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解決事例ページの作り方──増額幅を規程の範囲で示す

結論・要点

交通事故の解決事例で最も強い訴求は「保険会社の提示額が、弁護士が入っていくらになったか」という増額幅です。被害者側の検索1,746件のうち4割が「いくら受け取れるか知りたい」で、離婚(請求者側)の28.9%を上回ります。しかし増額幅を前面に出せば、規程が禁じる誇大表現・過度な期待を抱かせる表示に踏み込みます。この緊張を「基準・変数・個別性」の3点セットで解く方法を3層で解説します。

目次

  1. 解決事例ページに必要なコンテンツ(What)
  2. なぜ解決事例ページが必要か(Why)
  3. サンプルサイトで見る実例(How it looks)
  4. 実践チェックリスト

交通事故の解決事例で最も強い訴求は「保険会社の提示額が、弁護士が入っていくらになったか」という増額幅です。被害者側の検索1,746件のうち4割が「いくら受け取れるか知りたい」で、離婚(請求者側)の28.9%を上回ります。しかし増額幅を前面に出せば、規程が禁じる誇大表現・過度な期待を抱かせる表示に踏み込みます。この緊張を「基準・変数・個別性」の3点セットで解く方法を3層で解説します。

解決事例ページに必要なコンテンツ(What)

事例ページは2層構造です。一覧ページ(/cases/)は「自分に近い事例があるか」を判断させる索引、個別事例ページは「どう解決したか」を示す実証。交通事故では結果を左右する変数が後遺障害等級・過失割合・治療期間・収入の4つに特定できるため、前提条件の記述をテンプレート化できます。

事例一覧ページ──「事故態様」と「争点」の2軸でスキャンさせる

最初から10件も20件も必要ありません。3〜5件で足ります。件数より重要なのが争点のバリエーションで、示談交渉が3件並ぶより後遺障害等級・示談交渉・死亡事故が1件ずつある方が届きます。

カードの要素は4つ。①タイトル——争点と、弁護士が何をしてどうなったかが分かる形にする。②属性タグ——年代・性別・職業など、訪問者が自分と重ねられる最小限の属性。③結果の要約——1〜2行。ここで金額に触れるかが本記事最大の論点です。④個別ページへのリンク。タイトルには事故態様(追突・右折車との衝突など)を入れます。争点タグを業務紹介ページの分類と揃えれば、自然な内部リンクが張れます。

個別事例ページの6段構成──交通事故の「前提条件」は4つの変数で書く

個別事例は次の6段で統一します。

  • 相談の背景: 事故態様・受傷部位・治療の経過と、相談時の懸念
  • 争点・問題点: 「等級が実態に合っていない」「逸失利益が過少」と損害費目の言葉で名指しする
  • 弁護士の対応: 「交渉しました」ではなく「画像を再撮影し、検査結果を添えて異議申立てを行った」という具体性が専門性の証拠になる
  • 結果: 金額と期間を記述する段
  • 前提条件: この結果を決めた4変数(等級・過失割合・治療期間・収入)
  • 弁護士コメント: 事例から一般化できる学び

被害者側で前提条件を独立させるのは、事例が必ず金額を焦点にするからです。再現性がないことを但し書きではなくページの構造で示す。この段があれば、訪問者は「この金額はこの等級・この過失割合・この治療期間・この収入だから出た数字だ」と理解します。なお加害者側の事例では重心が変わり「賠償額をどこまで適正化できたか」が軸になるため、別の設計が必要です。

増額幅の書き方3原則と免責の3点セット

結果段で金額を書く原則は3つ。①基準(算定の物差しが変わった結果として説明する)、②変数(4つの変数を前提として併記する)、③個別性(増額幅や倍率を見出しの主語にしない)。あわせて免責の3点セット(本人の了承/事案により結果は異なる参考例/特定を避けるため一部編集)を、全事例に同じ形で置きます。

項目 被害者側での記載例 匿名化・表現上の要点
相談者の属性 40代・男性・会社員 氏名もイニシャルも避け「ご相談者」に統一。年齢は年代、職業は大分類
事故の状況 信号待ちで停車中に後方から追突された 発生日時・交差点名・地名は書かない。事故態様のみ残す
結果(金額) 等級の変更に伴い、基準に基づく算定額で示談が成立 金額を単独で立てず、増額の理由とセットに。期間は「約〇か月」
前提条件 後遺障害等級/過失割合/治療期間/収入水準 再現性のなさを構造で示す段。省くと成果保証に近づく

