任せる併用設計が最も現実的です。ポータルは「今すぐ相談したい依頼者」の受け皿として残し、自社サイトは「情報収集段階の依頼者」を記事で引きつける──この棲み分けを明確にすることで、限られた予算と時間を最大化できます。

目次

  1. ポータルと自社サイトの得意なこと・不得意なことを整理する
  2. 併用期間中の記事テーマ選定──ポータルと重複しないテーマを狙う
  3. ポータルのプラン・露出設定を自社サイトの成長に合わせて調整する
  4. 【モデルケース解説】離婚と相続を扱う事務所の併用設計
  5. 併用設計で陥りやすい2つの誤り

ポータルと自社サイトの得意なこと・不得意なことを整理する

ポータルと自社サイトは、それぞれ「得意な依頼者層」が異なります。どちらか一方を選ぶのではなく、それぞれの強みを正確に把握することが、併用設計の出発点です。まず両者の特性を整理しましょう。

ポータルの得意: 「今すぐ相談したい」依頼者へのリーチ

ポータルサイトが最も力を発揮するのは、「地域名 弁護士 離婚」のように今すぐ相談先を探している依頼者へのリーチです。こうした検索語ではポータルが上位に表示され、複数の事務所を一覧で比較できるため、依頼者はそのまま電話予約まで進みやすい状態にあります。自社サイトが検索上位に入り込む余地はほとんどなく、この層の獲得はポータルに任せる方が合理的です。

自社サイトの得意: 「情報収集→比較検討→指名相談」の流れを作る

一方、自社サイトが強みを発揮できるのは、「養育費 相場」「遺産分割 調停 流れ」といった情報収集段階の検索語です(出典: キジラク検索データ・抽出日: 2026-07-13)。こうしたキーワードで記事を書くことで、相談前に「この弁護士は詳しそうだ」という信頼を積み上げ、指名相談につなげることができます。ポータルが一覧比較の場であるのに対し、自社サイトは事務所の専門性と姿勢を深く伝える場として機能します。

それぞれの弱点──ポータルは指名されにくい・自社サイトは即効性がない

ポータルの弱点は、依頼者が複数事務所を横並びで比較するため「料金が安い順」や「レビュー件数が多い順」で選ばれやすく、事務所が指名されにくい点です。費用を払い続けても自社のドメイン評価や記事資産は一切蓄積されません。自社サイトの弱点は即効性のなさで、記事を書いてから検索順位に反映されるまで3〜6ヶ月程度かかります。だからこそ「今すぐ相談したい依頼者はポータル」「情報収集段階の依頼者は自社サイト」という棲み分けが、小規模法律事務所にとって最も現実的な設計です。

観点 ポータル 自社サイト 併用時の役割分担
得意な依頼者層 今すぐ相談先を探している層 情報収集・比較検討中の層 ポータルで即時層を取り、自社サイトで検討層を育てる
強い検索語の例 「地域名 弁護士 離婚」など短く意図が明確な語 「養育費 相場」「遺産分割 調停 流れ」など情報収集語 ポータルが拾わない長い検索語を自社サイトで狙う
指名率 低い(横並び比較で選ばれる) 高い(記事で信頼を積んだ依頼者が指名) 自社サイト経由の問い合わせは指名率が高い
資産蓄積 なし(契約終了で流入即ゼロ) あり(記事・ドメイン評価が残る) 長期的には自社サイトへ比重を移す
即効性 あり(掲載後すぐ表示される) なし(順位反映まで3〜6ヶ月) 自社サイトが育つまでポータルで相談件数を維持する
コスト構造 月額固定(成果に関わらず発生) 初期労力大・継続費用小 自社サイト成長とともにポータルコストを段階的に削減

併用期間中の記事テーマ選定──ポータルと重複しないテーマを狙う

自社サイトで記事を書くとき、ポータルがすでに上位を占める検索語と同じ土俵で戦っても入り込む余地はほとんどありません。大切なのは、ポータルが拾えていない検索需要を見つけ出し、そこに記事を当てることです。

