解決事例ページの作り方──「起きなかったこと」を成果として示す
結論・要点
交通事故の事例には「保険会社の提示額がいくらになったか」、離婚の事例には「いくら獲得したか」という数字がありました。生前対策の事例にはそれがありません。価値は「遺言を作ったから争いにならなかった」という起きなかったことの側にあり、それは証明できません。「遺言があれば必ず揉めない」と書けば成果保証です。示せるのは実行した事実と、その後に確認できたことだけ——この制約の中で事例を作る方法を3層で解説します。
目次
- 解決事例ページに必要なコンテンツ(What)
- なぜ解決事例ページが必要か(Why)
- サンプルサイトで見る実例(How it looks)
- 実践チェックリスト
交通事故の事例には「保険会社の提示額がいくらになったか」、離婚の事例には「いくら獲得したか」という数字がありました。生前対策の事例にはそれがありません。価値は「遺言を作ったから争いにならなかった」という起きなかったことの側にあり、それは証明できません。「遺言があれば必ず揉めない」と書けば成果保証です。示せるのは実行した事実と、その後に確認できたことだけ——この制約の中で事例を作る方法を3層で解説します。
解決事例ページに必要なコンテンツ(What)
事例ページが2層構造である点は他分野と同じです。一覧ページ(/cases/)が索引、個別事例ページが実証。生前対策で入れ替わるのは並べる軸・結果段に置くもの・時間軸の3つで、とくに時間軸が決定的です。依頼した時点と成果が確認できる時点が数年から十数年離れるからです。
事例一覧ページ──「争点」ではなく「対策手段」で並べる
紛争分野の一覧は争点(遺産分割・遺留分・相続放棄など)で分散させますが、生前対策の訪問者はまだ争点を持っていません。持っているのは手段への迷いで、遺言・生前贈与・家族信託・事業承継・遺留分対策のどれを選べばよいかを調べています。並べる軸はこの対策手段です。件数は3〜5件で足り、件数より手段が散っていることが重要になります。
カードの要素は4つ。①タイトル、②属性タグ、③結果の要約、④個別ページへのリンク。最大の差が出るのは③です。紛争分野は「約2,000万円を取得」と書けましたが、生前対策には置ける数字がありません。代わりに「公正証書遺言を作成し、遺言執行者として手続きを完了した」のように実行した内容——金額ではなく状態を置きます。②に職業ではなく家族構成を入れるのも固有で、設計を左右するのが財産額より家族関係だからです。
個別事例ページの7段構成──「結果」を二つの時点に分ける
個別事例は次の7段で統一します。
- 相談の背景と希望: 何を心配して相談に来たか、財産を誰にどう渡したいと考えていたか
- 検討した選択肢と選んだ理由: 遺言・生前贈与・信託のどれを比べ、なぜその手段にしたか
- 弁護士の対応: 「提案しました」ではなく「推定相続人を確定して遺留分の額を試算し、代償金の原資に生命保険を組み合わせた」という具体性を書く
- 実行した内容: 作成・締結した書面と、就任した立場(遺言執行者など)
- その後に確認できたこと: 相続開始後の執行など。確認できていない事例ではこの段を置かない
- 前提条件: この設計を決めた4つの変数
- 弁護士コメント: 事例から一般化できる学び
結果を二つの時点に分けるのが生前対策固有の設計です。紛争分野の事例は解決の時点が一つですが、生前対策には実行した時点と相続が開始した時点があり、後者は何年も先にしか訪れません。分けずに書くと、実行しただけの事例が「争いを防いだ事例」に見えます。相続がまだ開始していない事例は実行した内容までで止める。これだけで多くの誇張が消えます。
前提条件の4変数は、①家族関係の構成(推定相続人が誰か、遺留分を持つ人がいるか)、②財産の種類と分散(不動産の比率、自社株の有無)、③本人の判断能力と健康状態、④家族への説明と合意の状況。訪問者はこれを見て「この事例は子2人で不動産が中心。自分は前の婚姻の子がいるから同じにはならない」と判断できます。
示せる成果の4類型と、反実仮想を成果保証にしない3原則
生前対策で書ける成果は4種類あり、下にいくほど危険です。
- 実行できたこと: 公正証書遺言を作成した、贈与契約書と送金の記録を残した。事実そのもので最も安全
- 計画どおりに進んだこと: 事業承継が予定した期間で完了した、遺言執行が滞りなく終わった