なぜ解決事例ページが必要か(Why)

検索の4割が「いくら受け取れるか」──離婚分野を上回る集中

先に数え方を断ります。交通事故の検索データにはマッサージ・レンタカー・整体といった治療や休業損害の周辺で拾われただけの語が大量に混入しており、そのまま数えると市場規模を誤ります。以下は分野語を含みニーズが明確な1,746件に絞った数値です。このうち「いくら受け取れるか知りたい」が713件・40.8%で最多。離婚(請求者側)の同じ関心は28.9%で、交通事故はそれを大きく上回ります。(キジラク調べ)

上位も明白です。「死亡事故」60,500、「交通事故 慰謝料」36,200、「交通事故 慰謝料 計算」8,800、「逸失利益」6,600、「慰謝料 相場」5,400。対照的に、自分が払う弁護士費用への関心はわずか29件・1.7%——弁護士費用特約の普及が背景と考えられます。検索者は自分の支出をほとんど見ず、回収額だけを見ています。この最大ニーズに業務紹介ページは答えきれません。「実際にいくらになったか」に答えられるのは事例だけです。

しかし増額幅をそのまま出すと規程に触れる──この記事の核心

訪問者が最も知りたい情報を、最も知りたい形では出せません。弁護士の業務広告に関する規程は誤導・誇大な広告を禁じ、指針では過度な期待を抱かせる表示も問題とされます。「提示額の3倍を獲得!」が危ういのは、訪問者に「自分も3倍になる」という期待を生むからです。

交通事故にはさらに固有の危うさがあります。倍率という指標が分母に依存することです。提示額が低いほど倍率は大きくなる。同じ仕事をしても、提示が90万円なら3倍、300万円なら1.5倍になりうる。つまり倍率は事務所の力量を表していません。「平均増額率〇%」という集計値はさらに危険で、母数と定義がなければ誤導そのものです。選択的掲載にも注意します。うまくいった事例だけを並べれば、個々の記述が事実でも全体では誤導になります。

解き方①──増額を「交渉力」ではなく「基準の違い」として書く

では金額を書かなければよいのか。それでは713件の需要に答えられません。解は「書かない」ではなく「書き方を変える」です。交通事故には増額の理由を構造的に説明できるという強みがあります。慰謝料の算定には自賠責保険の基準、任意保険会社の社内基準、裁判で用いられる基準という複数の物差しがあり、金額が変わる主因は交渉の巧拙ではなくどの物差しで計算するかです。

だから「粘り強く交渉して勝ち取りました」ではなく、「入通院慰謝料が58万円から126万円になったのは、算定基準が変わったからです」と書く。訪問者はこれを「頼めば3倍になる」ではなく「基準が違えばこれだけ差が出る」という構造の説明として読みます。同じ理由で増額分は費目ごとに分解します。合計額だけなら「勝ち取った額」に見えますが、分解すれば「計算の結果」に見えます。

解き方②──結果を決める4つの変数を前提として書く

2つめは前提条件です。交通事故では、結果を決める変数がほぼ4つに絞れます。

  • 後遺障害等級: 慰謝料も逸失利益も算定の出発点が変わる
  • 過失割合: 被害者側の過失分が賠償額から差し引かれる
  • 治療期間・通院実日数: 入通院慰謝料に直結する
  • 収入: 休業損害と逸失利益の基礎

この4つを書けば、訪問者は「この事例は12級で過失0。自分は14級で過失2割だから同じにはならない」と自分で判断できます。前提のある金額は「参考値」に、ない金額は「約束」に見えます。3つめの個別性は、免責3点セットを全事例に置き、増額幅・倍率を見出しの主語にしないことで担保します。

避けたい表現 言い換え なぜ問題か
保険会社提示額の3倍を獲得! 算定基準を見直し、基準に基づく金額で示談が成立した事例 倍率は提示額という分母に依存し、事務所の力量を表さない
後遺障害等級は必ず上がります 他覚的な所見を示せた場合に上位等級が認定されることがあります 結果の保証にあたる。認定は資料と医学的所見次第
当事務所の平均増額率は250% 掲載しない。または母数・算定方法・対象期間を明示する 母数と定義のない比率は誤導になりやすい
大幅増額を実現 適正な基準に基づく金額で示談した事例 「大幅」は基準のない主観評価で、誇大な印象を与える