ポータルが強いテーマと自社サイトが狙うべきテーマの違い

ポータルサイトが検索上位を押さえているのは、「地域名 弁護士」「離婚 弁護士 地域名」のように短くて意図が明確な検索語です。これらは検索ボリュームが大きい反面、弁護士ドットコムをはじめとする大手ポータルが数百〜数千のページで対応しており、自社サイト単独では割り込めません。一方、「養育費 算定表 使い方」「遺産分割 調停 期間 どのくらい」といった長い検索語は、ポータルのプロフィールページではカバーしきれない情報収集層の需要があります。この層は相談先を探し始める前の段階にいるため、丁寧な記事が「この事務所に相談しよう」という判断に直結しやすいのです。

ロングテールキーワード戦略との接続──ポータルが拾わない検索語を自社サイトで

キジラクの検索データによると、離婚分野だけでも月間348万回以上の検索が行われています(キジラク調べ・抽出日: 2026-07-13)。この需要の大部分はポータルが拾えないロングテールの検索語に分散しており、自社サイトの記事が入り込む余地が広く存在します。

離婚分野だけを見ても、検索需要のボリュームは非常に大きく、分野ごとに大量の検索語が存在します。離婚調停に関するキーワードは月間約51万回(出典: キジラク検索データ・抽出日: 2026-07-13)、養育費に関するキーワードは月間約44万回(出典: 同)の検索需要があります。「養育費 相場」という代表語だけでも月間33,100回(出典: 同)の検索があり、派生する長い検索語も含めれば膨大な需要が存在します。こうした需要のうち、ポータルのプロフィールページが対応できているのはごく一部です。「養育費 算定表 使い方」「離婚調停 申し立て 書き方」といった具体的な疑問に答える記事は、ポータルには書けない自社サイトの強みです。

「ロングテールキーワード」とは、複数の語を組み合わせた検索語のことで、1語あたりの検索数は少なくても、相談への近さが高い傾向があります。「弁護士 集客」のキーワード設計の記事で学んだとおり、月間10〜500回・競合が少ない・相談意欲が高いという3つの条件を満たす検索語を積み上げることが、小規模法律事務所の現実的な戦略です。ポータルが強い短い検索語を避け、長い検索語に集中することで、記事ごとに少しずつ問い合わせを増やすことができます。

分野×地域×お悩みの組み合わせで記事テーマを設計する

記事テーマを選ぶ際の実用的な枠組みが「分野×地域×お悩み」の3軸です。たとえば「離婚(分野)×地域名(地域)×養育費の相場が分からない(お悩み)」という組み合わせが、そのまま1本の記事テーマになります。地域名を入れることで大手事務所や全国メディアとの競合を避けつつ、地元で相談先を探している依頼者に届きやすくなります。テーマ選定の詳細な方法論は「キーワードの選び方」の記事で解説していますが、ポータルと重複しないという条件を常に意識しながら選ぶことが、この記事における追加の視点です。

キーワード 月間検索数 ポータルの対応状況 自社サイトの入り込む余地 記事テーマ案
離婚 弁護士 地域名 数百〜数千(地域による) ポータルが上位独占 ほぼなし ポータルに任せる(記事化しない)
養育費 相場 33,100回(出典: キジラク検索データ・抽出日: 2026-07-13) 大手メディア・ポータルが上位 地域名を加えると入り込める 「地域名 養育費 相場 弁護士が解説」
養育費 算定表 使い方 月間数十〜数百回 ポータルのプロフィールでは未対応 高い(情報収集層の具体的な疑問) 「養育費算定表の読み方と計算例」
遺産分割 調停 期間 どのくらい 月間数十〜数百回 ポータルのプロフィールでは未対応 高い(手続き詳細の情報収集層) 「遺産分割調停にかかる期間の目安と短縮のポイント」
離婚調停 とは 24,370回(出典: キジラク検索データ・抽出日: 2026-07-13) ポータルと大手メディアが上位 地域名や具体論点を加えると入り込める 「地域名 離婚調停の流れと弁護士に頼むタイミング」

ポータルのプラン・露出設定を自社サイトの成長に合わせて調整する

自社サイトからの問い合わせが増えても、ポータルのプランをそのままにしていると、費用だけがかさみ続けます。ポータルの設定は一度決めたら終わりではなく、自社サイトの成長に連動して見直すことが重要です。

