料金ページの設計──回収額と費用の関係を示す
結論・要点
離婚(請求者側)の料金ページは、費用不安の解消を主目的とする被請求者側とは設計思想が異なります。請求者側のキーワード2,977件では、「費用がいくらか知りたい」という検索は3.8%にとどまり、「いくら受け取れるか知りたい」が28.9%を占めて最多です。検索者は費用より回収額を見ています。したがって料金ページは「いくらかかるか」だけでなく、「いくら取れて、そのうちいくらを費用として払うのか」という関係を示す設計にします。
目次
- 料金ページに必要なコンテンツ(What)
- なぜこの設計になるのか──データと総論で裏付ける(Why)
- サンプルサイトで見る実例(How it looks)
- 実践チェックリスト
離婚(請求者側)の料金ページは、費用不安の解消を主目的とする被請求者側とは設計思想が異なります。請求者側のキーワード2,977件では、「費用がいくらか知りたい」という検索は3.8%にとどまり、「いくら受け取れるか知りたい」が28.9%を占めて最多です。検索者は費用より回収額を見ています。したがって料金ページは「いくらかかるか」だけでなく、「いくら取れて、そのうちいくらを費用として払うのか」という関係を示す設計にします。
料金ページに必要なコンテンツ(What)
料金ページは、費用体系の3区分の説明・請求内容別の料金表・経済的利益と報酬金の算定例・費用に関するFAQ・問い合わせ導線(CTA)の5ブロックで構成します。骨格は被請求者側と同じですが、算定例が請求者側では中核になります。
費用体系の3区分──着手金・報酬金・実費
弁護士費用は3区分に分かれます。訪問者はこの区分を知らないまま料金表を見るため、表より先に定義を置きます。
- 着手金: 依頼時に支払う費用。結果にかかわらず発生し、手続きの種類・争点の数で金額が変わる
- 報酬金: 解決時に支払う費用。請求者側では「獲得できた経済的利益の○%」という算定方式が一般的で、取れた金額が大きいほど報酬金も大きくなる
- 実費: 弁護士費用とは別にかかる費用。申立印紙代、郵便切手代、戸籍等の取得費、交通費など
取り違えやすいのは報酬金です。「経済的利益の11%」と書かれていても、それが請求額なのか実際に受け取った額なのかが分からなければ、訪問者は数字を自分の状況に当てはめられません。報酬金の分母となる「経済的利益」の定義を必ず言葉で説明します。後述する報酬表示規程の要請でもあります。消費税の扱いも同様に明記します。
請求内容別の料金表を作る
料金表は手続き別(協議・調停・訴訟)と争点別(財産分与・養育費・慰謝料・親権)の二軸で行を立てます。訪問者は「調停になったらいくらか」と「養育費を請求したらいくらか」の両方を知りたがるためです。列は「着手金の目安」「報酬金の算定方法」「主な実費」「備考」を基本形とします。固有のポイントは報酬金の列で、ここには金額ではなく算定方法(何の何%か)を書きます。経済的利益に連動する費目は「報酬金33万円〜」のような固定表示では実態を表せないためです。
| 請求内容 | 着手金の目安 | 報酬金の算定方法 | その行を見る訪問者が同時に調べているキーワード(月間検索数・検索する人が求めていること) |
|---|---|---|---|
| 離婚協議(交渉) | ○○万円〜 | 離婚成立で定額+獲得した経済的利益の○% | 「離婚 手続き」3,600/進め方・手続きを知りたい |
| 離婚調停 | ○○万円〜 | 離婚成立で定額+獲得した経済的利益の○% | 「離婚 調停 弁護士 費用」3,200/費用がいくらか知りたい |
| 離婚訴訟 | ○○万円〜 | 離婚成立で定額+獲得した経済的利益の○% | 「離婚 裁判 の 費用」2,900/費用がいくらか知りたい |
| 財産分与の請求 | ○○万円〜 | 実際に取得した財産の評価額の○% | 「財産 分 与 と は」4,540/制度の意味を知りたい |
| 養育費の請求 | ○○万円〜 | 取り決めた月額の○年分の○% | 「養育 費 相場」121,500/いくら受け取れるか知りたい |
| 慰謝料の請求 | ○○万円〜 | 実際に受け取った慰謝料額の○% | 「不倫 慰謝 料」36,200/いくら受け取れるか知りたい |
| 親権の主張 | 離婚事件に含む/別途○○万円 | 定額 | 「親権 と は」2,510/制度の意味を知りたい |
金額欄は自事務所の基準に置き換えます。表の右列は料金ページに載せる項目ではなく、その行を見る訪問者が直前に何を検索してきたかを示したものです。養育費の行を見る訪問者は、その前に相場を調べています。
経済的利益と報酬金の関係を算定例で示す