「自分のケース」と「進め方」にも事例が効く

第2勢力は「自分のケースについて知りたい」で369件・21.1%。「追突事故」4,400、「当て逃げされたら」3,600、「通勤中の事故 労災」1,900、「自転車 車 事故 過失割合」1,600。検索者は事故の態様を添えて検索します。「示談交渉の事例」より「信号待ちで追突された事案」の方が、自分ごととして開かれます。

第3勢力は「進め方・手続きを知りたい」で208件・11.9%。「示談書」6,600、「休業損害証明書」5,400、「異議申立」4,400。この比率は離婚(請求者側)の22.8%の約半分です。交通事故では手続きの主導権を依頼者になりうる人が持たず、保険会社主導で進むためと考えられます。手続きを自分で調べる検索者が少ない代わりに、「弁護士が入ると何が起きるか」を実演する事例の価値が上がります。

「どこに頼むか選びたい」は31件・1.8%と少数ですが中身が示唆的です。「示談 弁護士 なし」520、「交通事故 弁護士 後悔」480、「示談交渉 自分で」780——頼むべきか迷い、頼まなかった場合を心配している検索で、提示額と最終額の差がこの迷いに直接答えます。検索者の段階は「相談を考え始めている」が73%、「今すぐ相談先を探している」が11%。事例は即時のCTAの直前ではなく段階的な導線の手前に置きます。

総論07(信頼性)と総論03(守秘義務)──交通事故の匿名化は加害者側にも及ぶ

総論07で、信頼性は一次情報と実体験で担保されると学びました。E-E-A-Tのうち事例が示せるのはE(Experience=経験)です。業務紹介が「知識がある」(Expertise)を示すのに対し、事例は「実際に扱っている」を示します。守秘義務については、総論03のとおり匿名化により依頼者と結びつかなくなった情報は一般的な経験の提示として扱えます。基準は「本人が特定されうるか」の一点。ここで交通事故には、離婚分野にない2つの落とし穴があります。

ひとつは加害者側の情報。「加害者は運送会社の社員で、業務中の運転だった」と書けば具体性は増しますが、これは依頼者ではない第三者の情報で、依頼者の同意では正当化できません。「相手方」という以上の属性を与えないのが安全です。もうひとつは事故現場の特定。交通事故は離婚と違い報道されている可能性があります。発生日時・交差点名・地名を書けば報道記事と照合されうるため、事故の様子は「信号待ちで停車中に追突された」程度にとどめます。

情報の種類 扱い 理由
発生日時・交差点名・地名 書かない 報道記事と照合され、当事者が特定されうる
加害者の職業・勤務先・車種・年齢・刑事処分 書かない 依頼者の同意では守れない第三者の情報
依頼者の実名・イニシャル 書かない 他の属性と組み合わされば識別性が上がる。「ご相談者」に統一する

掲載前には依頼者へ確認します。死亡事故では同意を誰から取るかを整理してください。相続人が複数いる場合、依頼をした遺族と掲載に利害を持つ遺族は一致するとは限りません。迷う事案は所属弁護士会に相談します。

サンプルサイトで見る実例(How it looks)

以上がどう表現されるかを、サンプルサイト(sample-jiko.kijiraku.com/cases/)で確認します。

事例一覧(/cases/)── 3件で争点の幅を示す

一覧には3件のカードが並びます。属性タグ・タイトル・結果の要約・詳細リンクの4要素で、3件しかないのに手薄に見えないのは争点が分散しているからです。訪問者が自分の段階(等級に納得できない/提示を受けた/家族を亡くした)のどこにいても近い事例が見つかります。

自事務所への適用ポイント: カードタイトルの主語を金額・倍率にしないこと。3件目の「保険会社提示額から約3倍に増額した示談交渉の事例」は倍率がタイトル前半に来ており改善余地があります。「算定基準を見直して示談した事例」のように争点と対応内容で書き、金額は要約本文に前提とともに置きます。

後遺障害等級の異議申立て(/cases/case-1/)── 「約3.7倍」をどう扱うか

40代男性・会社員の事例です。追突事故で頸部の痛みと右上肢の痺れが残り、約9か月の通院を経て14級9号が認定されました。争点は14級と12級を分ける「自覚症状のみか、他覚的な所見があるか」。弁護士は高解像度の画像を再撮影し、神経の伝導速度を測る検査を添えて異議申立てを行い、12級13号への変更を得ました。提示約300万円に対し、示談は約1,100万円です。

