GA4の基本──弁護士サイトの集客改善に使う指標と見方
結論・要点
GA4は「入れてはいるが見ていない」ツールの代表格です。しかし弁護士サイトで見るべき指標は5つだけ。ユーザー数・流入経路・ランディングページ・エンゲージメント率・問い合わせ到達数を月1回チェックするだけで、「記事が読まれているか」「どこから来ているか」「相談につながっているか」が分かります。本記事ではGA4の基本指標を弁護士サイトの集客改善の文脈で解説し、月1回5分の定期チェック手順を紹介します。
目次
- 「入れてはいるが見ていない」──弁護士サイトでGA4が放置される理由
- 5つの基本指標の見方──弁護士サイトではここを見る
- 月1回5分のGA4定期チェック手順
- 【モデルケース解説】相続に注力する事務所がGA4で現状を把握する
- GA4を「見るだけ」で終わらせないために
「入れてはいるが見ていない」──弁護士サイトでGA4が放置される理由
GA4の画面が複雑に見える本当の原因
GA4(Googleアナリティクス4)を開いたものの、指標やグラフが多すぎて何を見ればいいか分からず、そのまま閉じてしまった──この経験がある弁護士は多いはずです。GA4が「複雑に見える」のは、ツール自体が難しいからではありません。見るべき指標を決めていないまま画面を開いているからです。
GA4はECサイト・メディアサイト・SaaSなどあらゆる業種に対応するため、何百もの指標とレポートを備えています。しかし弁護士サイトの集客改善に必要な情報は、そのごく一部にすぎません。「全部を理解しなければ使えない」という思い込みが、GA4を放置させる最大の原因です。まずは自分のサイトに必要な指標だけに絞って見ることが、GA4活用の第一歩です。
弁護士サイトに必要な指標は5つだけ
弁護士サイトの集客改善に使うGA4の指標は、次の5つに絞れます。「全体像と数字」の記事で学んだファネルとKPIの概念を、GA4という道具で実践するのがこの記事の目的です。
| 指標名 | 何が分かるか | 見る場所 | チェック頻度 |
|---|---|---|---|
| ユーザー数 | サイトに何人来ているか | レポート → レポートのスナップショット | 月1回 |
| 流入経路(チャネル) | どこから来ているか(検索・直接・SNS・広告) | レポート → 集客 → トラフィック獲得 | 月1回 |
| ランディングページ | どの記事が入口になっているか | レポート → エンゲージメント → ランディングページ | 月1回 |
| エンゲージメント率 | 訪問者がちゃんと読んでいるか | レポート → エンゲージメント → ランディングページ | 月1回 |
| 問い合わせ到達 | 相談につながっているか | レポート → エンゲージメント → コンバージョン | 月1回 |
この5つを月1回チェックするだけで、「記事が読まれているか」「どこから人が来ているか」「相談につながっているか」を把握できます。それ以外の指標は、まず無視して構いません。
5つの基本指標の見方──弁護士サイトではここを見る
ユーザー数と新規ユーザー数──「何人来ているか」を把握する
ユーザー数は、一定期間にサイトを訪れた人数です。GA4の「レポートのスナップショット」を開くと、画面上部に月間のユーザー数が表示されます。同時に「新規ユーザー数」も確認してください。新規ユーザーとは、過去にサイトを訪れたことがない初めての訪問者のことです。
弁護士サイトの場合、月間ユーザー数が数百程度であれば、記事の本数が足りていない可能性が高いです。検索経由で人を集めるには、見込み客が検索するキーワードに対応した記事が必要です。「記事の書き方」の記事で学んだとおり、記事を蓄積することで検索からの流入は段階的に増えていきます。
新規ユーザーの割合が80%を超えている場合、サイトには常に新しい人が来ているが、リピーターが少ない状態です。弁護士サイトでは一度きりの訪問でそのまま問い合わせに至るケースもあるため、新規比率が高いこと自体は問題ではありません。重要なのは、新規ユーザー数が前月と比べて増えているかどうかです。
流入経路(チャネル)──検索・直接・SNS・広告の内訳を見る
流入経路は、ユーザーがどこからサイトに来たかを示す指標です。GA4では「トラフィック獲得」レポートで確認できます。弁護士サイトで注目すべきチャネルは次の4つです。