請求者側の料金ページで最も効く要素が、具体的な数字を入れた算定例です。「取得した財産の○%」という表記は、訪問者が自分で金額に変換しなければ理解できません。この変換を事務所側が済ませて見せます。入れる要素は、事案の内容、獲得できた経済的利益の額、着手金、報酬金、実費、費用の合計、そして手元に残る額です。最後の項目が特に重要で、「いくら払うか」ではなく「いくら取れて、いくら残るか」で締めくくることで、請求者側に最も多い「いくら受け取れるか知りたい」という関心に接続します。
例えば養育費の請求なら、「月額6万円で合意できた場合、2年分144万円を経済的利益として報酬金を算定します」という形で、月額から分母までを一続きに説明します。訪問者は「養育費 相場」(月間121,500)や「養育費 算定表」(66,200)を調べてから来ているため、自分の想定月額を当てはめて計算できます。
ただし算定例はあくまで費用計算の説明であって、獲得額の見込みを示すものではありません。「このくらい取れます」と読める書き方は成果保証にあたります。「経済的利益が○○万円だった場合の費用計算」という条件付きの提示にとどめてください。解決事例ページで獲得額を見せるときと同じ配慮が必要です。
FAQと免責事項
FAQは被請求者側と質問の並びが変わります。被請求者側では「払えない場合はどうなるか」が中心ですが、請求者側では回収できなかった場合の扱いが中心です。
- 回収できなかった場合、報酬金はどうなりますか: 経済的利益が発生しなければ報酬金も発生しない構造なら、その旨を明記する。請求者側が最も知りたい条件
- 着手金は分割払いできますか: 別居直後で手元資金が乏しい訪問者向けの回答を用意する
- 法テラスは利用できますか: 立替制度への対応可否を明示する
- 初回相談は無料ですか: 無料なら時間と条件、有料なら金額を明示する
- 相手に弁護士費用を負担させられますか: 原則各自負担である旨を期待値調整として説明する
免責事項は、「金額は事案により異なる」「消費税の扱い」「実費は別途」「最終的な費用は委任契約書で確定する」の4点を料金表の直下に置いてください。
なぜこの設計になるのか──データと総論で裏付ける(Why)
費用を知りたい人は3.8%、受け取れる額を知りたい人は28.9%──請求者は費用より回収額を見ている
離婚・請求者側のキーワード2,977件(うち有効2,933件)で最も多いのは「いくら受け取れるか知りたい」という検索で、859KW・28.9%を占めます。一方、「費用がいくらか知りたい」という検索は114KW・3.8%にとどまります。その関心がはっきり表れているキーワードだけに絞って数えても、「いくら受け取れるか知りたい」914件(30.7%)に対し「費用がいくらか知りたい」は115件(3.9%)で、差は7倍以上あります。(キジラク調べ・2026年8月時点)
被請求者側(1,255KW)では「費用がいくらか知りたい」が最多でした。請求者側とは完全な鏡像です。被請求者側の料金ページの主役が「費用不安の解消」だとすれば、請求者側の主役は「回収額と費用の関係の提示」になります。
「いくら受け取れるか知りたい」層の上位キーワードを見るとこの構造がはっきりします。「養育費 相場」121,500、「養育費 算定表」66,200、「不倫 慰謝料」36,200──いずれも受け取る側の金額を調べる検索です。請求者側にとって離婚は「支出が発生するできごと」ではなく「請求して回収するできごと」なのです。知りたいのは費用の絶対額よりも回収額に対して費用が占める割合です。
| 比較項目 | 請求者側(本記事の対象) | 被請求者側 |
|---|---|---|
| 最も多い検索ニーズ | 「いくら受け取れるか知りたい」28.9% | 「費用がいくらか知りたい」が最多 |
| 「費用がいくらか知りたい」の比率 | 3.8%(114KW) | 最も多いニーズ |
| 料金ページの主役 | 経済的利益と報酬金の算定例 | 手続き別の費用目安とFAQ |
| 報酬金の書き方 | 算定方法(何の何%か)を必ず記載 | 定額の目安表示でも成立する |
| 訴求の軸 | 「取れる額に対して費用はこの割合」 | 「払える範囲かどうかが分かる」 |
| FAQの中心 | 回収できなかった場合の報酬金の扱い | 分割払い・費用が払えない場合 |
被請求者側の設計は料金ページの設計(被請求者側)で解説しています。両方を扱う事務所は、片方の設計を流用しないよう注意してください。
それでも費用の明示は必須──費用を調べる人の実需は確実に存在する