- 継続できたこと: 信託契約に基づき、判断能力が低下した後も財産の管理を続けられた
- 争いにならなかったこと: これが反実仮想。書き方に最も制約がかかる
4つめを扱う原則は3つ。①事実(起きなかったことではなく、起きたことを書く)、②限界(その手段でできないことを同じページに書く)、③個別性(結果を見出しの主語にしない)。あわせて免責の3点セット(本人の了承/事案により結果は異なる参考例/特定を避けるため一部編集)を全事例に置き、生前対策ではこれに「制度の扱いは法令・税制の改正により変わる」旨の1文と掲載時点を足します。
| 項目 | 生前対策側での記載例 | 匿名化・表現上の要点 |
|---|---|---|
| 相談者の属性 | 70代・男性・配偶者と子2名 | 氏名もイニシャルも仮名も避け「ご相談者」に統一。年齢は年代、家族は人数まで |
| 相談の背景と希望 | 不動産が財産の大半を占め、分け方を決めておきたいという相談 | 財産の総額・不動産の所在・勤務先や会社名は書かない |
| 実行した内容 | 公正証書遺言を作成し、遺言執行者に就任した | 作成した書面と就任した立場は事実として書ける。効果の断定と結びつけない |
| その後に確認できたこと | 相続開始後、遺言の内容に沿って手続きが完了した | 確認できていない事例では段ごと置かない。「争いは起きなかった」と書かない |
| 前提条件 | 家族関係の構成/財産の種類と分散/本人の判断能力/家族への説明の状況 | 再現性のなさを構造で示す段。省くと成果保証に近づく |
なぜ解決事例ページが必要か(Why)
検索の半分は制度理解と手続き──金額で引く分野ではない
以下は分野語を含みニーズが明確な1,042件に絞った数値です。最多は「進め方・手続きを知りたい」265件・25.4%、ほぼ並んで「制度の意味を知りたい」253件・24.3%。この2つで約半分を占めます。制度理解の24.3%は離婚(請求者側)の10.9%、交通事故(被害者側)の7.0%と比べて突出し、これまで扱ったどの分野より高い数字です。(キジラク調べ・2026-08-13集計)
上位の語がそれを裏づけます。「相続税」135,000、「生前 贈与」81,000、「遺言 書 書き方」44,400、「相続時精算課税 制度」33,100、「家族 信託」29,600、「事業 承継」24,200。検索者は名前しか知らない制度を調べています。
ここで「税金や費用がいくらか知りたい」177件・17.0%を読み違えないでください。離婚3.8%・交通事故1.7%に比べて突出して高いのですが、中身の大半は税金であって弁護士費用ではありません。上位は「贈与税 税率」40,500、「生前 贈与 非課税」16,200、「生前 贈与 税金」13,200。弁護士費用への関心が高いと誤読すると、料金訴求に寄った事例ページを作ってしまいます。そして「相談窓口を探すこと自体が目的の検索」はわずか7件・0.7%、検索者の48%が「相談はまだ先」の段階にいます。
検索者は「やって意味があるのか」を疑っている
金額で引けないなら、事例は何に答えるのか。答えは2つの少数派の中にあります。ひとつは「リスク・デメリットを知りたい」45件。上位は「遺言 書 効力」13,200、「家族信託 危険」1,300、「家族信託 後悔」1,300、「認知症 口座凍結」1,300、「遺留分 遺言 書」1,000。これは「作った遺言は本当に効くのか」「やって後悔しないか」という疑いです。しかも制度解説では解消できません。効いたという実例を見せられるのは事例だけです。
もうひとつは「やり方や選択肢を比べたい」67件。「生前 贈与 と 相続 税」19,800、「家族 信託 デメリット」3,200、「相続時精算課税制度 デメリット」2,400、「家族信託 必要ない」2,400。検索者は手段を決めかねています。だから生前対策の事例で最も価値があるのは結果ではなく選択の過程——なぜ贈与ではなく遺言にしたのか、なぜ信託を使わなかったのか。7段構成の2段目を「検討した選択肢と選んだ理由」に充てるのはこのためです。紛争分野の事例が結果で読まれるのに対し、生前対策の事例は判断で読まれます。
しかし「争いにならなかった」は証明できない──この記事の核心