| チャネル名 | 意味 | 健全な状態 | 問題がある状態 |
|---|---|---|---|
| Organic Search | GoogleやYahoo!の検索結果からの流入 | 全体の50%以上を占め、月ごとに増加傾向 | 全体の30%未満で横ばい |
| Direct | URLの直接入力やブックマークからの流入 | 既存の依頼者や紹介元からの安定した流入 | Direct比率が70%以上で、検索流入がほぼない |
| Referral | 他のサイト(ポータルサイト等)からのリンク経由 | ポータルや弁護士会サイトからの流入がある | ポータル経由だけに依存し、自然検索がない |
| Paid Search | リスティング広告からの流入 | 広告出稿時に一定の流入がある | 広告を止めると流入がゼロになる |
弁護士サイトの集客改善で最も重視すべきは、Organic Search(検索流入)の割合です。「キーワード選定」の記事で学んだとおり、見込み客が検索するキーワードに対して記事を用意することで検索流入を増やせます。Organic Searchの割合が低く、DirectやReferralが大半を占めている場合は、検索からの流入が取れていないことを示しています。
ランディングページ──相談を生んでいる記事と読まれていない記事
ランディングページとは、ユーザーがサイトに最初に訪れたページのことです。GA4の「ランディングページ」レポートを開くと、どの記事が入口になっているかを一覧で確認できます。
このレポートで確認すべきことは2つあります。1つは「集客に貢献している記事」の特定です。セッション数が多い上位の記事は、検索エンジンで上位に表示されている可能性が高く、事務所の集客の柱になっています。もう1つは「まったく読まれていない記事」の発見です。公開してから数ヶ月経ってもセッション数がゼロに近い記事は、キーワードの選び方や記事構成に問題がある可能性があります。「リライトと更新」の記事で学ぶ改善手法の対象候補になります。
エンゲージメント率──「ちゃんと読まれているか」を10秒ルールで判断する
エンゲージメント率は、GA4独自の指標です。訪問者が次のいずれかの条件を満たした場合に「エンゲージメントがあった」と判定されます。10秒以上ページに滞在した、ページをスクロールした、リンクやボタンをクリックした──この3つのうちいずれか1つでも該当すればエンゲージメントとして計測されます。
弁護士サイトの記事は法的手続きや制度の解説が中心で、一般的なコンテンツより文章量が多くなります。そのため、きちんと読まれている記事であればエンゲージメント率は60%以上になるのが目安です。エンゲージメント率が40%未満の記事は、訪問者がページを開いた直後に離脱している可能性が高く、記事の導入文が読者の疑問に合っていないか、タイトルと内容にズレがある可能性があります。
問い合わせ到達──相談コンバージョンの入口を確認する
問い合わせ到達とは、サイト訪問者が問い合わせフォームの送信や電話ボタンのクリックに至ったかどうかを示す指標です。GA4では、コンバージョン(成果として計測する行動)として設定したイベントの発生回数を「コンバージョン」レポートで確認できます。
問い合わせ到達を正確に計測するには、GA4側でイベントの設定が必要です。設定方法の詳細は「相談コンバージョンの計測設定」の記事で学びます。本記事では、問い合わせ到達という指標の意味と、GA4のどこで確認するかを理解しておいてください。
| 指標 | 目安 | 数値が悪い場合のアクション | 参照する記事テーマ |
|---|---|---|---|
| ユーザー数 | 月間500以上を目標(開設初期は100〜300でも正常) | 記事の本数を増やす | 記事の書き方 |
| 流入経路(Organic Search比率) | 全体の50%以上 | キーワード選定と記事構成を見直す | キーワード選定 |
| ランディングページ | 上位10件に看板分野の記事が含まれている | セッション数ゼロの記事をリライト対象にする | リライトと更新 |
| エンゲージメント率 | 60%以上 | 導入文・タイトルと内容のズレを修正する | 記事設計 |