比率が3.8%でも、費用の明示を省いてよいわけではありません。「費用がいくらか知りたい」層の上位キーワードには、「離婚 弁護士費用 相場」3,200、「離婚 調停 弁護士 費用」3,200、「離婚 裁判 の 費用」2,900といった、費用を知りたい意図がはっきりした十分な検索量の語が並びます。「協議 離婚 弁護士 費用」960、「離婚 弁護士 費用 いくら かかった」520、「離婚 弁護士 費用 シュミレーション」390も同様です。
比率が低いのは分母である請求者側の市場が大きい(2,977KW)ためであって、費用を調べる人が少ないという意味ではありません。「いくらかかった」「シュミレーション」という語からは、訪問者が総額を自分で試算しようとしていることが読み取れます。費用の絶対額を示したうえで回収額と並べる──この二段構えが完成形です。
検討段階が7割超──料金ページは比較のテーブルに残るための条件(総論04)
請求者側の検索を相談への近さで分けると、「相談を考え始めている」段階が72%、「今すぐ相談先を探している」段階が18%、「相談はまだ先」の段階が10%です。検索の目的で見ても情報収集(知りたい)が83%、比較検討(選びたい)が14%、行動直前(申し込み・相談したい)が3%となります。訪問者の大多数が、情報収集をしながら複数の事務所を比較している段階にいます。
総論04(集客できるサイトの条件・CTA導線)で確認したとおり、問い合わせに至るまでには「自分向けのサービスか」「費用は納得できるか」「信頼できる弁護士か」という段階的な確認が挟まります。請求者側では、この2段目が「払えるか」ではなく「割に合うか」という形をとります。回収見込みに対して費用が過大に見えれば、訪問者は依頼そのものを見送ります。
また、「どこに頼むか選びたい」という検索が「不倫 に 強い 弁護士」320、「養育 費 に 強い 弁護士」140、「親権 強い 弁護士」140と争点別で検索されている点も設計に反映します。争点別に料金の行を立てておけば、料金表が取扱業務の証明としても機能します。
報酬表示規程──算定方法まで明示する(総論03)
総論03(弁護士広告のルール)の報酬表示の考え方を当てはめます。弁護士報酬は事務所ごとに自由に定められますが、報酬の算定方法を説明する責任があり、ホームページ上の表示にも事案に応じた適切さが求められます。請求者側で問題になりやすいのは経済的利益ベースの報酬金です。次の書き方は避けます。
- 「経済的利益の○%」だけで定義がない: 何を分母にするのかが分からず誤導につながる
- 算定例の獲得額が標準的な結果であるかのように書かれている: 成果保証・誇大表示にあたるおそれ
- 「着手金0円」を強調し、報酬金の割合の高さを目立たなくする: 総額での誤認を招く
- 実費・消費税を表示から省く: 支払総額の誤認を招く
- 「最安値」等の根拠のない比較: 不当な比較広告にあたる
逆に、「経済的利益とは、依頼者が実際に取得した金額(財産分与額・慰謝料額・養育費の○年分)を指します」という定義文を添え、「○○万円〜(税別・実費別途・事案により異なります)」という幅表示にすれば問題は生じません。算定方法まで書ききることが、規程への配慮であると同時に訪問者にとっての最大の情報価値になるのがこの分野の特徴です。
サンプルサイトで見る実例(How it looks)
以上の設計が実際のページでどう表現されるかを、サンプルサイトの料金ページ(sample-rikon.kijiraku.com/price/)で上から順に確認します。
リード文と相談料──最初に「相談のハードル」を下げる
ページは「料金のご案内」の見出しと「離婚サンプル法律事務所の弁護士費用についてご案内いたします」というリード文で始まり、続けて相談料が示されます。「初回相談60分無料。以降30分ごとに5,500円(税込)」という表記です。
機能: 料金表より前に相談料を置き、「まず相談する」段階の費用を先に確定させています。
なぜこの順序か: 検索の83%が情報収集の段階であり、「相談を考え始めている」段階が72%を占めるという分布は、まだ依頼を決めていない訪問者が大多数であることを示します。この層の最初の関門は依頼料ではなく相談料です。60分無料という条件が冒頭にあれば、料金表の金額が高く見えても「まず相談してみる」選択肢が残ります。
自事務所への適用: 相談料は時間・回数・条件を数字で書きます。「初回無料」だけでは何分無料かが分からず、問い合わせ前に確認させる手間が生じます。
料金表──着手金と報酬金を並べ、報酬金は算定方法で書く
料金表は、離婚協議(着手金22万円〜/報酬金33万円〜)、離婚調停(33万円〜/33万円〜)、離婚訴訟(44万円〜/44万円〜)という手続き別の行と、財産分与(22万円〜/経済的利益の11%〜)、養育費請求(22万円〜/得られた養育費2年分の11%〜)、不貞慰謝料請求(22万円〜/経済的利益の11%〜)という争点別の行で構成されます。DV保護命令申立て(11万円〜)、親権(離婚と一括なら追加費用なし)の行も並びます。