自社サイトの相談件数に連動してポータルプランを下げるルール

シンプルな目安として、自社サイト経由の月間相談件数が1件増えるごとにポータルのプランを1段階下げることを検討してください。自社サイトからの相談が月0件の段階ではポータルをフル活用し、1〜2件になったら中位プランへ、3件以上になったら最低プランかフリーへ移行するという判断基準です。ポータルの費用構造については「ポータルサイトの費用と費用対効果」の記事で詳しく解説していますが、ここでは「自社サイトの成長を数値で確認しながら段階的に下げる」という行動ルールに集中します。

地域・分野の露出設定を絞り込んでコストを最適化する

多くのポータルは分野別・地域別に露出範囲を設定できます。全分野×全地域に掲載するのは費用が最大になる一方、実際に相談が来る分野と地域は限られています。「ポータルの向き不向きの判断基準」の記事で判定した結果をもとに、相談が来やすい分野・地域だけに絞り込むことで、同じ成果を低コストで得られます。不要な露出を外すだけで月額を数千〜1万円以上削減できるケースもあり、その資金を自社サイトの記事制作に回すことができます。

ポータルのプロフィールを自社サイトへの導線として活用する

ポータルのプロフィール欄には、自社サイトのURLを必ず記載してください。ポータル経由で事務所を見つけた依頼者が自社サイトの記事を読むことで、「この弁護士は詳しい」という信頼が深まり、問い合わせ前の離脱を防ぐことができます。プロフィール欄のURLは、トップページより「離婚相談」や「相続手続き」といった分野別ページに誘導する方が依頼者の行動に合っています。ポータルをコスト削減の対象としてだけ見るのではなく、自社サイトへの入口として機能させることが、併用期間中の費用対効果を上げる実践的な方法です。

自社サイト月間相談数 推奨ポータルプラン 月額目安 理由
0件(自社サイト立ち上げ直後) 上位プラン継続 3〜5万円程度 自社サイトの即効性がない期間はポータルで相談件数を維持する
1〜2件 中位プランへ移行 1〜3万円程度 自社サイトが一部を補い始めたため、ポータルへの依存度を下げ始める
3〜4件 最低プランへ移行 数千円〜1万円程度 自社サイトが主力になりつつあるため、ポータルは補完的な役割に絞る
5件以上 解約を検討、または最低プランで維持 0〜数千円 自社サイトで目標相談件数(月3〜5件)を達成。ポータル依存から脱却

【モデルケース解説】離婚と相続を扱う事務所の併用設計

ここからは具体的な事務所のケースを使って、併用設計の手順を順を追って確認します。抽象論ではなく、読者の事務所に置き換えながら読み進めてください。

事務所の設定と現在のチャネル状況

この事務所は弁護士2名体制で、人口約30万人の地方都市に拠点を置いています。取扱分野は離婚と相続が中心で、現在の新規相談は月6件程度(紹介55%・ポータル35%・自社サイト10%)です。ポータルには月5万円を支払い、自社サイトには記事が10本あるものの、検索経由の問い合わせはまだ月1件にとどまっています。「自社サイトを育てたいが、ポータルをすぐには辞められない」という状況です。

STEP1: 離婚はポータル・相続は自社サイトの棲み分けを設計する

「ポータルの向き不向きの判断基準」の記事で判定したとおり、離婚分野はポータルからの相談需要が高い分野です。「地域名 弁護士 離婚」のような今すぐ相談したい依頼者が多く、ポータルが集客に有効に機能しています。この事務所でも離婚の新規相談のうちポータル経由が最も多いため、離婚はポータル(ベーシックプラン)を継続する判断をします。

一方、相続は情報収集段階の検索語が豊富で、自社サイトの記事が入り込む余地があります。「遺産分割 調停 流れ」「相続放棄 期限」といった検索語はポータルのプロフィールページでは対応できず、丁寧に解説した記事があれば検索上位に入れる可能性があります。相続はポータルの露出を外し、自社サイトへの記事蓄積に集中する方針とします。

分野 ポータルの役割 自社サイトの役割 理由
離婚 主力(ベーシックプラン継続) 補完(記事は分野トップページ程度) 「地域名 弁護士 離婚」の検索でポータルが有効。今すぐ相談層が多い分野
相続 露出を外す(コスト削減) 主力(記事を月2〜3本ペースで蓄積) ロングテールキーワードで自社サイトが入り込める。情報収集層が多い分野