| 問い合わせ到達 | 月1件以上(開設初期の目標) | 問い合わせフォームの導線を改善する | 相談コンバージョンの計測設定 |
月1回5分のGA4定期チェック手順
STEP1: 月間ユーザー数と流入経路の推移を確認する
まず、GA4の「レポート」→「集客」→「概要」を開きます。期間を「過去28日間」に設定し、月間ユーザー数を確認してください。次に、前月の同じ期間と比較します。GA4の期間設定で「比較」をオンにすると、前月比が自動で表示されます。
ユーザー数が前月より増えていれば、施策が効いている可能性があります。横ばいまたは減少している場合は、新しい記事の公開や既存記事のリライトが必要かもしれません。同時に、流入経路の割合を確認します。Organic Searchの比率が前月より上がっていれば、SEO施策の効果が出ています。
STEP2: ランディングページ上位10件を確認する
次に「エンゲージメント」→「ランディングページ」を開きます。セッション数の多い順に上位10件を確認してください。確認すべきポイントは2つです。1つは、先月新しく公開した記事がランキングに入っているかどうか。入っていれば、その記事が検索エンジンに評価され始めていることを意味します。もう1つは、上位10件が看板分野の記事で占められているかどうか。看板分野と関係のないページばかりが上位に来ている場合は、看板分野の記事の強化が必要です。
STEP3: エンゲージメント率が低い記事を特定する
同じ「ランディングページ」レポートで、エンゲージメント率の列を確認します。エンゲージメント率が40%未満の記事をピックアップし、リライト候補リストに記入してください。導入文の見直し、タイトルと内容の一致確認、見出し構成の再検討が改善の第一歩です。
この3ステップは5分あれば完了します。月初の固定日(たとえば毎月第1月曜日)に実施するルーティンにしておくと、定期的にサイトの健康状態を把握できます。
| STEP | 確認項目 | 見る場所 | OK基準 | 基準を満たさない場合のアクション |
|---|---|---|---|---|
| STEP1 | 月間ユーザー数と前月比 | 集客 → 概要 | 前月比で横ばい以上 | 記事の追加・既存記事のリライト |
| STEP1 | Organic Search比率 | 集客 → トラフィック獲得 | 50%以上、または前月より上昇 | キーワード選定の見直し |
| STEP2 | ランディングページ上位10件 | エンゲージメント → ランディングページ | 看板分野の記事が含まれている | 看板分野の記事を追加・強化 |
| STEP3 | エンゲージメント率が低い記事 | エンゲージメント → ランディングページ | 40%以上 | 導入文・タイトルの見直しでリライト |
【モデルケース解説】相続に注力する事務所がGA4で現状を把握する
事務所の設定と現在のGA4データ
ある地方都市(人口25万)で相続案件に注力する事務所を例に、GA4の見方を実践します。弁護士1名、事務員1名の体制で、自社サイトには相続に関する記事を8本公開しています。月間ユーザー数は350、問い合わせは月1件です(モデルケース・キジラク調べ・2026-07-14時点)。
| 指標 | 値 | 判断 | アクション |
|---|---|---|---|
| 月間ユーザー数 | 350 | 記事8本としては妥当だが、相談件数を増やすには不十分 | 記事を追加して流入を増やす |
| Organic Search比率 | 45%(約160ユーザー) | 検索流入は増えつつあるが全体の半分以下 | 記事を増やしてOrganic比率を高める |
| Direct比率 | 40%(約140ユーザー) | 紹介やブックマーク経由の既存顧客が中心 | 現状維持(検索流入の増加で相対比率は下がる) |
| Referral比率 | 15%(約50ユーザー) | 弁護士会やポータルからの流入 | 現状維持 |
| 問い合わせ | 月1件 | ユーザー350に対して問い合わせ1件は改善の余地あり | 問い合わせ導線とコンバージョン計測を整備 |
STEP1: ユーザー数と流入経路を読む──検索流入の伸びを確認