生前対策の価値は「遺言を作ったから争いにならなかった」という形をしています。これは起きなかったことを成果として主張するということで、二重の困難があります。
第一に、証明できません。対策をしなかった場合に争いが起きたかどうかは誰にも分かりません。争いが起きなかった理由は遺言かもしれないし、家族の関係が良かっただけかもしれない。原因を遺言に帰属させる根拠がありません。
第二に、事実として誤りです。遺言があっても争いは起きます。遺留分は遺言では失われません。遺言の有効性そのもの(作成時の判断能力・方式の不備)が争われることもあります。「遺言があれば必ず揉めない」は誇張である以前に正確ではない記述です。弁護士の業務広告に関する規程は誤導・誇大な広告を禁じ、指針では過度な期待を抱かせる表示も問題とされます。「相続争いゼロ」という表現は、この両方に触れます。交通事故の倍率表記が数字の性質の問題だったのに対し、生前対策の反実仮想はそもそも観測されていない出来事を成果として掲げるという、より根本的な問題です。
解き方①──起きなかったことではなく、起きたことを書く
解は「成果を書かない」ではなく「書く対象を入れ替える」です。争いが起きなかったことは書けませんが、実行した事実は書けます。公正証書遺言を作成した。遺言執行者に就任した。相続開始後、遺言の内容に沿って手続きが完了した。いずれも観測できた事実で、断定しても誇張になりません。訪問者はこれを「頼めば揉めない」ではなく「この手順を踏めばここまでは実現できる」と読みます。制度理解24.3%・手続き25.4%という関心の形にも、実行の記述の方が噛み合います。
解き方②──できないことを同じページに書く
2つめは限界の併記です。手段ごとに、できないことは決まっています。
- 遺言: 遺留分を失わせることはできない。作成時の判断能力や方式が争われることがある
- 生前贈与: 一定の範囲の贈与は遺留分の計算に取り込まれる。記録がなければ贈与と認められないことがある
- 家族信託: 受託者に負担と責任が生じる。信託では対応できない財産や場面がある
- 税に関する扱い: 税制の改正の影響を受ける。税額そのものは税理士の領域
限界を書くと訴求が弱くなると思われがちですが、逆です。「家族信託 デメリット」3,200・「家族信託 必要ない」2,400を検索している検索者は、デメリットを書いていないページを警戒します。限界を先に書いた事例だけが、残りの記述を信じてもらえます。3つめの個別性は、結果を見出しやカードタイトルの主語にしないことと、免責の定型で担保します。
| 避けたい表現 | 言い換え | なぜ問題か |
|---|---|---|
| 遺言を作れば相続争いは起きません | 遺留分に配慮した配分を設計し、その理由を付言事項に残した事例 | 結果の保証。遺留分は遺言では失われず、遺言の有効性が争われることもある |
| 相続争いゼロを実現 | 遺言執行者として、遺言の内容どおりに手続きを完了した | 起きなかったことは証明できない。書けるのは実行した事実だけ |
| 家族信託で認知症対策は万全 | 信託契約に基づき、判断能力が低下した後も財産の管理を継続できた事例 | 「万全」は基準のない主観評価。信託では対応できない場面がある |
| 相続税を〇〇万円削減 | 掲載しない。税務は税理士と連携して進めた旨にとどめる | 税額の増減は税理士の領域。金額の提示は成果の誇示にもなる |
| 生前贈与で確実に節税できます | 現行の制度ではこの扱いですが、税制の改正により変わることがあります | 節税の断定。改正の影響を無視している |
総論07と総論03──依頼者が亡くなっている事例の同意を誰から取るか
総論07で、信頼性は一次情報と実体験で担保されると学びました。E-E-A-Tのうち事例が示せるのはE(Experience=経験)です。業務紹介が「知識がある」(Expertise)を示すのに対し、事例は「実際に扱っている」を示します。生前対策ではこの役割が特に重い。訪問者は制度の名前しか知らず、実行した人を見たことがないからです。
守秘義務については、総論03のとおり匿名化により依頼者と結びつかなくなった情報は一般的な経験の提示として扱えます。基準は「本人が特定されうるか」の一点。ところが生前対策には他分野にない事情があります。成果が確認できる時点では、依頼者は亡くなっています。相続開始後まで書ける事例は本人から掲載の同意を取れず、しかも守秘義務は依頼者の死亡によって消えません。取れる対応は3つです。