STEP2: 自社サイトの記事テーマ3つを決める

相続分野の記事テーマは、「分野×地域×お悩み」の3軸をもとに、ポータルが拾えていない具体的な検索語から選びます。以下の3本を次に書く記事として確定します。検索意図(検索者が何を知りたいか)に答える内容であることを確認しながら、記事の方向性を決めてください。

キーワード 月間検索数(目安) 検索意図 記事の方向性
遺産分割 調停 流れ 地域名 月間数十回(地域需要) 調停の手続きを具体的に知りたい・地元で相談できる弁護士を探している 調停の申立から終了までを順序立てて解説。地域の家庭裁判所情報を補足
相続放棄 期限 3ヶ月 月間数百回 3ヶ月の期限を過ぎそうで焦っている・例外があるか知りたい 3ヶ月ルールの解説+期限延長の申立方法+弁護士に相談するタイミングを明示
遺言書 検認 手続き 月間数百回 遺言書が見つかった後の手続きを知りたい・何をすればよいか分からない 検認の申立手順をSTEP形式で解説。弁護士が必要になる場面を具体的に示す

STEP3: ポータルの露出設定を最適化する

相続の露出をポータルから外すことで、月額費用を削減します。この事務所の場合、相続分野の露出費用が月1〜2万円と仮定すると、その分を自社サイトの記事制作(外注または時間投資)に回すことができます。ポータルのプランは離婚に特化したベーシックプランに変更し、離婚以外の地域露出や分野露出も整理します。

あわせて、ポータルのプロフィール欄に自社サイトの相続ページURLを追加します。離婚でポータルを見た依頼者が相続の相談も抱えている場合、自社サイトの記事を読んでそのまま問い合わせに至るケースが生まれます。ポータルと自社サイトを完全に切り離すのではなく、ポータルを自社サイトへの入口として機能させることが、この最適化の核心です。

併用設計で陥りやすい2つの誤り

設計の方向性が正しくても、実行段階で見落としがちな誤りがあります。小規模法律事務所が実際に陥りやすい2つのポイントを確認してください。

ポータルと自社サイトで同じテーマの記事を書いてしまう

ポータルのプロフィールに「離婚の基本知識」を書き、自社サイトにも「離婚とは何か」という記事を書くと、依頼者から見て「同じことしか書いていない」と映ります。これでは自社サイトが差別化の場として機能せず、記事を書く手間をかけても指名相談には結びつきにくくなります。自社サイトが狙うべきは、ポータルのプロフィールでは書けない深い情報収集層の検索語です。「ポータルのプロフィール≠自社サイトの記事」という意識を持ち、テーマが重複していないかを記事作成前に必ず確認してください。

併用設計を作ったまま見直さない

併用設計は一度決めたら終わりではありません。自社サイトが成長するにつれてポータルの役割が変わり、プランの変更や露出設定の見直しが必要になります。3ヶ月ごとに「自社サイト経由の相談件数はどう変わったか」を確認し、前述のプラン調整ルールに照らして設定を更新してください。定期計測の方法については「掲載効果の測り方」の記事で詳しく解説します。カレンダーに3ヶ月後のリマインダーを今すぐ設定することを推奨します。

✓ 実践チェックリスト

  • □ ポータルと自社サイトの得意・不得意を整理した
  • □ ポータルに任せる役割(今すぐ客の受け皿)と自社サイトに任せる役割(情報収集客の獲得)を決めた
  • □ 自社サイトで狙うべきロングテールキーワードを3つ以上リストアップした
  • □ ポータルの露出設定(分野・地域)を見直し、不要な範囲を外した
  • □ ポータルのプロフィールに自社サイトURLを記載した
  • □ 3ヶ月後に併用設計を見直すリマインダーを設定した

ポータルと自社サイトの併用設計ができました。次は「掲載効果の測り方」の記事で、ポータルの費用対効果を数字で継続的に計測し、「継続・縮小・撤退」の判断を定期的に行うための方法を学びます。

学んだ方法を、手間なく実践する。

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