この事務所のGA4を開くと、月間350ユーザーのうちOrganic Searchが45%(約160ユーザー)を占めています。半年前はOrganic Search比率が30%程度だったため、記事を公開するにつれて検索流入が着実に伸びていることが分かります。
ただし、Organic Searchがまだ全体の半分以下にとどまっている点は改善の余地があります。記事8本の現状では、検索エンジンで上位に表示されるキーワードの数に限りがあります。相続分野のキーワードに対応した記事をさらに追加すれば、Organic比率は50%を超える見込みがあります。
STEP2: ランディングページから集客記事の効果を確認
ランディングページレポートを開くと、最もセッション数が多い記事は「遺産分割 調停 流れ」をテーマにした記事で月80セッションを獲得しています。この記事がこの事務所の集客の柱です。一方、「相続放棄 期限」をテーマにした記事は月15セッションにとどまっています。検索需要のあるキーワードを狙っている記事ではあるものの、タイトルの改善や内容の充実で流入を伸ばせる余地があります。
| ページテーマ | セッション数 | エンゲージメント率 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 遺産分割 調停 流れ | 80 | 72% | 集客の柱。内容を維持・更新する |
| 相続 手続き 必要書類 | 45 | 65% | 安定して読まれている。問い合わせ導線を確認 |
| 遺留分 請求 方法 | 35 | 58% | エンゲージメント率は合格。流入をさらに伸ばしたい |
| 相続放棄 期限 | 15 | 61% | 読まれてはいるがセッション数が少ない。タイトル改善の余地あり |
| 相続税 弁護士 | 12 | 28% | エンゲージメント率が低い。リライト候補 |
STEP3: エンゲージメント率の低い記事を特定しリライト候補に
ランディングページの一覧を見ると、「相続税 弁護士」をテーマにした記事のエンゲージメント率が28%と極端に低いことが分かります。この記事を訪れたユーザーの7割以上が、ほとんど読まずに離脱しています。考えられる原因は、「相続税 弁護士」と検索するユーザーが知りたいこと(相続税の相談ができる弁護士を探したい)と、記事の内容(相続税の一般的な解説)がずれている可能性です。導入文を読者の疑問に合わせて書き直し、相談につながる構成に改善することがリライトの方向性になります。
GA4の数字を確認する作業に加えて、キジラクのサイト診断を使えばお問い合わせ数や流入経路を自動で計測・可視化できます。GA4の画面を毎回開かなくても、サイトの現状を把握できる仕組みとして活用できます。
GA4を「見るだけ」で終わらせないために
数字を記録に残す──先月と比較できる状態をつくる
GA4は「見るだけ」では集客改善につながりません。見た数字を記録に残して初めて、推移が見えるようになります。スプレッドシートに月次でユーザー数・Organic Search比率・エンゲージメント率・問い合わせ件数を記入しておけば、3ヶ月分のデータが溜まったころに伸びている施策と停滞している施策が一目で分かるようになります。
次のアクションを1つ決める──「改善サイクル」の記事で学ぶ判断の仕方
数字を把握したら、次にやるべきことを1つだけ決めてください。「記事を1本追加する」「エンゲージメント率が低い記事をリライトする」など、小さなアクションを1つずつ積み重ねることが重要です。アクションの優先順位のつけ方は「改善サイクル」の記事で詳しく学びます。
本記事ではGA4の基本指標の見方を学びました。次は「相談コンバージョンの計測設定」の記事で、お問い合わせフォーム送信や電話クリックといった弁護士の成果指標をGA4で正確に計測する方法を学びます。「来ている人の数」は本記事で把握できるようになりましたが、「そのうち何人が相談に至ったか」を測れなければ施策の効果は判断できません。
✓ 実践チェックリスト
- □ GA4で見るべき5指標(ユーザー数・流入経路・ランディングページ・エンゲージメント率・問い合わせ到達)を理解した
- □ 各指標の弁護士サイトでの目安を把握した
- □ 月1回5分のGA4チェック手順(3STEP)を確認した
- □ エンゲージメント率が低い記事をリライト候補として特定する方法を理解した
- □ GA4の数字を月次で記録し、推移を追う仕組みを準備した