- 生前に確認しておく: 受任の時点で、匿名化のうえ掲載してよいかを確認し記録に残す。最も確実で、事務所の運用に組み込める
- 遺族の同意を取る: ただし相続人が複数いる場合、掲載への利害は一致しません。遺言に不満を持つ相続人にとって、設計の経緯は表に出したくない情報です。誰から取るかを決めずに公開しない
- 実行した時点までで止める: 相続開始後に触れなければ、生前に本人の了承を得た範囲で書けます
加えて、故人の情報は遺族にとっても機微です。財産の構成・家族の不和・事業の状況は、依頼者ではない相続人の情報でもあります。事業承継の事例はとくに危険で、業種・地域・規模を書けば、同じ地域の同業者には会社が分かります。迷う事案は所属弁護士会に相談します。
| 情報の種類 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 依頼者の実名・イニシャル・仮名 | 書かない | 年代・家族構成と組み合わさると識別性が上がる。「ご相談者」に統一する |
| 財産の総額・不動産の所在・自社株の会社名や業種・地域 | 書かない | 事業承継では同業者に会社が特定される。財産額は地域では強い識別情報になる |
| 家族の不和の経緯・相続人の職業や病歴 | 書かない | 依頼者ではない相続人の情報で、依頼者の同意では正当化できない |
| 相続開始後の経過 | 掲載の同意の所在を確認してから書く | 本人は亡くなっており同意を取れない。守秘義務は死亡では消えない |
| 債務の金額・借入先 | 書かない | 本人にとって最も機微な情報で、遺族にとっても同じ |
サンプルサイトで見る実例(How it looks)
以上がどう表現されるかを、サンプルサイト(sample-souzoku.kijiraku.com/cases/)で確認します。このサイトは相続人側の専門サイトで、掲載されている3件はいずれも相続が開始した後の事例です。生前対策側のページに作り替えるとどの要素が変わるか、という読み替えの形で見ていきます。
事例一覧(/cases/)── 並べる軸と、要約に置く言葉が入れ替わる
一覧には3件のカードが並びます。属性タグ・タイトル・結果の要約・詳細リンクの4要素という骨格はそのまま使えます。変わるのは中身です。並びは遺産分割・遺留分侵害額請求・相続放棄という争点で分散していますが、生前対策側では遺言・生前贈与・家族信託・事業承継という対策手段に置き換わります。結果の要約も「約2,000万円を獲得」「約800万円の負債を回避」と金額が主語ですが、生前対策側にこの数字はありません。「公正証書遺言を作成し、相続開始後に遺言執行者として手続きを完了した」のように実行した内容を置きます。
そのまま真似したくない点が1つ。3件とも依頼者を「Aさん」「Kさん」と仮名で呼んでいます。イニシャル風の呼称は年代・性別・職業と組み合わさると識別性を上げるため、「ご相談者」に統一すべきです。
遺産分割の調停(/cases/case-1/)── 対策しなかった側から読む
50代男性の事例です。父の相続で、実家の不動産(約2,500万円)と預貯金(約1,500万円)の分け方が同居の弟との間で1年以上まとまらず、評価額も固定資産税評価額か時価かで対立しました。査定を取って代償分割を提案し、調停で約8か月かけて解決しています。
生前対策側から見ると、これは「対策しなかった場合に起きたこと」の記録です。不動産が財産の大半を占めて分けにくい、評価の物差しが複数ある、当事者だけでは決まらない。生前対策の事例が扱うのは、この構造への事前の設計——誰が不動産を取るかを決め、代償金の原資(生命保険など)を用意し、配分の理由を付言事項に残す、といった内容です。
自事務所への適用ポイント: それでも「対策していればこうならなかった」とは書けません。別々の事案を因果で結ぶことになるからです。書けるのは「不動産が中心で分割しにくい財産構成だったため、代償金の原資を含めて配分を設計した」という自分の事案でしたことまで。対策の必要性そのものを説く記述は、コラム記事の側で扱います。
遺留分侵害額請求(/cases/case-2/)── 公正証書遺言があっても争いは起きている