機能: 二軸が1つの表に同居し、「調停になりそうだ」という訪問者も「養育費を請求したい」という訪問者も自分の行を見つけられます。
なぜ報酬金の書き方が分かれているか: 手続きの行は定額表示(「33万円〜」)ですが、争点の行は算定方法での表示(「得られた養育費2年分の11%〜」)です。回収額が事案ごとに変わる項目は定額では表せません。特に養育費の行の「2年分」という分母の明示が、What層で述べた「経済的利益の定義」を表の中で果たしています。
自事務所への適用: 金額は自事務所の基準に置き換え、報酬金の割合表示には必ず分母を添えます。なお、この表には不貞慰謝料の「被請求側対応(減額した経済的利益の11%〜)」の行もあります。両方の立場を扱う事務所は、このように立場ごとに行を分けると誤解が生じません。
モデルケース──請求者側の料金ページで最も効くブロック
料金表の下に、費用総額のモデルケースが2件あります。「離婚調停(養育費・財産分与含む)」で合計約132万円、「DV保護命令申立て」で合計約11万5,000円という提示です。
機能: 「着手金+報酬金+実費」を足し合わせる作業を事務所側が代わりに済ませ、総額の規模感を一目で分かるようにしています。
なぜ請求者側で特に重要か: 「離婚 弁護士 費用 いくら かかった」520、「離婚 弁護士 費用 シュミレーション」390という、費用がいくらか知りたい層の語が示すとおり、訪問者は総額の試算を求めています。さらに請求者側では、ここに獲得した経済的利益の額と、費用を差し引いて手元に残る額を併記できると、28.9%を占める「いくら受け取れるか知りたい」という関心にまで接続します。「132万円かかる」だけでは支出の情報にとどまりますが、「経済的利益○○万円のうち費用が132万円」と並べれば判断材料になります。
自事務所への適用: モデルケースは扱いの多い争点から2〜3件作ります。ただし獲得額を「取れる見込み」として提示しないよう、「経済的利益が○○万円だった場合の費用計算です。実際の結果を保証するものではありません」という但し書きを必ず添えます。
CTAと、このサンプルに足りない要素
ページは「まずはお気軽にご相談ください」「初回相談60分無料」というCTAで締めくくられます。冒頭の相談料表示と呼応し、読み終えた訪問者を相談へ戻す構成です。
一方で、このサンプルページには費用に関するFAQセクションがありません。「回収できなかった場合の報酬金」「着手金の分割払い」「法テラス」といった質問は、料金表とモデルケースだけでは答えられません。自事務所の料金ページでは、モデルケースとCTAの間にFAQを追加してください。サンプルサイトは参考であって、そのまま写す対象ではありません。
あわせて、料金ページはコラム記事の受け皿としても機能します。「離婚 弁護士費用 相場」3,200や「離婚 調停 弁護士 費用」3,200といった、費用がいくらか知りたい層のキーワードで記事を作り、着地点を料金ページに置けば、費用を調べる段階の訪問者を継続的に集められます。キジラクの集客シミュレーションと記事作成機能を使えば、キーワード抽出から記事構成までを一貫して設計できます。
実践チェックリスト
- □ 着手金・報酬金・実費の3区分を料金表より前に説明しているか
- □ 報酬金の割合表示に分母(何の何%か)が明示されているか
- □ 「経済的利益」の定義文がページ内にあるか
- □ 手続き別(協議・調停・訴訟)と争点別(財産分与・養育費・慰謝料・親権)の両方の行があるか
- □ 費用総額が分かるモデルケースを2件以上載せているか
- □ モデルケースに「結果を保証しない」旨の但し書きがあるか
- □ 回収できなかった場合の報酬金・分割払い・法テラスのFAQがあるか
- □ 消費税の扱い・実費別途・事案により異なる旨を明記しているか
- □ 誇大表示・不当比較(「最安値」「必ず獲得できます」等)が含まれていないか
請求者側の料金ページは、費用を隠さないことより費用を回収額と並べて示すことで価値が生まれます。What(3区分・二軸の料金表・算定例・FAQ)→Why(「いくら受け取れるか知りたい」28.9%と「費用がいくらか知りたい」3.8%の非対称・相談を考え始めている段階が72%・報酬表示規程)→How it looks の順で設計すれば、割に合うかを判断したい訪問者に必要な情報が揃います。次の記事では、費用に納得した訪問者が最後に確認する「この弁護士に任せられるか」に答えるページ(弁護士・事務所紹介の作り方)を扱います。
監修: 花井 直哉(キジラク運営)