なぜ成立するか: 増額の理由が「等級が変わったから」という因果で書かれている点です。訪問者はこれを「弁護士が強く出たから増えた」ではなく「12級と14級では算定の出発点が違う」という構造として読みます。しかも等級認定は外部の判断で、金額の裏付けが事務所の外にあることが成果保証からの距離を作っています。「異議申立」4,400、「追突事故」4,400という検索にも直接対応します。

自事務所への適用ポイント: 一方で本文中の「初回提示額の約3.7倍」は削るべきです。提示が低かったから倍率が大きいだけで、力量を表す数字ではありません。「等級が12級13号に変更され、対応する基準で算定した結果、約1,100万円になった」と書けば足ります。裏返せば算定の過程を説明できない事例では金額を書かないという判断になります。

死亡事故(/cases/case-2/)── 匿名化が最も難しい類型

60代女性・遺族の事例です。夫が横断歩道で右折車にはねられ死亡。提示では死亡慰謝料が低額で、逸失利益も過少でした。基準額を主張して交渉し、約2,400万円の提示が約4,200万円で示談成立(約8か月)。増額分の約1,800万円が死亡慰謝料と逸失利益の2費目に分解されており、合計額だけが独り歩きしていません。「死亡事故」は月間60,500と最大級の検索需要です。

改善余地は2つ。ひとつはタイトルの「大幅増額を実現」。「大幅」は基準のない主観評価で誇大な印象を与えるため、「適正な基準に基づく金額で示談した事例」に改めるべきです。もうひとつが匿名化。「67歳」という実年齢と「横断歩道」「右折車」の組み合わせは、死亡事故が報道されやすいことを考えると危険です。年齢は「60代」に、事故態様は「横断中の事故」程度に落とします。

示談交渉(/cases/case-3/)── 基準の差を内訳で見せる

30代女性・会社員の事例です。交差点での事故で約6か月治療し、提示は約90万円。算定基準を見直して再計算し、約270万円で示談成立(約3か月)。

なぜ3件のうち最も教科書的か: 増額の内訳が明示されているからです。入通院慰謝料が任意保険会社の基準で58万円だったものが、裁判で用いられる基準では126万円になる。休業損害が22万円から47万円になる。訪問者はこの2行を見た瞬間に「交渉が上手かったから増えたのではなく、使う物差しが違ったから増えた」と理解し、自分の治療期間と収入を当てはめられます。「交通事故 慰謝料 計算」8,800、「慰謝料 相場」5,400という検索の実質的な答えです。なお、弁護士コメント部分を検索意図に沿った構成へ整える作業は、キジラクの記事作成機能でも支援できます。

最後に3件に共通する改善余地。いずれも5段構成で「前提条件」段がありません。治療期間や等級は本文に散在し、過失割合と収入水準はほとんど読み取れません。この段を独立させて4変数を毎回同じ位置に書けば、金額の再現性がないことがページの構造から読めます。免責3点セットは3件とも末尾に揃っており、この定型があるからこそ各事例が金額を書けています。

実践チェックリスト

  • □ 解決事例が3件以上あり、争点(後遺障害等級・示談交渉・過失割合・死亡事故)が分散しているか
  • □ 各事例が「相談の背景→争点→対応→結果→前提条件→弁護士コメント」の6段構成か
  • □ 増額の理由を「交渉した結果」ではなく「算定基準が変わった」「等級が変わった」と因果で説明しているか
  • □ 後遺障害等級・過失割合・治療期間・収入の4変数を前提条件として明記しているか
  • □ 「約3倍」「大幅増額」「平均増額率〇%」など倍率・増額幅が見出しの主語になっていないか
  • □ 加害者の職業・車種・勤務先・刑事処分など、依頼者の同意では守れない第三者の情報を書いていないか
  • □ 発生日時・交差点名・地名など、報道された事故と結びつく記述を落としているか
  • □ 全事例の末尾に免責3点(本人の了承/結果は事案による/特定回避の編集)を置いているか

被害者側の事例ページは、検索者の最大ニーズ「いくら受け取れるか知りたい」(713件・40.8%)と広告規程の制約が正面からぶつかる場所です。その緊張は「金額を書かない」ではなく、増額を基準の違いとして説明し、4変数を前提として書き、倍率を主語にしないという3点で解けます。次は料金ページの設計です。被害者側は自分が払う費用への関心が29件・1.7%と極端に小さく、弁護士費用特約がその背景にあります。だからこそ料金ページは「費用の説明」ではなく「特約が使えるかどうかの判定」と「回収額との関係」で設計します(→ 料金ページの設計)。

監修: 花井 直哉(キジラク運営)

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