40代女性の事例です。母の相続で、公正証書遺言により長男が全財産を相続する内容でした。総遺産は約6,000万円。長年介護を担ってきた相談者が遺留分侵害額請求を行い、兄への生前贈与(リフォーム費用約500万円)を計算の基礎に算入できるかが争点となって、約750万円で合意しています。
この1件が、本記事の主張をサンプルサイトの内部で証明しています。公正証書遺言という最も確実な方式で作られた遺言があってなお、争いが起きている。「遺言を作れば争いにならない」は事実として誤りだと、同じサイトの事例が示しているわけです。
自事務所への適用ポイント: 生前対策側の遺言の事例では、この裏返しを書きます。遺留分を持つ人を先に確認し、額を試算し、代償の原資を用意する。そして「遺留分は遺言では失われない」ことをページ内に明記する。争点になった生前贈与も、契約書と送金の記録を各年分そろえておくことが後の争いを減らします。「遺言 書 効力」13,200という検索に、制度解説より正確に答えるのはこの種の記述です。
相続放棄(/cases/case-3/)── 生前対策側では書けない情報になる
30代男性の事例です。20年以上疎遠だった父の死亡を知らされ、合計約800万円の督促状が届きました。相続の開始から2か月が経過し、期限まで1か月という状況で、書類を集めて申述し、次順位の相続人2名の放棄まで完了しています。
生前対策側の読み替えは「負債と財産の把握」です。家族が債務の存在を知らなかったために期限が切迫しました。生前に財産目録を作り、保管場所を家族が分かる状態にしておくことがこの事態を避ける手当てになります。
自事務所への適用ポイント: ただしここが匿名化の難所です。相続人側なら「父に借金があった」と書けますが、生前対策側の依頼者は借金がある本人です。債務の存在・金額・借入先は、本人が最も書かれたくない情報です。生前対策の事例で負債を扱うときは、金額と借入先を落として「債務を含めて財産の全体を整理した」という記述にとどめます。なお、こうした事例の下書きを検索意図に沿った構成へ整える作業は、キジラクの記事作成機能でも支援できます。
最後に3件に共通する点。免責の3点(本人の了承/事案により結果は異なる/特定を避けるための編集)は3件とも末尾に揃っており、この定型は生前対策側でもそのまま使えます。足りないのは2つ。「前提条件」段がなく家族関係と財産構成が本文に散っている点と、掲載時点と法令・税制の改正に関する注記がない点です。なお相続人側のサイトでは重点が変わり、争点で並べる設計のままで問題ありません。
実践チェックリスト
- □ 事例が3件以上あり、対策手段(遺言・生前贈与・家族信託・事業承継・遺留分対策)が分散しているか
- □ 各事例が「相談の背景と希望→検討した選択肢と選んだ理由→弁護士の対応→実行した内容→その後に確認できたこと→前提条件→弁護士コメント」の7段構成か
- □ 結果を「実行した時点」と「相続開始後」の二つに分け、確認できていない事例は実行した内容までで止めているか
- □ 「争いにならなかった」ではなく、作成した書面・就任した立場・完了した手続きという事実で書いているか
- □ 手段ごとの限界(遺留分は遺言では失われない/遺言の有効性が争われうる/受託者の負担/税制改正の影響)を同じページに書いているか
- □ 家族関係の構成・財産の種類と分散・本人の判断能力・家族への説明の状況の4つを前提条件として明記しているか
- □ 依頼者が亡くなっている事例で、掲載の同意を誰から得たかが整理されているか(生前の確認/遺族の同意/実行した時点で止める)
- □ 氏名・イニシャル・仮名・財産の総額・不動産の所在・業種や地域など、故人と遺族が特定されうる記述を落としているか
- □ 免責の3点に加え、掲載時点と法令・税制の改正に関する注記を置いているか
生前対策の事例ページは、示したい成果がそもそも観測できないという、最も条件の厳しい分野です。その制約は、起きたことだけを事実として書き、手段の限界を同じページに置き、結果を見出しの主語にしないという3点で解けます。次は料金ページの設計です。この分野の「税金や費用がいくらか知りたい」は177件・17.0%と突出して高いのに、中身の大半は贈与税と相続税であって弁護士費用ではありません。だから料金ページは、税金と弁護士費用を切り分け、どこからが税理士の領域かを示す設計になります(→ 料金ページの設計)。
監修: 花井 直哉(キジラク運営)